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第13深 狂人ミーツ人外スキル。


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 人間だった頃のソラは、魔力を持たずスキルも持ちえなかった。だから力も頑丈さも速さも圧倒的に足らなかった。磨き上げた技量のみでその穴を補い、生き抜くしかなかった。


 そしてダンジョン人間となった今も、ソラの肉体はいまだ弱く脆く遅い…はずたったし実際そうだ。……だが。


 それだけでは終わらなかった。

 今の彼にはダンジョンスキルがある。

 その名も、【依魂】。


 その効果は…『【依魂】…ダンジョンスキル。空間を骨とし、『世界』を肉とするダンジョンと同化した事により、個体名ソラの命の在り方は激変。それをスキル化。

 このスキルを持つ者は肉体への依存が低下する。ダンジョン人間が存在を維持するために必要な『魂力』。これを完全に喪失しない限り死ぬことがなくなった。つまり『魂力依存の存在』へと進化していく。その依存度はスキルレベルに依存。』…というものだ。


 つまりこのダンジョンスキルの効果によってソラは極端な話──たとえ心臓を貫かれようが脳を潰されようが(※『魂力』さえゼロにならなければの話だが)即死する事はない──そんな化け物仕様になってしまった。だからさっきは、ゴブリンから致命傷を受けながら生きていられた。…そしてこの効果はただタフネスを増強するためだけにとどまらない。


 この【依魂】に【操力】というダンジョンスキルを合わせ使った時にこそ、その真価は発揮されるのだが……ここで少し、話を変える。


 達人をすら凌駕する技量を持っていたはずのソラ。そんな彼よりも、【剣術】や【肉体強化】等のスキルを持つ者が強かったのは何故か。

 それは、スキルを持つ者が人の限界を超えた力と動きを可能としたからだ。

 人間の身体というものは他の生物より遥かに複雑な動きを可能とするが、可能とした分、その構造も複雑で、故に脆い。

 魔力で出来たスキルというものは、その脆さを当たり前としてカバーし、人間の限界を超えた出力で動く事を可能とさせる。


 これ以上踏み込めば、

 これ以上捻れば、

 これ以上の荷重をかければ、

 これ以上スピードに乗れば、

 …破壊されるはずの筋や肉や管の類。

 下手をすれば内臓だって潰れてしまう。


 スキルは力や技の増強だけでなく、それら脆い部位を魔力で補強し、その動きに耐えるという事までさせる。そんな力を使える者達にソラが勝てるはずもなかった。いや…残念ながらダンジョンスキルを得た今のソラでもそれと同じ事は出来ない…出来ないがしかし。


 それは同じ事が出来ないというだけだ。過程が違うだけでもたらす結果は同じ…いや、それ以上だった。


 ソラを生かしているのは生命力ではなく魂力。ソラが使う力は魔力ではなく領力。ソラが目覚めたのはスキルではなく、ダンジョンスキル。だから今のソラは人の限界を超える動きなら出来るようになっている。いや、超えるというよりこれは…


(『常識から外れる』と言う方が正しいかもしれないな…)


 先程も述べた通り、ソラという命はもはや肉体を持ちながらそれに左右されない。矛盾して聞こえるかもしれないが『魂力』に依存するとはそういうことだ。

 そしてその肉体は筋肉やそれを動かす電気信号に頼らず『領力』によって動かす事も出来るようだ。

 そしてこれらエネルギーを運用するのは【依魂】と【操力】というダンジョンスキルであり、ソラはその扱いに習熟しつつある。それでもまだ、あくまで初歩の段階であるのだが。


 …逆に言えば初歩段階である今の時点でもう既に、凄まじい。なんせ今のソラの肉体というものは『輪郭』以上の意味を持たない。そしてその輪郭と魂力と領力が残っているなら『死なない』し、『動ける』のだ。


 先ほどソラが動く度に彼の体内で『メキ』だの『ビキ』だの鳴っていたのは、無理な動きにより発生した内傷により体が上げた悲鳴だった。ソラはそれを無視して戦い抜いていたのだ。


 …言っておくがこれは、ダンジョンスキルの万能性を説いている訳ではない。確かにその効果は壮絶だ。だが、ダンジョンスキルだけでは不足。


 【依魂】は低レベルのうちは人間としての感覚を引きずるようで、即死せずとも破壊されれば痛みだって残る。そんな仕様。スキルレベルが上昇すればそれも緩和され、いずれは消えるのかもしれないがともかく。


 スキルレベルが低い内はいかなソラでも(※激痛のレベルによっては)魂自体が砕け散り、結果として死ぬ事だってありうるのだ。


 【操力】を使えば、領力を注いだ分だけ傷を再生させる事も出来るようだ。(※但し、魂力は回復しない。魂力回復は今の所時間経過による)しかしこれもスキルレベルが低い内はせっかくの再生能力だが治癒速度は遅く、消費される領力も多い。なのでソラはあえて再生に領力を回していない。


『命の危険を省みず、限界を遥かに越えて無理矢理に肉体を動かす』


 それのみに領力を回していた。攻撃を食らわずとも動くだけで傷つく。そんな状態で。しかも痛みが残るままに。

 まだダンジョンとしての力が足らず、領力を無駄遣い出来ない内はしょうがないとソラも、やむ無しとしてこう戦うしかなかったのだが。


 …実のところ、ダンジョン人間というのは新種生命に有りがちな不安定さがこうして目立つ。


 だから、真に特筆すべきはそんな凄絶にも耐え切ってしまうソラの魂…いや、彼の個性にこそあるのかもしれない。本人にその自覚はないようだが。



 ソラが生きてきた『弱者としての下地』。その中で膨大に蓄積されて来た『力への渇望』。それに触発され『無数』に繰り返されてきた『無理』と『無茶』、『苦茶』に『無駄』…『無謀』と呼ばれるそれら全てを受け止め切った彼の『魂』。



こんなソラでなければ?同じ効果のスキルを持ったとしてどうだろう?ソラ以外の誰に、こんな真似が出来るのか。


 ……これが、ソラが『底辺弱者』として人々から蔑まれながらも、『狂人』と呼ばれ畏れられたゆえんだ。

 内蔵ダンジョンが多少なりとも怯むのだって無理もない事。そして、ダンジョンをすら怯ますソラなのだ。この程度の試練は突破出来て当然の事だったが…しかし。


 …どうやら傷つき過ぎたようだ。


 この傷を放置してはさすがのソラも戦えないと判断した。傷の修復に領力を注ぐ事にする。


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「いつつ……」


 ゆっくりとだが全身に領力が行き届くのを感じながら。

 血が止まり、傷口が塞がっていくのを改めて不思議に思いながら。

 この際なので無理な動きを原因に発生した内傷も修復しながら。


 それら傷口が完全に塞がると、


「ふー…」ため息混じり、


 なんともデタラメな身体になってしまったものだ…と思うソラ。だが何の代償もなしにこんな不死性が実現出来るはずもない。


「うーん。『領力』をかなり消耗しちまったな…」


《──次の階層を構築出来ます。構築しますか?》


「次の階層…いや、こんな状態じゃな……ふー…しょうがない。…帰るか。」


 ソラはやむなく撤退を提案した。魂力はまだ余裕があるようだが…領力の残量が心許ない。こうなっては仕方なかった。それは内蔵ダンジョンの方も同意見であるようだ。


【そうだな…そろそろ戻るか…『肉体の世界』に。】


 


 残念そうにではあるが撤退に賛成してくれた。


 このように。お互い思ったような強化を果たせず物足りない気持ちはあったし、構築すると魔物が湧いてしかも創造主であるこちらを襲うという…この謎の事態についてもまだ何も分かっていない。

 だが両者ともにそれを口にしないでおいた。焦った所で、死んでしまっては意味がないからだ。ダンジョン人間とて不死身ではない。


「…よし。帰ろう」


 ソラの無理矢理景気づけるようなその一言を合図に。今回のダイブは切り上げられたのであった。


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 そしてダイブから醒めて第一声がコレだ。



「な、なんじゃこりゃあぁぁっ!!」




《クレクレ劇場。》



「いつつ……」


 かなり強引だったがポイントももらえ、心の隙間が塞がっていくのを感じながら。この際なので無理なクレクレで発生した好感度マイナスも同時に挽回するかと迷いながら。豆腐メンタルが小回復したのを確認しながら。


作者「ふー…」ため息混じりに。


 なんともデタラメなコーナーになってしまったものだ…と思う作者。だが何の代償もなしにこんなハッチゃけが許されるはずもない。


作者「うーん。かなり『好感度』を消耗しちまったしな…」


裏声《──次のクレクレを構築出来ます。クレクレしますか?》


作者「次のクレクレ…?いや、こんな状態じゃな……ふー…でも……………しょうがないよね(ボソッ)やっぱするか!クレクレ!」


 作者はやむなく、(というかノリノリで)読者の皆様に提案した。


作者「読者の皆様!ブクマに評価!よろしくです!感想やレビューも待ってます!あと…私の事は嫌っても、この作品の事は嫌わないで下さい!」


ソラ「反省会行き。つか、さらに敵を増やしたよな。これ。」

内蔵【ああ。そろそろ必要かもな。解散総選挙。】

ソラ「いやだからそれ!やめろっ!(汗)」


(※作者、割りとにわかでサシ○ラ推し。)


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