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ブリキ缶

 たたたたたっ!

 たたたたたっ!

 

 ふたたび小男の抱えるマシンガンが火を吹き、銃弾が送り込まれた。しかし銃弾の反動でマシンガンの銃口が踊り、狙いはあさっての方向に向いてしまう。ただでさえマシンガンの狙いはつけづらいのに、小男は片手で帽子を押さえたままだから、まず命中することは不可能だ。

 そのうち、銃弾が切れてしまった。がしっ、とマシンガンのマガジンが銃弾を送り込むことをやめ、ジェイクは悪態をつくとまた車内に引っ込んだ。

 

「ちぇっ! 当たらねえ!」

 つぶやくとマシンガンを足もとに放り出した。背後をふりむくと、パトカーの群れは何事もなかったように追跡を続行している。

「ウッド、ほかになにかねえのかよ?」

 ウッドはうなずくと、ふところに手をいれ、今度は一個のブリキ缶を取り出した。受け取ったジェイクはブリキ缶の蓋を開け、中身をのぞきこんだ。

 ジェイクの口もとがにやりと笑いを形作った。

「こいつはいい! これなら効きそうだ」

 ブリキ缶の中に詰め込まれていたのは鉄釘であった。ジェイクはふたたび窓から身を乗り出すと、缶の中身を道路にぶちまけた。

 ざらざらと音を立て、無数の鉄釘が地面に撒き散らされる。ぴん、ぴんと跳ねるように釘はパトカーの群れへ送り込まれた。

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