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見上げた空の下
「っていうのどうですか?」
「えっめっちゃ怖い」
「何で私達死んでるのよ!」
「アンちゃんそれ願望? 勇者くん、魔王になっちゃったじゃん」
「お茶入れましたよ〜」
狭いテントの中、5人の男女は身を寄せ合いながら談笑していた。皆、顔を綻ばせ、心の底から楽しそうに笑っている。
ふと、鎖の付いた首輪を付け頭に大きな角が二つ生えた女が、男の一人をジッと見る。
「…………お帰りなさい、ご主人様」
そう呟いた声は誰の耳にも届かずに喧騒に紛れ消えていった。
-fin-