だからこそ往かん かの国へ
「僕達貴族は…社会にとって、不要な存在なのでしょうか…淘汰されて然るべき、なんでしょうか…」
「いや、私は必要だと思ってるよ」
きっぱりと言い切れば、唖然としてこちらを見上げる顔。
「…で、も、あれだけ我々が平民にとって、たんこぶだと言っていたじゃないですか!」
「それは1面から見たらね!単純にそれだけで判断なんて出来ないでしょー。例えば本当に革命が起きたとして「不謹慎!」例え話だから!…外交、貿易、軍事防衛、それらを簡単に新政府が回せるわけないじゃない!いちから作るのなんて大変よ?今までの仕組み使おうとしたって、そこにはどうしたって、今の貴族が入り込んでる。にっちもさっちもいかなくなって国は乱れるわ」
前世の記憶を辿ってみても、政権をまるごと変えるような大仕事はその後が大変なのだ。
長寿政権や王朝が終わったあと、短期政権が多いのはそれがほぼ要因だろう。
「不謹慎上等で言えば、長く続く体制っていうのはね、少なからず腐敗してるのよ」
「夢も希望もないこといいますね!」
「本当のことだもの。ただ長く続いてるってことは、腐敗してたり頭が足りなくても、ある程度なんとか回るように出来てるの!それこそが現行体制の強みよ!」
「本当に不謹慎ですね?!外でぜっったい言わないでくださいよ!首飛びますよ?!」
「本当の…「本当のことでもです!!!」」
はぁ、と早熟な弟は溜息をつく。
「姉上の言いたいことは分かりました。貴族制度の衰退は免れなくても、落とし所として現行体制…貴族と平民層の協力体制…を作ることは出来るって言いたいんですね」
「その通りよ、というかそれが出来なければ革命になりかねないし、そうなれば国が乱れ…最悪無くなるわ」
内政が混乱した国なんて、諸外国の格好の餌食である。
「5年というのは…その間までには、平民層の力が貴族達を上回ると言うことですか?」
「ううーん、それはね…どっちかっていうと外部要因かなぁ…」
「外部?」
「あの、お隣のフランテ王国」
「はい、隣国の」
「あそこちょっとまずいよね、うん」
「は?」
「5年位であそこで革命が起きそうな雰囲気だよねぇ、そしたらこっちにも流れくるよねぇ…」
ーその時までに、私達が平民層の支持をあげて、緩やかな変化に持って行けるかが際だよねー。
さらっとそんな事を言ったものだから、目の前の弟の顔が、さらに恐ろしいことになったのであった…




