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第10深 ダンジョンエネルギーとダンジョンスキル。

 


「ステータス、オープン。」



========ステータス==========


 種族名 ダンジョン人間(界命体)

 個体名 ソラ / 内蔵ダンジョン

 界 位 0

 段 界 基礎段界


魂 力  328/328  

領 力  1000/1000


物理性能 306

力 D 守 ? 速 D 技 C


領力性能 351

力 H 守 B 速 G 技 E


《ダンジョンスキル》


【内蔵Lvー】


【吸収Lv8】


【依魂Lv1】


【操力Lv1】



《界命戦術》


『陥穽』



===========================



「……よしよし」


【何が『よしよし♪』だっ。…ったく、こんなクソみたいなステータスでよく喜んでられるな?】


「だってレベル1…じゃなかった『0』なのにこのステータス値は──」


【レベルじゃねえ。『界位』な。】


「それにやっと俺にも魔力が──」


【魔力じゃねえ。『領力(りょうりき)』な。】


「それに強化ランクだって──」


【物理性能なんて『技』以外Dにしか上がってねえじゃねえか。】


「いやDといや『戦士』系クラスとタメ張れるくらいの──」


【戦士系のくせに『守』が『?』になってんだが?】


「俺の魔力性能値ってゼロだったんだぞ?それが──」


【だから魔力じゃなく領力だっつってんだろがっ!これは『領力性能』。つか、早く慣れろ!それに強化ランクは軒並みクソだし唯一の取り柄だった『守』が下がってんじゃねーか。多分無理な同化が原因なんだろうけど…】


「いや、だけど、そ、そうだ!この俺にスキルが、4つも──」


【スキルじゃなくてダンジョンスキルな。しかもダンジョンスキルとか(うた)ってる割に見た所…これ全部合わせてもダンジョン能力の基礎中の基礎にすら届いてねえぞ?】


「え、えと、あ…それに『界命戦術(ダンジョンアーツ)』とかいう力まで───」


【…つかアホか。お前使えねーじゃん。界命戦術(ダンジョンアーツ)。俺のサポートあってのもんだろう?】


「───って何だよちくしょうっ!さっきからケチばっかつけやがってっ!同化したんならお前は俺の相棒って形に収まるしかないわけだろう?なら少しは空気読めってんだっ!この皮肉屋ダンジョンめっ!」


【…チッ!悪りーがな!ダンジョンは空気なんて読まねーよ!『支配こそが行動原理』なんだからな!…つか…バカヤローはお前だ。生まれ変わったばかりで上手くいくはずねーっつってんだ俺は。】


「ぐ…(舌打ちやめろ!)そんな事は…分かってる」


【ダンジョンを運営するってのは簡単な事じゃねー。しかも俺達はダンジョン人間とかいう謎の種族になっちまった。おそらくだが人間ともダンジョンとも勝手が違うはずだ。】


「それは…まあ、確かにそうかもしれないけど…」


【…まあ、とりあえずは『界位』を上げろ──


《界位昇格の条件として一定量の『領力』消費が必要となります。界位を上げますか?》


 ──チ…ッ、話はそれからだっ】


「く…(また舌打ちっ!)…分かったよ」 


 ソラはダンジョン人間にまつわるエネルギーについてだけは、内蔵ダンジョンから説明を受けていた。

 それをおさらいするために【操力】というダンジョンスキルの効果説明を閲覧してみる。そこに記されているのは以下の通りだ。


『【操力】……領力とは『ダンジョンをダンジョンとして稼働させるために必要なエネルギー』であり、『領域()生み出すエネルギー』であり、『領域()生み出すエネルギー』であり、『領域に干渉するエネルギー』でもある。能力を行使する際その全てでこの領力を必要不可欠とするダンジョンの生態、それをスキル化。

 このスキルを持つ者は領力を使いこなす事が出来るようになっていく。スキルレベルが上がれば出来る事が増え、その精度もあがる。』


 色々と説明不足な感じだが。前に内蔵ダンジョンに聞いた話よりはマシだった。


コイツ(内蔵ダンジョン)の説明ときたら『とにかくダンジョンを活かすも殺すもこの領力次第なんだからもっと領力に慣れろ。』…こればっかだからな。)


 だから領力を意識する際はよくこの説明文を基準にしている。

 そしてもう少し詳しく説明すれば、この領力というエネルギーはダンジョンが素材として認めたものを【吸収】すれば、簡単に生成する事が出来る。


(だから潤沢に使えそうにも見えるけど…)


 説明にもあった通りダンジョンという者は己が持つ権能を行使するにあたり、その全てでこの『領力』を必要とする。


 …つまりこれは、度が過ぎて万能なエネルギーであり、逆に言えば万能過ぎるが故にダンジョンという存在はこのエネルギーに依存するしかなく、


『領力はいくらあっても足りない』


 というのが実情であるようだ。実際、『迷いの森』でソラが吸収した多くの素材によって生成した『領力』は、この棺桶サイズのダンジョン──『基礎段界』というらしい──を創造する事でその大半を消費してしまっていた。

 全部使い切ればもっとマシなものが作れたらしいが、『それをすれば戦う時に必要な『領力』まで失ってしまう。』そう言われてこのサイズに甘んじたのだった。


(もし…あの時のアドバイスを無視して『領力』を使い切っていたら…)


 暴走したオーガの群れに囲まれたあの時、内蔵ダンジョンは『界命戦術(ダンジョンアーツ)』を使えず…結果、ソラは死んでいたのだろう。それに、倒したオーガを素材として吸収していなければ、こうして領力をチャージすることも出来なかった。


 ソラは探索者なので一応、ダンジョン攻略のプロと言える。だがダンジョンの運営に関しては素人だ。

 なのでこの『内蔵ダンジョン』なる者は確かに油断ならないし鼻持ちならないヤツではあるが…その知識には助けられていると素直に感謝してはいる。だからこそ、さっきも本人が言っていたが一応の『相棒』として認めているのだ。 


「…分かった。先ずは『界位』だな。それを上げる…」


 ダンジョン達は、この『界位』なるものを上げる事により、次の段階に進めるらしい。


 ソラはダンジョンスキルを意識した。慣れないながらも領力を操作する。そして人間であった頃は感じられなかった『魂』に混ざり合って在る同居人に直接触れてみる……すると……『内蔵ダンジョンに課せられた(かせ)を一つ外す』…そんなイメージが自然と湧いた。


 

《個体名ソラに属する内蔵ダンジョンの界位が上がりました。》


《【操力】のスキルレベルが2に上がりました。》


「ふー…どうやら界位昇格に成功したようだな…」


【ああ。これで少しはダンジョンらしくなってくれたらいいんだが】


 (ちな)みにステータスにあった『界命戦術(ダンジョンアーツ)』という項目についてだが。これはダンジョンにとっての『魔法』のようなもの。


 あのオーガ戦で、内蔵ダンジョンはこの界命戦術(ダンジョンアーツ)の一つであるらしい『陥穽(かんせい)』という、『支配領域内に瞬時に落とし穴を創り出せる』という技を使っていた。言葉だけで見れば随分と地味な能力だ。しかしそれは地味ながらも絶大な威力を発揮した。


 オーガが踏み出す足に何の前触れもなくその足がすっぽりと収まる穴を出現させた。


 聞けば地味だが、それだけでオーガは窮地に追い込まれていた。体重移動と重力という自然の罠に抗えず、文字通り穴に足を取られたのだ。ソラ的には下手をしなくても骨折は免れない危険極まる技と見ている。


 因みにこの界命戦術(ダンジョンアーツ)も例外ではなく、使役するには『領力』が必要となる。


 そして残念なことにさっき内蔵ダンジョンが言っていた通りだ。ダンジョン人間の本体側であるはずのソラはその界命戦術をいまだ使えていない状態、【操力】のスキルレベルが上がったのは、あの時に得た熟練度もきっと関係しているはずなのだが…。


(という事は内蔵ダンジョンが得た熟練度もダンジョンスキルのレベル上昇に関係するってことか?…多分関係するんだろうな……なんせ、コイツ(内蔵ダンジョン)が存在する場所は、俺の魂の一部である訳なんだし──)



 このように。【操力】というスキルが今後ソラが行使するダンジョン能力…その全てにおいて関係してくるのは明白。


 そうである以上、不足しがちな領力であるのだが…結局の所、積極的に使っていかなくてはならない。

 そうしないと【操力】のスキルレベルが上がらないだろうからだ。ダンジョンスキルも“スキル”と銘打つ以上、スキルレベルでその威力が左右されるはず。


(通常のスキルには【魔力操作】ってのがあるが…あれに似てるなら、スキルレベルを上げればきっと燃費も良くなるはず…)


 このまま内蔵ダンジョンに任せていればスキルレベルが上がるかもしれない。それはとてもお手軽な話。


(だけど…)


『ダンジョン人間の本体は自分にある』とソラが自負したいなら、いつまでもそれに頼る訳にもいかないだろう。


「領力か…」


 節約しなければならず。

 かと言って使わぬ訳にもいかず。


「使うにしても…慣れるまでかなりの時間がかかりそうだな…」


 なんせダンジョン以外にこのエネルギーを使える者はいないのだし、昨日までのソラはただの人間だったのだ。今後、これは結構なジレンマになりそうだ…とソラは予感した。


《内蔵ダンジョンの界位が上がった事により、魂力の限界値が200、領力の限界値が500上昇。》


 追加の口調激変裏声アナウンスが脳内に響く。これを聞く限り、やはり『界位の昇格』というのは人間で言う所の『レベルアップ』にあたるのだろうが、しかし…


《物理性能と領力性能の上昇───は、不可。完全に同化しながらも種族としてはいまだ不安定。それも包括して一応の進化と見なしますが、今後のダンジョン人間の成長過程を要観察とします。》


「んー…、なんだか言っている事がよく分からんが。」


 だが雲行きが怪しくなってきた…という事だけは分かったソラなのであった。


「…やっぱりダンジョンと人間の同化なんて無理があったんじゃ…」


 …という、独り言を装ったソラの問い掛けには、


【 ……………… 】


 内蔵ダンジョンは答えなかった。…いや。これは、答えられなかったのかもしれない。

 きっとこのダンジョンにとっても今の状況は『念願が半分ではあるが叶った形』とはいえ、不安な部分が多いのかもしれない。


 ちなみに、『魂力(こんりき)』というのは見ての通り。『魂の力』だ。


 これはおそらく…ソラが人間であった頃の名残りなのだろう。そして内蔵ダンジョンが寄生した先がソラの魂であった事が原因で生まれたエネルギー…なのかもしれない。

 ともかくこれは、通常のダンジョンにはないエネルギーであるらしく『これはダンジョン人間にとって『生命』を司るエネルギーなんだろうな』と内蔵ダンジョンは言っていた。


 通常のダンジョンはダンジョンコアを破壊しない限り滅びる事はない。だがそのダンジョンコアはソラ自身、内蔵ダンジョン自身にも触れられない彼らの魂に組み込まれてしまった。

 内蔵ダンジョンは言っていた。『…その代わりとしてこの魂力というのはあるんだろう』と。


 そしてこうも言っていた。

 

『完全不死の存在なんてな。許されない。そうできてる。人も魔物も自然も…それを包括する世界にしてもそうだ。全ては死に向かうようになってる。何もんかによるのか…そこまでは知らないが…これはその定めに則った仕様なんだろうな。

 つまり、この魂力を完全に失った時にダンジョン人間は崩壊…つまりは死ぬように作り変えられた…のかもしれねえ』と。


 そしてこの『魂力』は肉体に依存して在った人間時の『生命力』とは似ているが全く非なるもので…まあ、この話についてはまたの時にしよう。



 とにかく、ダンジョン人間とは。




 人間としての魂力。

 ダンジョンとしての領力。




 この二つのエネルギーにより存在を維持しているようだ。



《権能『階層の構築』を開放。ダンジョン人間用にカスタマイズします──個体名ソラがダンジョンスキル【構築】に覚醒しました。》


「おお!またスキルが増えた!」


《───以上。》


「…て、 もう終わりか…」


 どうやら界位が上がって得られる恩恵は以上のようだった。ソラはステータスを確認する。



========ステータス==========



 種族名 ダンジョン人間(界命体)

 個体名 ソラ / 内蔵ダンジョン

 界 位 0→1

 段 界 基礎段界


魂 力  328/328→528  

領 力  900/1000→1500


物理性能 306

力 D 守 ? 速 D 技 D


領力性能 351

力 H 守 B 速 G 技 E


《ダンジョンスキル》


【内蔵Lvー】


【吸収Lv8】


【依魂Lv1】


【操力Lv1→Lv2】


【構築Lv1(NEW!)】



《界命戦術》


『陥穽』



===========================



「…スキルはゲットしたけど…領力と魂力の総量以外はステータス値に変動なし…か。少し拍子抜けな気も…」


 ソラが思わずそう漏らすと、


【だからお前はバカヤローだって言うんだ。『殺しました。』『レベル上がりました。』『スキル覚えました。』『スキルレベル上げました。』『クラスにつきました』…てか?人間共の単純な強化とダンジョンの強化を一緒にすんじゃねえよ】


 なんだか内蔵ダンジョンがムキになっている。


(……というか、)


 ステータスを見て。

 喜べば怒られて。

 ガッカリすれば怒られて。

 

「いやどないせーと?」


 もとい。


「お前のその口振りだと…他にも強化の方法がある。そういう事か?」


 力というものは何であろうと諸刃の剣のようなものだ。つまりどんな力でも気軽に使って良いモノはなく、だから力を試す前にこうして質問し、学んでいくしかない。ソラはそう思っている。


【フン。勝手が違うと思っていたが…ダンジョン的には今のところ定石通りだ。構築が出来るようになったのは良かった。】


 遠回しな返答だったが。この感じだと強化する方法は他にもあるらしい。このようにして内蔵ダンジョンは質問すれば答えてくれる。意外と優しい所もあるようだった。


【不安定な割に……フン、この『ダンジョン人間』て種族もなかなか捨てたもんじゃねーのかもしれねえ。よし、ソラ。さっそく使え。そのダンジョンスキルとやらを。】


 先ほどまで『ダンジョン人間』という種族について不安を感じていたはずの内蔵ダンジョン。どうやら機嫌が直ったようだ。


【さあて、『構築』の時間だ。】


 というより、このダンジョンもソラ同様にワクワクを抑え切れないでいるようである。…それを察したソラであったが、指摘しないでおくのであった。




《クレクレ劇場。》



 この『ポイント』というエネルギーは読者様方が『面白い』と認めた小説の下の方にあるブックマークボタンや☆ボタンを押せば、簡単に生成する事が出来る。


(だから簡単にもらえそうに見えるけど…)


 それはなかなかに難しいらしい。そしてなろう作家という者は己がモチベーションを維持するにあたり、この『ポイント』の他にも『感想』や『レビュー』も必要だったりする。

 …つまりこれは、作品を書き上げる上で度が過ぎて嬉しい糧であり、逆に言えば嬉し過ぎるが故に、なろう作家という存在はこのエネルギーに依存するしかなく、


『応援はいくらあっても嬉しい!』


??「…ていうのが実情なようだじょ?」


ソラ「む。出たな!クレクレの精め!…………もっと言えっ!」



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