ロボット
うずくまる巨大なそれは、ロボットだった。
どっしりとした胴体、図太い手足は金属のひややかな光沢をはなっている。むきだしのメカはいまにも動き出しそうだ。ミリィは思わず二、三歩あとじさる。
「見たらわかるだろ。ロボットだよ」
パックは言わずもがなのことを口にする。
「なんでこんなものがあるのよ?」
「だから、おれが作ったんだ」
「あんたがぁ?」
ミリィの語尾は驚きに跳ね上がった。
うん、とうなずきパックは得意そうに鼻の先をこすった。
「なんで、こんなの作ったわけ? 第一、あんたロボットの運転免許持ってるの?」
「免許はないけど、一度作ってみたかったんだ。パワー・ユニットの中古が手に入ったんで、あちこちの部品を集めてロボットにしたんだ。どうだ、よく出来てるだろう?」
あまりのことにミリィは答える気力もなくしていた。
あちこちの部品という言葉どおり、目の前のロボットの部品はてんでばらばらで、よく見ると継ぎ目だらけで、左右のバランスも変だ。
しかも一度作りたかったから……なんて理由で作ってしまうとは!
はあ……ミリィはため息をついた。まったくどう答えていいやら。
「とにかく、一度お祖父ちゃんのところへ顔出しなさいよ。そうだ、これから一緒に行こうよ!」
そう言うとミリィはパックの腕を取り、無理やり立たせる。
「な、なんだよ……まだこいつは完成していないんだ。もうちょっとで完成するから……頼むよ!」
「そんなの、あとでも出来るでしょ? いいから来なさい! あたしのスクーターの後ろに乗せてあげるから」
ぐいぐい引っ張り、パックを納屋から外へ出してしまう。ちぇ、とパックは肩をすくめた。四の五の言わさず、ミリィはパックをスクーターに乗り込ませた。