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乙女ゲームなのに、ゾンビでも出してみるかって出したやつ、ちょっと出てこい

作者: 井上さん
掲載日:2026/03/31

名前と、色々借りました。

 私は乙女ゲームの悪役令嬢に転生した


このゲーム、乙女ゲームなのにゾンビが出てくる謎なゲーム。


 悪役令嬢がいる必要ある?


ちょっと意味が分からない。


友人がやっていたのを見て聞いていただけだから、ストーリーはうろ覚え。


 確か、学園に入学して、ヒロインが攻略対象と出会い、恋に落ちるんだけど、攻略対象には婚約者がいて、婚約者にいじめられる。


 いや、婚約者がいる男に手を出す方が悪いだろ、と私は思う。



 閑話休題。



卒業パーティーの時に、攻略対象が、婚約者に婚約破棄をする。


婚約者は、キレて……浮気されたんだから、キレて当然だが……何故かゾンビを呼び出す。


 ヒロインと攻略対象が、ゾンビを倒してめでたしめでたし…というストーリー……乙女ゲームとは?と、私は思ったのだった。


 友人は、ゲラゲラ笑いながらゾンビを倒していた。

…ちょっと怖かった。


ゾンビは頭を破壊すると倒せるらしい。


 部位破壊なら分かる。

私は、ハムスターハンターというゲームをしていた。

部位破壊しないと出ない、素材があるのだ。


 よし、いつゾンビが出てきても良いように、頭を部位破壊する練習をしよう。



…ちょっと待て。


私は悪役令嬢。


 攻略対象の婚約者で、卒業パーティーで婚約破棄されて、キレてゾンビを呼び出す…のが私なのか?


どうやって呼び出すんだろ?

それが分かれば、ゾンビを出さない事も可能?



 浮気男なんて、ヒロインに贈呈するわ!こっちからお断りよ!



 よくある乙女ゲームなので、攻略対象は


王子 乙女ゲームの王道…チャラ男


公爵子息 真面目君


騎士 マッチョ好きに向けて


先生 年上好みに向けて


後輩 年下好みに向けて


 だったと思う。


攻略対象も、婚約者がいるのに、他の女に誘われたからって、ホイホイついて行くな。


…ヒロインって、攻略対象ホイホイなのか?


 王子なんて…婚約者はお妃様になるんでしょ?そんな人を婚約破棄するなんて頭おかしいんじゃない?

婚約者には、王家に相応しい令嬢が選ばれるんだから。


 ポッと出のヒロインに簡単に落とされて、王子として大丈夫なんだろうか?

婚約破棄した後に、どんな事が起こるか考えずに(ゾンビ以外の事だよ)、簡単に、しかも卒業パーティーなんて大勢人がいる所で婚約破棄するなんて…

 もし、この王子が将来国王になったら、この国が心配だよ…


浮気王子なんて、信頼できないから、他の国から敬遠されるんじゃない?

そんなのと結婚して、大丈夫なのヒロイン?


ゾンビを倒してめでたしめでたし…で、終わらないよ?


その後、ずっと人生続いて行くんだよ?

どうするの?この国。


 そこで思い出した。

私の婚約者は誰?


卒業パーティーで婚約破棄されるんだけど、その前にこっちから婚約破棄してやる。


 私は、現在の自分を見た。

高価なドレスを着ている。


もしや、王子の婚約者かな?


 やだ〜!浮気王子が婚約者なの〜?


婚約破棄できるかな?

今何才だろ?

もう婚約したかな?

婚約する前なら、断れるかな?


 無理か。


それなら、ゾンビを呼び出す方法を調べて、呼ばないようにしないと…


もし、呼び出されても、頭を部位破壊できる人材を、沢山育てよう。


 王子は放置。韻を踏んでいる。


それから、筋トレだ。筋肉は裏切らない。






 現在の状況が分かった。


私キャバリアは学園に入学したばかり。

 同学年のヒロインのバーニーズとロットワイラー浮気王子は、出会ったばかり。

これから、様々な障害を乗り越えて、2人は結ばれる。


 ヒロインは、話せる人かな?


ヒロインと話し合って、王子はヒロインに押し付けたい。

私は、ゾンビ対策をしたい。


ヒロインが王家に相応しい令嬢になる為に、協力してもいいな。


ただのお花畑で、私が話すとイジメだと思い込むヒロインだったら、話し合いは無理だな〜。


 どうしよう。


2人は、今、どんな感じなのかな?


ヒロインの事は様子を見る事にして、ゾンビ対策から先にする事にした。



 学園長室へ行き、学園長に


「護身術を習いたいのです。私には、騎士の伝手が無いので、学園長に相談に参りました」


 と、相談した。


学園長は、国王の弟らしい。父が言っていた。

父は侯爵だ。


 父に護身術を習いたいと相談したら

、騎士に護衛を頼もうか、と言われたから、どうしても護身術が習いたいと言い張ったら、学園長に相談しなさい、と匙を投げられた。

そこで、学園長が王弟であると聞かされた。


 学園長が入学式で挨拶をしたのを見た。30代だろうか?

目付きが鋭いがイケメンである。


「何故、護身術を?」


 学園長が聞く。もっともな疑問である。


「私は、自分でできる事は、なるべく自分でしたいのです。護身術の素質が無ければ諦めますが…」


「なるほど。では、私が試してみましょう」


「え?」


 学園長は、私をエスコートして、奥の休憩室へ向かった。


「例えば、前から腕を掴まれた時…」


 やり方を教わり、言われた通りに練習した後、実践をする。



 身体の力を抜き、手をパーにして、前に踏み出し、掴まれた腕を上げる


もう一つは


 身体の力を抜き、手をパーにして、掴んでいる相手の手の指側に、自分の手の親指側が向くようにして、腕を引く



中々難しい。


身体に力が入ると、相手の手に力が入るから、逃げにくい。


何度もやってみたが、腕は抜けなかった。


私は、肩で息をしていた。

筋トレは、始めたばかりだから、まだ頼りない。もっと体力つけないと。


 そして、学園長意外と強い。鍛えてるのかな?


「すみません…無理そうですね…ありがとうございました」


 私は、学園長にお礼を言った。


「何を言うんです。今始めたばかりで、すぐにできるようにはなりませんよ。私が毎日訓練してあげましょう」


「え!?」


 学園長の言葉に、驚いた。


毎日…訓練…?学園長が?


「体力が無いから、体力作りも必要ですね」


「そ…そうですね…?」


 一体、何をするのだろう?


首を傾げながら、学園長の秘書官に馬車まで送られて、家に帰った。



 5日後、学園に通達があった。


『生徒の体力作りの為、騎士科訓練場を10周歩くこと。また学力向上の為、毎日読書を推奨する』


 これよ!これならおおっぴらに体力作りができるわ!それに、全生徒が体力作りができる!

ゾンビに対抗できるかも知れない。

 何て冴えてるの学園長!

学力向上も挙げておけば、誰も反対しないでしょうね。


近くにいた令嬢達が


「何故体力作りなど…」


 と、不満そうに言っていた。


「あら、体力は必要よ。夜会で華麗に踊る令嬢は、素敵でしょうね」


 私がニッコリ笑う。


「まぁ…キャバリア様が言うなら…」


「私、がんばりますわ」


 令嬢達が、その気になってくれたようだ。

 私は侯爵家の令嬢。

私の意見に逆らう者はほとんどいない。


令嬢達には、ゾンビから素早く逃げて欲しい。


時間稼ぎに騎士科の生徒達にはがんばってもらおう。


 私も部位破壊がんばる。






 廊下を歩いていると、向こうから、集団がやって来た。


何の集団かな?ヤンキーかな?近付きたくないな…


真ん中の男がこっち見てる。

こっち見んな。


何だろう?何か…偉そうな顔してる?


「おい、お前がキャバリアか?」


 偉そうな男が、話し掛けてきた。


ヤンキーに絡まれた。


「そうですが…」


 どちら様?


「お前が私の婚約者か」


 おっと、浮気王子か?

私は、ひとまず礼をした。


「お初にお目にかかります。ロットワイラー殿下」


 婚約者なのに、何で学園で初対面なのかな〜?婚約してから5年も経ってるよ。


「お前の方から挨拶に来るものではないのか?」


 何ですと?

婚約者の交流のお茶会を、毎回すっぽかしている浮気王子が、どの口で言うのか?


「これは失礼いたしました。殿下は、婚約者の交流のお茶会をご存知無かったのですね。私は婚約してから5年、毎月登城しておりますが、お会いできませんでしたので、私の事はお忘れかと」


 首を傾げながら微笑む。


「生意気な…!」


 王子が睨んでくる。

ウザいな浮気王子。


浮気王子って、チャラ男じゃなかったっけ?

チャラ男って、全女性に愛想振り撒くのかと思ってたけど、違うのか。


「授業が始まりますので、失礼いたします」


 私は礼をして教室へ向かった。

早く婚約破棄してくれないかな。


卒業パーティーって…3年後か?

面倒くさいなぁ…浮気王子に絡まれるの。


それより、ゾンビについて調べないと。

ゾンビ…図書室の本にあるかなぁ?






 騎士科の訓練場に行き、今日のノルマの10周を歩く。

クラスの令嬢達も一緒だ。


私は、水分補給用に、経口補水液に近い物を用意してもらえるように、学園長に相談した。


紅茶では、水分補給できないからね。


お陰で、脱水で倒れる生徒は出なかった。


 騎士科の生徒達や先生達に、お礼を言われたくらいだ。訓練時にも飲むらしい。

こちらこそ、経口補水液を用意してくれてありがとうございます。


歩き終わったら、経口補水液を飲む。

ちゃんと座って飲めるように、ベンチを置いてもらった。


 騎士科に世話になってるから、寄付をする事にした。

騎士強化作戦の一環だ。


それから、昼食後は、図書室へ行く。

ゾンビに関する本はあるかな?


どうやって呼び出すんだろう?


ゾンビって、どうやってできるの?

生まれる?生えてくる?


確か、映画かゲームでは、噛まれるとゾンビになるんだっけ?噛まれると伝染る?


生物のコーナーにあるかな?

あれ生物?生きてる?


とりあえず、何か借りないと…


「あの…」


 女生徒に、声を掛けられた。


「はい?」


 どちら様?

…ピンク髪だ…もしや…


「ロットワイラー様の婚約者のキャバリア様ですか?」


 え……?もしや…ヒロイン?


「そうですが…?貴方は?」


「私はバーニーズです」


 ヒロイン?男爵令嬢?ピンク髪?


「私に何か…?」


 ヒロインって何で男爵令嬢なんだろう?何でピンク髪なんだろう?


「ロットワイラー様の事は、どう思ってらっしゃいますか?」


 どう?どうとは?


「どうとは?」


 政略結婚だしな。浮気予定だしな。


「好きですか?」


 ヒロインは純粋ね。政略結婚って知らないのかしら?


「政略結婚なので、好きとか嫌いは関係無いんですよ。家同士の繋がりで婚約しただけです」


「それなら、ロットワイラー様との婚約を無しにしてください」


 政略結婚の意味分かるかな〜?


「それは、両家の当主が話し合う事なので、私にはどうする事もできません」


「好きでもないのに婚約を続けるんですか?」


 話が通じない系?

両家の当主が話し合いって言ったよね?


「貴方は殿下が好きなの?」


「はい!ロットワイラー様とは愛し合っています!」


 愛し合ってるか〜い?


おっと、年がバレる。


「そうなの。どうぞ仲良くお幸せに」


 私は、ニッコリ笑うと、図書室を出た。


ヒロインをイジメたかどで、王子になじらるれるかな?

面倒くさいなぁ…


学園長室に逃げようかな。


そうしよう。呼ばれてる事にして。


 あ、本借りそびれた。


ゾンビ…


ヒロインと浮気王子は、どうやってゾンビ倒したんだろ?


友人に詳しく聞けば良かったなぁ…


 放課後。

学園長室に向かおうとすると、浮気王子に声を掛けられた。


「おいお前!」


「何でしょうか?」


 私は浮気王子に礼をした。


浮気王子の隣には、ヒロインがいる。


「お前、私の愛するバーニーズをイジメたそうだな!」


 婚約者がいるのに、愛するって言って良いのか?

世間体は大丈夫?


「まぁ、殿下、そちらの令嬢を愛していらっしゃるんですか?」


「そうだ!お前は、私に愛されているバーニーズに嫉妬して、イジメたな!」


「では、私と婚約破棄するように、国王様に進言してはいかがですか?」


「はぁ?」


 婚約破棄してからヒロインと付き合いなさい。


「私との婚約が無くなれば、そちらの令嬢と遠慮なくお付き合いできますわ」


「…それは…」


 それは…何だよ?


「お前、私の事が好きなのに、婚約破棄しても良いのか?」


 あらやだ。1度も会ってないのに、好かれてる妄想ができるなんて。

悲劇のヒロインを助けるヒーロー気取りもさることながら、私に好かれてる妄想してますよ。自分に都合よく解釈して…気持ち悪いなぁ…


「まぁ…御冗談を…」


「お前が私に一目惚れしたから婚約したんだろう?」


 どこしてそんな事に!?


我が侯爵家の後ろ盾が欲しいから、婚約したはずでは?


 確か、私と婚約したから王太子になれそうとか、そういう話では?


その時


「何をしている」


 声がした方を見ると、学園長がいた。


「叔父上!」


 王弟だから、浮気王子の叔父なのね。

学園長は、浮気王子は無視して、私に話し掛ける。


「いつまでも来ないから、探しに来たぞ」


「申し訳ありません。殿下に冤罪を掛けられまして」


 私が言うと


「叔父上!そいつは私が愛するバーニーズをイジメました!退学にしてください!」


 浮気王子が叫んだ。


「ロットワイラー。それは、きちんと調べて、証拠もあるのか?」


 学園長の言葉に


「バーニーズが、そいつにイジメられたと言っています!それが証拠です!」


 あらら〜

正義の味方気取りで、悲劇のヒロインを助けるヒーロー気取りが、そんな事を言っちゃって。

 私は、片方の意見しか聞かない不公平な人間ですって宣言したよ。


私が信じる者の話だけを盲信して、冤罪を着せるバカですって世間に公表しちゃったよ。


この王子を王太子にしたら、この国ヤバいよお父様。

でも、こっちから婚約お断りできないんだなぁ…


 さては国王、この王子がバカだから、尻拭い要員が欲しくて婚約したんだな?

王子の弟が優秀だったら、そっちが王太子になりそうだな。

 そっちを王太子にしようか?

私が婚約者になるのは嫌だが。


「それで?」


 学園長は、さすがに信じないよね?


「それで、その女を退学にしてください!」


 無茶振りキター!


「具体的には何をされたのだ?」


 学園長が言うと


「キャバリア様は、私に『ロットワイラー様に近付くな』とか『ロットワイラー様を誑かしたふしだらな女』とか『不細工で爵位も低いくせに生意気だ』とか言いました!私…怖くて悲しくて…ロットワイラー様に相談したんです」


 ヒロインが、目に涙をためながら言った。


「誰か聞いていた者は?」


「いません。図書室に無理矢理連れて行かれて、脅されました」


「可哀想なバーニーズ!」


 浮気王子が、ヒロインを抱きしめた。


 茶番だわ。これを皆が信じて、私を断罪するのに賛成するんだな。


そりゃ、キレてゾンビ呼び出すわ。


「ところで、ロットワイラー。お前の婚約者は誰だったか?」


 学園長は冷たく言った。


「そ…その女です」


 浮気王子は、戸惑いながらも答える。


「それで、お前が抱いている女は誰だ?」


「私が愛するバーニーズです」


 私は婚約者がいるのに、他の女を愛する浮気者です!って自己紹介してるよ。


「そうか。お前は婚約者がいるのに、バーニーズ嬢を愛したのだな」


「はい!真実の愛を見つけました!」


「では、そのように兄上に伝えよう」


「え?」


「今から、国王と謁見して、キャバリア嬢との婚約を白紙に戻し、バーニーズ嬢と婚約すれば良い」


「叔父上!ありがとうございます!」


 学園長が味方したと思ってるな?

頭お花畑はさすがだなぁ…


学園長は私と、浮気王子はヒロインと、それぞれ馬車に乗り、王城へと向かった。


 学園長が先触れを出していて、少し待つだけで国王と謁見できた。




ここは、謁見の間ではなく、国王の応接室。


浮気王子と婚約した時も、ここに国王に挨拶に来たな。

その時、浮気王子は逃亡したって聞いたな。


「兄上、ロットワイラーは、真実の愛を見つけたようで、キャバリア嬢との婚約を白紙に戻し、そこのバーニーズ嬢と婚約したいそうです」


 学園長が言うと


「父上!この女は、私が愛するバーニーズをイジメました!国外追放してください!」


 あらま。国外追放ときたよ。


「そうか。では、キャバリア嬢との婚約を白紙に戻し、バーニーズ嬢との婚約を認めよう。手続きを」


 国王は、側近に言うと、側近は書類を国王に渡した。


書類を確認し、浮気王子に署名を求める。


 待って?何で婚約を白紙にする書類が、もうできてるの?用意周到だね!?もしかして知ってた!?


 浮気王子は、ドヤ顔で署名した。


国王は次に、私に署名を求めた。


私は書類を確認し、署名した。


「これで、ロットワイラーとキャバリア嬢との婚約は白紙に戻った。次にバーニーズ嬢との婚約だ」


 国王は、もう1枚の署名を浮気王子に渡し、署名を求めた。


浮気王子は、またドヤ顔で署名した。

次に、ヒロインに署名を求めた。


ヒロインもドヤ顔で署名した。

…内容確認しなよ。


「これで、婚約はできた。ケアーンを呼べ」


 国王が言い、後の言葉は、側近に言った。


「兄上、キャバリア嬢ですが、私が婚約いたしたく思います」


 学園長が言った。

何だと!?


「何だと?」


 国王が聞き返した。


「ケアーンは、キャバリア嬢より年下です。婚約者候補が何人かいましたよね?年上のキャバリア嬢では、理解は得られないかと」


 学園長が言った。

ケアーン第2王子の婚約者にするより、自分と婚約させろと?


「ちょっと待ってください!その女は、国外追放のはずでは?」


 浮気王子が口を挟む。


「何をバカな。浮気をしたロットワイラーが悪いんだ。お前達は、キャバリア嬢に慰謝料を払え」


 国王が冷たく言う。


「慰謝料!?何故ですか?」


 浮気をしたからだろう?

さっき署名した書類に書いてあったよね。浮気王子は読んでなかったけど。



 私ロットワイラー有責で婚約を白紙にするので、私と浮気相手のバーニーズは、キャバリアに慰謝料10000ゼニーずつ支払います。誰の支援も受けません。王位継承権を放棄します。2度とキャバリアに近付きません。離宮に一生引きこもります。


って書いてあったよ?



「私は、こんな女とは婚約したくなかった!この女が私に一目惚れしたから、無理矢理婚約させられたんだ!この女が慰謝料を払うべきだ!」


「…お前は、本当に何も分かっていなかったんだな。いつかは分かると思っていたが…」


 国王がため息をついた。

その時、第2王子のケアーンが来た。


「父上、お呼びでしょうか?」


「あぁ、王太子は、お前に決まった。これから、王太子教育を始める」


 国王が言うと


「かしこまりました」


 ケアーンが礼をした。


「父上!?どういう事ですか?」


 ロットワイラーが叫んだ。


「お前を王太子にする為に、キャバリア嬢を婚約者にしたんだ。婚約が嫌だったのだろう?白紙になって良かったな」


 冷たく言う学園長。


「そんな…!?何故こんな女ごときが…」


 ロットワイラーが、私を睨んだ。


「キャバリア嬢は、筆頭侯爵家の令嬢だ。強い後ろ盾ができる。それに、しっかりしていて賢くて優秀だ。頭が足りないお前を王太子にするには、他に方法が無かった」


 国王が説明を続ける。


「だが、無理矢理婚約させて悪かったな。そんなに王太子になるのが嫌だとは思わなかった。これからは、愛する者と幸せにな」


「待ってください!それなら、その女と婚約します!」


 浮気王子が言った。

いや、もう婚約は白紙にしたし、お前はヒロインと婚約したがな。もう忘れたんか?

あらやだ。呆れて口調が悪くなってしまったわ。


「真実の愛を貫け」


「良かったな。真実の愛を見つけて。幸せにな」


 国王と学園長に言われて、顔色が青くなる浮気王子。


「そんな…」


 国王は側近に、浮気王子とヒロインを連れて行くように言った。


側近は、浮気王子とヒロインを部屋から連れ出した。


あれ?ヒロインの目が光ったような?

見間違いかしら?


「兄上は、何をやらかしたんですか?」


 ケアーン第2王子が国王に聞いた。


国王は、ため息と共に説明した。


「あぁ…浮気してるって噂になっていたから」


 ケアーン第2王子が呆れ顔で言った。


学園に通ってない第2王子が知ってるとか、どんだけ噂が拡がってたんだ?


ま、いっか。浮気王子とは婚約白紙になったし。


あれ?何か忘れてない?


「では、キャバリア嬢は…?」


「お前には婚約者候補がいただろう。キャバリア嬢は、私と婚約する」


 第2王子の疑問に、学園長が答えた。


あれ?決定事項になってる?

 

「それは、侯爵と話し合え」


 国王が言うと、学園長は不満そうに


「分かりました」


 と言った。


お父様も呼ばれていたようで、丁度、お父様が来て、話し合いが始まった。


断罪は無かったけど、ゾンビはどうなったんだろう?


まだ準備できてないのに…


 確か、国境に異変があって、村人がゾンビになって、じわじわ王都にゾンビがやって来たって友人が言っていたはず。


「あの…」


 私は不安になって、言った。


「国境に異変が無いか、調べてください」


「異変?国境に?」


 国王が聞いてきた。


そうだよね…意味が分からないよね…私も分からなかった。


乙女ゲームなのにゾンビ…


 開発者に正座させて、小一時間問い詰めたい。


「国境の村人に異変があったら、その人達を早くなんとかしないと、王都にまで拡がり大変なことになります」


 う〜ん。そんな事突然言われても、信じられないよなぁ…


「兄上、キャバリア嬢の言う通りにしてください!」


 学園長が言った。


え?何で?


「何も無ければそれで良いじゃないですか!何かあったら一大事です!」


「そうだな。騎士団を国境へ偵察に行かせろ」


 国王が側近に言うと、側近が手配しに行った。


「ありがとうございます?」


 私は学園長に言った。


「キャバリア嬢、君は忘れていると思うが、ロットワイラーと婚約してから初めての婚約者の交流のお茶会に、ロットワイラーが来なかっただろう?」


 学園長、初めての時だけじゃなくて、5年間毎回です。


「はい」


「その時、私が代わりに挨拶したんだ」


 え?そうだっけ?


「君は緊張していたし、ロットワイラーが来なかったから、それどころではなかったからね。覚えていなくても仕方ない」


「すみません…」


 あれ?でも…?

確かあの時は、優しいお兄さんが、一緒にお茶を飲んでくれたような…?

あの優しいお兄さんが、学園長?


「優しいお兄さん?」


 私が呟くと


「覚えてたのか?」


 学園長の目が優しくなった。


「君は『お兄さんみたいな優しい人が婚約者だったら良かったのに』って言ったんだ。私は目付き悪いから、優しいなんて言われた事は無かったから、嬉しかった」


 優しいお兄さんは、そんなに目付き悪くなかったと思うけどな。


「ロットワイラーの婚約者じゃなかったら、と、どんなに思った事か…でも今、婚約は白紙になった。私にチャンスをくれないか?」


 学園長は、私の前に跪いた。

おぉ~!貴族のプロポーズだ…


そんな、ゲームや小説みたいな事ある?

…アリエ…なんでもない。


私は、お父様を見た。


お父様は


「思うようになさい」


 と言った。浮気王子がお茶会に毎回来なかった事を知ってるから、今度こそ幸せになれるかもしれないと思っているのかも…


あれ?護身術を習いたい事を学園長に相談しろって言ったの、そのせい?


まさか?学園長に、そんな素振り無かったし…と思っていたら、お父様が言った。


「お茶会が室内になったのも、毎回誰かが話し相手になってくれたのも、全部、王弟殿下が手配してくださったからだ」


 そういえば、最初だけ外で、あとはずっと室内だったな…

外で待たされて、寒かった…


 お兄さんが、お兄さんの上着を私に掛けてくれて、なんて優しいんだろう…と思ったのを思い出した。

それに、毎回浮気王子が来なくても、作法の先生とか、色んな勉強の先生や大臣が、話し相手になってくれていたから、有意義な時間を過ごせた。


全部、学園長がしてくれたの…?


「ありがとうございます。正直、1度も会った事のない殿下と、どうやって過ごせば良いのか悩みましたので…婚約者と、どう接するのか分かりませんが、よろしくお願いします」


「…!あぁ…ありがとう!」


 学園長は、私の手を取り、手の甲に口付けをした。


「一生大切にする」


 わ〜!イケメンの上目遣い、破壊力が半端ない!


「1度も会った事が無い?!」


 国王が、目を剥いた。


「お茶会を何度もすっぽかしているとは聞いたが…」


「何度もではありません。毎回です」


「そうか…愚息が申し訳なかった…」


 国王が頭を下げた。


「いえ…国王が謝ることではありません」


「いや、早く気付いてきちんと叱れば良かった。いつかは王子としてキャバリア嬢を大切にすると思っていた私がバカだった…」


 まぁ、今更遅いけどね。


三つ子の魂百までって言うし。

どう足掻いても、変わらなかったんじゃないかな。


「では、王弟殿下との婚約を祝福してください」


「ありがとう…キャバリア嬢……おめでとう」


 バカな子ほど可愛いって言うし、現実が見えて無かったのだろう。

仕方ないよね。


「おめでとう!叔父上、キャバリア嬢」


 国王と共に、ケアーン殿下が祝福してくれた。


「ありがとうございます」


「ケアーン殿下、王太子決定おめでとうございます」


「ありがとう。叔父上と共に支えてくれると嬉しい」


「かしこまりました」


 これで良かったのかな。

浮気王子は、王太子に向いてないし。優秀なケアーン殿下が王太子になれば、この国は安泰かな。



 あ、ゾンビ…


学園長に、ゾンビの事、何て説明しよう?


もし、どこからかゾンビの…ウイルス?的なのが出てきたら…それが人体に入って、どれくらいでゾンビになるのか?


ゾンビになるまで◯日とかあったような?

噛まれたら、すぐにゾンビになるんじゃないの?

なら、まだ間に合うかな?


 痒いうま


感染症が拡がる映画もあったな…

感染した村を燃やしていた。燃やせば外には拡がらない?



 私は、学園長と2人きりになった時に、相談した。


「学園長…国境の事ですが」


「うん?どうした?」


「もし、何かの感染症だとしたら、外に漏れないように、封じ込めなければならないと思います」


「感染症?」


「人から人に症状がうつる病です。でも、本当に感染症かは分からないし、何が原因の異変かも分からないのです」


 私は正直に言った。


「封じ込めるには、どうすれば良い?」


「死体は焼却。その地域の物を飲食しない、持ち出さない、誰も近付けない、とかでしょうか」


「もし、感染症に掛かっていると思われる人物がいたらどうする?」


「他の人にうつす可能性があるので、逃げないように閉じ込めるか…最悪の場合は…」


 私が黙ると


「処分するしかないか」


 頭を部位破壊です。

もし、騎士達が偵察に行った時に、ゾンビに襲われたら、屈強なゾンビが爆誕する!?


「身体が緑の人か、暴れる人がいたら、頭を破壊してください」


「頭を破壊?」


 私からそんな言葉が出るとは思わなかったのだろう。学園長が目を丸くした。


頭を破壊しないと暴れまわる感染者って、相当ヤバいかもしれない。


「分かった。騎士団に知り合いがいる。伝えておこう」


「あと、噛まれないようにしてください!」


「噛まれないように…?分かった」


 学園長は、側近に指示を出した。


「大丈夫だ。何かは分からないが、手は尽くそう」


 学園長が背中を撫でてくれた。


「信じてくれて、ありがとうございます」


「好きな女の事を信じなくてどうする」


 真顔で言わないで。イケメンが言うと破壊力が凄い。


「私の事はエアデールと呼んで欲しい」


「え?」


 貴族って、親しい人にしか名前を呼ばせないんだっけ?

…名前を呼ぶのって、ちょっと恥ずかしい…


「君もそんな顔をするんだな」


 今更気が付いたが、背中を撫でられているから、学園長が近い。ものすごく。


 脳内の某アイドルが「エンダー!」と歌い出した。

待て。これって恋?

恋に落ちたの?


いつから恋愛映画になった?







 浮気王子とヒロインは、離宮に幽閉されたそうだ。

でも、ヒロインが


「私を大切にしないと、大変な事が起こるわよ!」


 と喚いているらしい。


大変な事って…ゾンビの事?


ヒロインがゾンビを呼び出したの?


どうして?ヒロインなのに?


それとも、ヒロインが呼び出して、ヒロインが解決するって事?


マッチポンプってやつ?


何でヒロインが!?


何故なんだ もしやヒロイン 諸悪の根源?(字余り)


ヒロインがいる限り、ゾンビが来る?






「お待ちしていました」


 バーニーズが、ソファに座って微笑んだ。

私は黙っていた。

バーニーズに、離宮に呼び出されたのだ。

 愛しのキャバリアを貶めた女め、許すまじ。という思いは、おくびにも出さない。


「貴方はエアデールなんですね!メイドから聞きました!レア攻略対象者!会いたかったです〜」


 何て?こうりゃく…何て?


「私、エアデールに会いたかったんです。学園長が、全ルートクリアしないと出て来ない、隠しキャラだったなんて〜!早く教えてくださいよ〜」


 バーニーズは、立ち上がり、私に近付く。


私はバーニーズから素早く離れた。


「照れているんですか?可愛いですね」


「ロットワイラーはどうした?婚約者だろう?」


 私は冷たく言った。


「あぁ…あれは、もう良いんです。王太子じゃなくなったし。それより、エアデールですよ。私と結婚しましょう!ヒーローになれますよ」


 さすが、婚約者がいる男に擦り寄った女だ。

婚約者がいるのに、バーニーズを選んだロットワイラーと同じ浮気者同士、お似合いだな。

 しかし、ヒーローになれるとは?

キャバリアが心配している事か?

少し話を聞いてみるか。


「ヒーローになれるとは?」


「これから、王都は、ゾンビに襲われます!私とエアデールがゾンビを倒して、国の英雄になるんです!」


「ゾンビとは…何だ?」


「ゾンビはゾンビです。噛まれるとゾンビになるから気を付けてくださいね」


 噛まれるとゾンビになる?キャバリアが言っていた感染症に掛かった者か?

身体が緑だったり、暴れる人がゾンビなのか?


「ゾンビは…何で緑なんだ?」


「ゾンビだからです!」


 訳が分からないよ。


「何故ゾンビに襲われるんだ?」


「私が呼ぶからです。そして、私が倒す事で国中から褒め称えられる…!私が本物のヒロインになるのよ!」


 人の生命を犠牲にして?


「そうか…凄いな…どうしたら、ゾンビを呼べなくなる?」


「私は、皆から愛されるヒロインなんです!ヒロインは何でもできるんです!」


 頭おかしいのか?


「素晴らしいな。どうやってゾンビを呼ぶんだ?」


「ゾンビ来いって言ったら来ます」


「どうやってゾンビを倒すんだ?」


「ゾンビ消えろって言ったら消えます」


「すごいんだな…」


「私はヒロインですから!だから、私と結婚しましょう!」


「結婚してどうする?」


「エアデールを王様にしてあげる」


「王様…?国王ということか?」


「そうよ!嬉しいでしょ!」


「国王は、別の者が内定している」


「じゃあ、そいつ殺すわ」


「殺す?」


「だって、私はヒロイン。王妃になる存在よ!」


「私は国王になどなりたくない」


「そんなの嘘よ!」


「それに私には婚約者がいる」


「そんなの、ゾンビに襲われたのをそいつのせいにして、国外追放してやるわ!」


 ロットワイラーと結婚する為に、そうやってキャバリアに罪を着せたのか?

だが、今は何故私なんだ?


「どうして私にこだわる?」


「そんなの、レアキャラだからに決まってるじゃない!私はヒロインよ!皆から愛されるヒロインなの!エアデールも私が好きでしょ?」


「…ゾンビは、2度と呼ばないでほしい」


「私と結婚すれば呼ばないわ」


「本当に?」


「本当よ」


「嘘ではないか?」


「結婚式の時に、ゾンビを呼べなくするわ」


「どうやって?」


「ゾンビを呼べなくしてって言えばいいの」


「結婚式をした後に、嘘でした…と言われる可能性もある」


「しつこいわね。私はヒロインよ。皆から愛されるの。私と結婚しなさい。ゾンビをもっと呼ぶわよ!…まぁ、失恋したら、ゾンビは呼べなくなるけど」


「では、結婚式の準備をしよう。ひと月ほどかかるから、待っていてくれ」


「分かったわ!豪華な式とドレスを用意してね」


「分かった」


 私は、部屋を出た。

バーニーズは狂っている。

何でも自分の言う通りになると思っている。


とにかく、国境全域へ追加で騎士団を派遣しなければ…






「あら、悪役令嬢のキャバリアじゃない。良いこと教えてあげるわ。エアデールと私、結婚するの」


 離宮に幽閉されているはずのヒロインが、王城のエアデールの執務室にいた。


「今日は、ウエディングドレスの試着に来たの」


 執務室には、真っ白いウエディングドレスがあった。


「素敵ね」


「そうでしょ?悪役令嬢は、ロットワイラー様から婚約破棄されて、ざまぁ見ろ!……レアキャラのエアデールは私のものよ!自分の味方だと思っていたでしょ!残念でした〜」


 レアキャラ?もしかして、ヒロインって転生者?

乙女ゲームを知ってる?

エアデールって、レア攻略対象なの?


それに、この国のウエディングドレスは、カラフルだ。婚約者の色が多い。


だから、白ということは、相手が白髪か、転生者くらいしかない。


「まぁ…どうぞお幸せに」


 私は、そう言うと、執務室を出た。


 普通なら、そこでヒロインの話を信じて、エアデールとの関係が悪化する。

 だが、何故本人に話を聞かない、と毎回ツッコミを入れる私は、本人に聞きに行く。


というか、ヒロインの結婚式をすることは、既に知っている。

ヒロインに呼ばれた日に、誤解されたくないからと、エアデールが全て話したのだ。


すぐに、追加で国境全域にゾンビ対策をして、現在はゾンビになりそうな人はいない。


 騎士団の調査で、何も無い空間から、ゾンビが現れたのを、村人が何人か目撃していたらしい。

 逃げ延びた人に話を聞けたようだ。


突然現れた緑の人に、驚いているうちに、ゾンビに噛まれた。


 噛まれてから、5日くらいは、正気を保っていたらしい。

その後、身体が緑になって、人に襲いかかったそうだ。

 だが、その頃には、騎士団が到着して、ゾンビを倒した。


 国境の村の5つに、ゾンビが現れたようだ。

他に被害が無くて良かった。


ただ、ゾンビ対策をした事はヒロインには伝わらないようにした。

ゾンビの事を知っているのは、王家の方々と、宰相や部下、騎士団などだ。


 またゾンビを呼ばれたくないからヒロインに気付かれないように、王都の人々にパニックを起こされないようにだ。


それにしても、ロットワイラーと結婚するのかと思っていたら、エアデールと結婚するのか。


普通の攻略対象より、レア攻略対象ってこと?


それなら、実は隠しレア攻略対象がロットワイラーって事にしたら、またロットワイラーと結婚するかもしれない?


 何か…考えるのもバカらしくなってきた。


ゾンビには気を付け続けて、あとは、結婚後について考えなくちゃ…


エアデールは、公爵だから、公爵夫人になる教育を受けている。


そう、エアデールと結婚するのは、私。既に婚約した。


 ヒロインに、エアデールと結婚すると思い込ませて、ゾンビを呼べなくする計画だ。


妃教育も、公爵夫人になる為の教育も受けてないのに、なるつもりなの、凄いなぁ…


 きっと、貴族はドレスや宝石に囲まれて、お茶会や夜会に出てチヤホヤされるだけ…とか思ってるんだろうなぁ…

 私も、そんな風に思っていた頃もありました。


ロットワイラーとバーニーズが、浮気していた時は、ドレスや宝石を貢がせて、お茶会をしていたみたいだし。

 ロットワイラーも、王子としての執務をしてなかったみたいだし。

知らないんだろうなぁ…


 そういえば、他の攻略対象達も、ヒロインに貢いでいたらしい。それなのに本命はロットワイラー。そのロットワイラーも、レアというだけでエアデールに変わった。御愁傷様。






 王都の大きな教会で、盛大な結婚式が行われる。


ウエディングドレスを着て、上機嫌なバーニーズ。

沢山の招待客に祝福されている。


祭壇の前に、エアデールが、花婿衣装で立っている。


まさか、隠し攻略対象のエアデールと結婚できるなんて思わなかった、とバーニーズはほくそ笑んだ。


祭壇の前まで歩き、エアデールと向かい合う。


「約束だ。ゾンビを2度と呼び出さないと誓え」


 エアデールが、耳元で囁く。


「分かってるわゾンビを2度と呼び出さない」


 バーニーズは、小声でエアデールに言う。


「本当に、もうゾンビは呼べなくなったのか?誓いの後に、嘘でした…と言うのは無しだ」


「本当に呼べなくなったわ。だから、私に愛を誓いなさい」


「信じられないな」


「本当よ。ゾンビ目の前に出てきて……ほら、出て来ないでしょ」


「…そうか」


 エアデールは、司祭を見た。


「では、2人共、目を閉じてください」


 司祭が言った。


この国では、結婚の誓いをする時に、目を閉じるのか?と、バーニーズが思っていると


「2人は、この先何があろうと、永遠の愛を誓いますか?」


 司祭の言葉に、バーニーズが言う。


「誓います」


 隣からも


「誓います」


 と声が聞こえた。


あれ?エアデールの声が変?と思ったバーニーズは、目を開けて新郎を見た。


「はぁ!?何でロットワイラーがいるのよ!」


 バーニーズの目の前には、ロットワイラーがいた。


「何でって、永遠の愛を誓ったじゃないか」


 ロットワイラーは、事も無げに言う。


「私は、エアデールと結婚するのよ!」


「何を言っている!バーニーズは私とたった今結婚した!永遠の愛を誓った!」


「ふざけないで!エアデール!どこなの!?」


 バーニーズの叫びに、招待客がザワつく。


「結婚おめでとう、バーニーズ嬢」


 司祭の後ろにエアデールが立った。隣には、キャバリアがいる。


「おめでとうございます。ロットワイラー殿下との真実の愛を見つけ、永遠の愛を誓うなんて…夢が叶いましたね」


 しれっと言うキャバリア。


「何を言ってるのよ!ゾンビを呼ぶわよ!」


 いきり立つバーニーズに、冷たく言うエアデール。


「おや?呼べなくなったのでは?」


「騙したのね!」


「騙したなんて酷いな。バーニーズ嬢の結婚式とは言ったけど、誰も、私とバーニーズ嬢の結婚式とは言ってないよ」


「そんな…!!」


 エアデールは、一言も、バーニーズと結婚するとは言っていない。

嘘でも、バーニーズと結婚するとは言いたくなかったのだ。


「良かったな。キャバリアから奪ったロットワイラーと結婚できて。おめでとう」


 エアデールが拍手すると、招待客達も拍手した。


「皆、祝福ありがとう!」


 拍手に応えるロットワイラー。


「ゾンビ来いゾンビ来い!目の前のこいつらを殺して…」


 バーニーズが呟く。だが、ゾンビは来ない。


「そうだ…私は、このキャバリアを愛しているから、キャバリアと結婚するから」


 とても良い笑顔で、エアデールが言った。


「はぁ!?」


 バーニーズがエアデールを睨む。


「ずっとキャバリアが好きだったんだ。ロットワイラーを奪ってくれてありがとう。バーニーズ嬢には感謝しているよ。ロットワイラーと永遠にお幸せに」


 エアデールの言葉に、バーニーズは愕然とした。


「ロットワイラー、バーニーズ嬢とお幸せに」


「ありがとう叔父上!」


 ロットワイラーも、笑顔で応える。


「では、披露パーティーへ行こうか」


 ロットワイラーに引き摺られ、バーニーズは披露パーティー会場へ行った。


「どうして…私はヒロインなのに…」


 披露パーティーの後、ロットワイラーとバーニーズは、離宮に閉じ籠もり、常時監視され、2度と外へと出る事は無かった。


「逃さないよ…バーニーズ」


 捨てられそうになったロットワイラーは、愛と恨みを込めて、バーニーズを閉じ込めたのだった。


「バーニーズと結婚させてくれた叔父上には感謝だなぁ」


 ロットワイラーの黒い笑顔に、バーニーズは、引き攣った笑顔を返すしかできなかった。






「これで、邪魔者はいなくなった。次は私達の結婚式だね」


 笑顔でエアデールが言った。


ゾンビ問題も解決したし、協力してくれたエアデールには感謝だ。


 とはいえ、こんなに愛されるとは思っていなかった。


「お手柔らかに…」


 キャバリアは、逃げられない事を自覚し、エアデールの手を取った。


読んでいただきありがとうございます


私「ゾンビ何で緑なの?」

姪「ゾンビだから」


実話です。

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