追跡
大佐は悔しさに身を震わせた。
「くそう……まだ動けるとは!」
その大佐の戦車の前面に署長のパトカーがまわりこみ、前方をふさぐ格好になる。
ぬっ、と大佐は前を睨んだ。
「署長! 邪魔をするでない! わしがステットンの町を守ろうとしているのが判らんのか!」
「なにが守る、だ! あんたのやっていることは町に被害をあたえているだけじゃないか! すぐ戦車から降りなさい!」
署長は喚き返した。
せっかくロボットを捕獲できたと思ったのに、大佐に邪魔をされてかれもまた怒り心頭に発していた。
大佐はばんばんと戦車の外板を叩いて叫んだ。
「どけ! 踏み潰してでも通るぞ!」
「あたしがいても?」
ミリィの声に大佐はあんぐりと口を開けた。
後席の窓が開き、ミリィが顔を突き出した。
「あたしがいても踏み潰すつもりなの? お祖父ちゃん」
ぬぬぬぬ……!
大佐は呻いた。なぜミリィがこんなところにいる? 戦車にひそかに乗り込んで、そのあと落下したのは確認していたが、まさかテレス署長の車に乗り込んでいたとは。
ミリィは署長に話しかけた。
「署長さん、ぐずぐずしていないで、ロボットの先回りしましょうよ!」
おっ、と署長は声をあげた。そうだ、こうしてはいられない。とにかくあのロボットを止めることが先決である。
「二号車、三号車! ついてこい!」
署長の命令で、三台のパトカーは鼻先をそろえ、ロボットの追跡に移った。それを見ていた大佐は無視されていよいよ怒りをつのらせた。
「ヘロヘロ! あいつらに先を越されるな! 全速力だ!」