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防衛軍

「司令官殿、ステットンのテレス署長という者から防衛軍出動要請がありました!」

 部下の報告にワイト司令官はデスクから立ち上がった。司令官の階級は大佐である。ただしこちらのほうは正真正銘の大佐である。大柄な中年の男で、髪の毛は短く刈り上げ、口にはパイプを咥えている。


 郡の防衛軍司令部は非常事態に備え、つねに防衛出動が可能な状態に保たれている。しかし実際に出動要請がなされることはほとんどなかった。それがなされたいま、ワイト司令官はおおいに緊張した。


「出動要請? 理由は何だ」

 部下は背をまっすぐ伸ばし、直立したまま感情を交えず報告を続けた。

「はっ、なんでも町にロボットが出現し、暴走を続けているそうであります! 建物、住民ともに被害をこうむり、またロボットを操縦しているのは銀行強盗犯だという情報も入っております」


 ふうむ、とワイト司令官は眉をしかめた。


「そのテレス署長というのは確かな人物なのか? 報告に間違いはないか? あやふやな情報で出動して、恥をかくのは御免だぞ」

「人物は確かであります。過去にも何度も事件を解決した実績があり、部下にも信頼をうけております」

 うん、とうなずいた司令官は部下に命令した。

「わかった。さらに調査をつづけ事情を聴取するように。その町……ステットンとかいったな……そんな大騒ぎになっているというなら、ほかからも情報があるはずだな」

 部下はさらに背筋を伸ばした。

「はい、ステットンの住民からの電話による報告が多数、警察本部に届いております」


 司令官は怒号した。


「なぜそれをはやく言わん? よし、全軍に出動を命じる! 非常事態レッドを発令!」

 最後の言葉はデスクのインタホンに向かって発せられた。インタホンからは「非常事態レッド発令!」とすぐに復唱があった。


 ううう~……と、司令部にサイレンの音が響き渡る。ばたばたと何人もの駆け回る足音が廊下の向こうから聞こえてくる。


 いま郡防衛軍司令部はながい眠りからさめたのだった。

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