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第20深 ダンジョンウォーズ。



 …嗚呼。


 残念なるかな。


 ソラの予想はハズレていなかった。


 ──蠢いている。殺気立った気配が魔物の形を成して。しかもそれは膨大な数にのぼっていて──


 支配領域内の事象ならこのように明確過ぎて把握出来るようになったソラなのだが、それでも直に目視せずにいられなかった。それは人間だった頃の名残りだけではない。これは嫌が応にも加速する悪い予感に急かされたため。ソラは隻腕というハンデをものとせず大樹をスルスルと登り、たどり着いたその場所から眼下を見下ろす。その結果


「う ぁ…こりゃぁ…」


 思わず洩れてしまった声がこれ。

 それほどの光景が広がっていた。


【まさに大軍勢ってやつだな…】


 内蔵ダンジョンの声がソラの脳内には妙に厳しく響いていた…





 …今日、偶然遭遇し皆殺しにしたあの魔物の混成部隊…アレはきっと、ほんの一部に過ぎなかった。


 アレは、常にない連携で得た力に溺れてはしゃぎ、そのついでとして人類圏へ悪さをしようとしただけのハグレ集団だったのだろう。


(姉御は俺のことをスタンドプレーの権化とか言ったが…)


 ヒミがソラに貼ったそれは、何気ないレッテルだったのかもしれない。だが、


(…その、通りなのかもしれない…)


 今となっては重く、大きく、ソラの背にのし掛かる。


(……だって()()は、俺が…招いてしまっ …た?)


 ──突然に得た力に溺れてはしゃぐ…それは自分も同じだったのではないか?──


 そんな風に思い当たってしまえばもう、悔やんでも悔やみきれなかった。見下ろす先にあるのは…



 豚、豚豚豚豚豚時々猪、そして豚の顔。

 犬、犬犬所々に狼、そして犬の顔。

 邪鬼、大中小の体躯の邪鬼の顔。


 それらが地上を埋め尽くしていた。

 ひしめき合っていた。


 通常より数倍の不快指数で樹上まで届くは、あまりな過密状態から吹き上がる異臭と熱気。


 魔物特有のそれをオーガ憎しと振り撒きながら、大々規模で包囲網を敷くあの大軍勢こそ…


「三竦みの本隊…クソ…なんてこった…こんなにいたのか…」


 下位種族とはいえあれほどの数が揃えば脅威過ぎて脅威…。ソラは心底から思っていた。あれが人類圏に雪崩れていたら、本当に危なかったと。


 そんな(おそ)れを噛み殺し、鬼岩砦の入り口へと視線を向けてみれば数十体のオーガが奮闘していた。混成軍に対して器用に出たり引っ込んだりを繰り返しながら、交代制で蹂躙しまくっている。

 対する混成軍はといえば、連携が機能しているようだったがそれも虚しく蹴散らされてしまっている状況だ。オークやコボルトやゴブリン達が次々と肉片へと変えられいく。


 濃い魔物臭に早くも濃い血臭が混入し始めていた。


(…だけどこれは…)


 あまりにあまりな多勢に無勢。


 オーガ達は交代する事で今のところは消耗を分配して何とかしのいでいるようだが…それもきっといつかは瓦解する。鬼岩砦内部に混成軍が雪崩れ込むのは時間の問題だろう。それほどの勢力…まさに数の暴力だった。

 

「狂戦士化の急先鋒になるだろうオーガどもを抑えてくれてんのは有難いが…」


【まあ…ダンジョン内に移ってからが本当の戦いになるんだろうが…ともかくこれはこれでやべえぞソラ。どっちが生き残ろうが他のダンジョンに与える影響は量り知れねえ。】


「…ああ。…このエリアのパワーバランスが完全に崩壊してしまう…」


 ダンジョン同士の戦いは、通常なら消耗の激しさが看過できないレベルに達すると互いに手を引き終息する。


 しかし、今ソラの眼下で起こっているような状態…つまり同等の勢力がぶつかり合って互いの全勢力を賭けるような…まさに『全面戦争』と言っていい状態にまで発展するともう、手がつけられない。こうなるとどちらかのダンジョンが消滅するまで終わらないのだ。


 この戦争状態は『ダンジョンウォーズ』と呼ばれている。このエリアではスタンピード以上に危険視される現象だ。


 ダンジョンウォーズの厄介な所は、敗者が消滅し、勝者が消耗するというなら人類にとっても都合が良いのだが、決してそうはならない所……そう、戦っているのはダンジョンなのだ。勝者となったダンジョンは敗者となったダンジョンの力を、丸ごと『吸収』出来てしまう。その結果、勢力圏と戦力を少なくとも倍…いや、それ以上に拡大してしまう。今回のダンジョンウォーズがどういった経過を辿るか、それは予測不能だが最悪…


鬼岩砦(オーガフォート)

豚人の巣窟(オークネスト)

犬魔の草丘(コボルトヒル)

邪鬼鉱山(ゴブリンマイン)


 これら4つものダンジョンが統合される事態だってありえる。


 そしてそんな突出し過ぎた勢力が現れてしまえば?他のダンジョンも黙っていられなくなるはずだ。


 戦力の均衡を計るため、今回発生したようなダンジョン連合体もしくは、ダンジョンウォーズを経た統合体が他に生まれるかもしれない。それも数多く。そんな最悪の連鎖の後に何が起こるか……その全てがこぞって参戦するなんて泥沼に発展すれば──


【このエリア内全てを巻き込んだ『ダンジョン大乱戦(バトル・ロワイアル)』の完成だ。…そうなりゃ最悪だな。人間なんか一瞬だ。つまりは一溜りもねえ。】


「ああ、くそったれな話だが……その通りだ。」


【でもな。さすがにこの数を相手にお前お得意の無茶をやらかすのは無理筋だからな?こんなもんに今の俺達が手出し出来ねえ事ぐらい、お前にも分かってんだろ?】


「………。」


【…おい。引き返すぞソラ。俺達は俺達で出来る事をするしかねえ。…だろ?】


「… …… ……… …………」


【………おい!聞いてんのかっ!】


「…ぁ…ああ。…そうだな…分かった…」



 ソラ達に出来る事。


 今のそれは、眼下に蠢く『三竦み混成軍』のはぐれ部隊と遭遇した事を切っ掛けに、随分と後回しにされてしまったが…



 『強くなる事』これだけだった。



 今やっとその本題に立ち返ったソラ達は不本意ながら撤退を選ぶしかなく、当然、その心は穏やかでいられない。


 統治局の陰謀。

 広がりゆく狂戦士化の影響。

 オーガ達の暴走。

 三竦み混成軍による突然の大侵攻。

 探索者組合はストライキ。

 その間にダンジョンウォーズ。 

 

 果ては…11区内全てを巻き込んだバトル・ロワイアルという破滅の未来。


 このエリアを取り巻く不安材料を数え上げてみればあまりに多く、しかもその全てが連鎖して悪い方向に向かおうとしている。この、分かりやすいほどに見えてしまった滅びの流れを、本当に断ち切る事など出来るのか…それを思えば不可能を連想する。かといって何もしないなんて選択肢もありえない。だというのに今、自分達が出来る事と言ったら…強くなる。ただこれだけだ。


 本当にそれだけでいいのか?


 当然良いわけがない。それをしている間に事態はさらに悪い方向へ転がっていくに違いないのだから。…しかし、それでもそうするしかないのも、また事実であり…


 …堂々巡りして止まない思考。実に歯痒い。口惜しい。人間を辞めてまでして力を得たというのに…


(…クソっ、こんなもんか…!俺はっ)


 ()()()()()()()()()()、人間の域を踏み外したばかりの『無力な個』に過ぎなかった。





 ならばダンジョンに真に対抗しうる存在へとなるしかない。たとえ怪物と呼ばれる事になっても…。






 そんな決意を新たに、内蔵ダンジョンに再びダイブすべく家路を急ぐソラ達だったが、この時はまだ知るよしもなかった。



 そこで更なる誤算が待っていようとは。




《たまには。》


 そうたまには。


 クレクレ以外もしないとな。

 そんな気が猛烈にしたんで。


 今日は私が影響受けまくった映画を少しご紹介します。


 すでに見てる人も大勢いることと思いますが。何となくでも『あー作者ってこんなバカかー』ってなっていただければ。ではいきますねー。


 今回は『ハイランダー悪魔の戦士』


 首チョンパ以外では完全に不死身仕様な人達が実はいて、歴史の影では『最後の一人』となるべくチャンバラ縛りで死闘をくりひろげておりました設定。

 …ええ。今思えばかなり強引な設定です。夢だけ詰め込んでみた感、半端ない。劇中で主人公の刀鑑定してみたら日本史破綻しまくってますものの見事に。あれはやり過ぎ。

 だ、け、ど、その強引グマイウェイ設定に主演クリストファーランバードさんのミステリアスにも程がある雰囲気(演技力についてはあまり考えないこと!)とか、敵役の俳優さん(名前知らないけどスターシップトルーパーとかロストにも出てたな!)の突き抜けた怪演とか、この作品の随所に散りばめられたくっそスタイリッシュかつエネルギッシュなクイーンの楽曲とかが、、嗚呼もう、、ケミストリーったらケミストリー!えッッぐいくらいにハマりまくってます。

 つか、制作費スゲーかかってんだろーけどB級感漂いまくりな今作なのに…え?何故出演したの大御所俳優ショーンコネリー老……だが、うん、彼のことは忘れてならぬ。

 種族や寿命の相違による愛と苦悩的なエピソードにストーリーがかなり割かれてんだけどもちゃんとアクション映画してくれてます。そしてそのために配された肝心のラストヒロインなんですが全くの普通。あくまで私見ですが二度見しそーなくらい普通。でもそれが逆に良かったなと今思えば。だって他の要素を食わないからねそうすれば。こんな作品でロマンス濃ゆくしすぎたら興ざめしかねないもの。

 にしても…全部狙ってこうしたんならよぅ!凄すぎんぜ製作陣!なんてバランス感覚してんだあんたらは!(※さっき言ってたラストヒロインがもしビッグネームアクトレスだったならごめんなさい)

 他にも刀VS西洋剣ってだけでもう十分痺れるのにやたら火薬使った演出!…なんだけどちゃんと映画してる所とかっ!

 導入がプロレス会場でライバルとの初戦がその地下駐車場という外しの妙とかっっ!

 敵を倒すと激痛を伴いながら結局強化されちゃう…なんとゆーか業深い感じとかあっっ!


 あ、そうだ!


 その時にさ!

 言うのよ!

 あの名ゼリフっ!


『最後に残るのはただ一人。』


 とかねっ!

 とかさっっ!

 とか言っちゃうっっ!?


 え、ええ?これ…


 えええ!?

 なに!?なんなの!?

 どんだけ盛ってくるの!?

 それって全部だよ!?

 男の子は全部大好物だよそれ全部!?



 いや…



 いや、うん、やっぱ全部だわ。


 畜生め!!!


 …という、CGなんて無縁な大昔の作品でございます。子供心にチビりそうなほど「うぁかっけー……」ってなりました。で、今もたまに見てます。見るたびにあーなつかし。あーおもろかった。なります。


 という訳でどうですこれ?

 

 私は『ある』と思います。


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