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パック

 ミリィはそっと声をかけた。


「パック……」


 びくり、と背中が動いた。

 くるりとこちらを振り向き、少年の顔があらわになる。目を細め、扉の隙間からのぞくミリィの顔を見つめる。黒い髪の毛に、太い眉。ぎょろりとした大きな目の、まあハンサムとは言いがたい少年である。


「なんだ、ミリィか……」


 つぶやくとまたこちらに背中を見せた。

 ミリィはかっと顔に血が上るのを感じていた。


 なんて言い草なの!

 なんだ、ミリィか……ですって?


 大股にミリィはパックの背中に近づいた。

「なにやってんの? お爺ちゃんが、あんたに用があるみたいよ」

「大佐が?」

 つぶやいてパックは首をねじむけ、ミリィの顔を見上げた。ちょっと首をかしげる。

「もしかして、あれのことかい?」

 ミリィは肩をすくめた。

「あたしにわかるわけ、ないじゃない。でも、お爺ちゃんがあんたに用があるといったら、あれしかないかもね」


 ふうん、とパックはうなずいた。


「でも、あれに関しては、もうおれのやることないんだけどなあ。すっかり修理は終わっているし……」

「本当? いつの間にやったのよ?」

 へへっ、とパックは笑った。

「ま、暇を見つけてね」

「とにかく、お爺ちゃんのところへ一緒にいかない? あたし、送ったげるから」

 うーん、とパックは煮え切らない返事をする。ミリィはむらむらと腹が立ってきた。

「いったい、こんなところで何やってんのよ?」

 彼女がシートに近づくと、なぜかパックはあわてた。

「あ、よせよ! まだ、誰にも見せるつもりはないんだ」

 なんですって……、とミリィはシートの端を掴んだ。こうなったら、無理やりでも見せてもらおう!

 とにかくパックがこんなところでこそこそしているのが腹立たしいのだ。ミリィはシートを掴み、思い切り引っ張った。


 わあ! と、パックは悲鳴をあげた。


 ばさり!


 シートが引っ張られ、中のものがあらわになる。

 それを見上げ、ミリィはぽかんと口を開けた。

「こ……これ……! なによ?」

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