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「ごちそーさん。助かった」
すぐにサンドイッチを食べ終わるライド。よほどお腹が空いていたんだろう。
「久々の鍛冶で集中しすぎてたな。この数ヶ月何も作らなかったから腕が落ちてないか心配だったが、体が覚えてた。なんか嬉しいもんだな」
ライドが笑みを浮かべながら作った剣を触っている。鍛冶をする時のライドはとても幸せそうだ。
「ライドさん。預かっている鉱石はどうしたらいいですか?」
「それなんだが…今の俺の設備じゃ上手く扱えないんだよな」
ライドはギルド長の息子を殴ったせいでギルドを追い出されて、みんな関わらないようにしてるんだもんな。ドーラ神の加護を持っているからってギルドに入ってる奴らは心が狭いんだな。こんなにも良いモノを作ってるのに。
「一応何人かに工房を貸してくれないかきいたんだけど…皆ギルド長に目をつけられたくないと断られてさ」
まぁ鍛冶ギルドの長に誰も目をつけられたくはないのは分かる。分かるけど…。ん、まてよ。あの方法なら…
「鍛冶できる場所があればいいんだよな?」
「まぁ、そうだな」
「ちょっと待ってて」
sideライド
「ちょっと待ってて」
そう言うとソラは勢いよく家から飛び出して行ってしまった。いきなりどうしたんだろうか。いつも思い付かないようなことをするソラは見ていて飽きない。
まだ数ヶ月しか一緒にいないが、可愛い弟分だ。まぁソラの方が強かったんだけど。
今まで俺の方が年上だから、多めに敵を倒したりして守ってきたつもりだったけど余計なお世話だったのかな。
「あの…ライドさん」
「どうした?」
昨日から仲間になったネル。初めは5~6歳ぐらいの見た目だったけど今じゃ俺と変わらないくらいだもんな。この見た目なら誰もが目を引くだろう。まぁ俺には関係ないけどな。
「先日は助けていただきありがとうございました。改めてお礼を申し上げます」
「助けたのはソラだ。俺に礼なんて要らねぇよ」
「けれど私を背負ってくれたのはライドさんだとソラさんに聞きました」
「それぐらいしかしてねぇよ」
「けれど私はお礼を言いたかったのです」
「ったく、好きにしろ」
ソラといい、こいつといいなんでこうも礼儀正しいんだか。鍛冶ギルドのバカ息子とは大違いだ。
「おやおや。珍しく煙が上がってると思ったら何してるんだ?ライドよぉ」
玄関から聞き覚えのある声がする。そちらの方に視線を向けるとそこには見知った顔があった。
「何しに来た」
「お前が勝手に鍛冶してないか確認に来たんだよ」
「別に自分の家でやる分には構わないだろ。お前の親父にはギルドを追い出されただけで、作るなとは言われてないからな」
こいつーリックーのせいで俺は鍛冶ギルドを追い出された。手を出した俺にも非はあるが、コイツらが嫌がらせをしなければ無視できたんだ。
「ギルドを追い出されたんだ。作るなと一緒だ」
「何が一緒なんだ。お前は剣の出来だけじゃなくて頭も悪いのか?」
「っー。言わせておけば。“炎を纏いし赤き精霊よ。我が問に答えよ”」
リックが呪文を唱えていると、リックの右手に炎の渦が出来上がっているのがみえる。おいおいおい。ここで火の魔法を使う気か!?
炉に火をつけるために薪があるし、すぐに燃え広がるぞ。そうしたら俺の家だけじゃなく、すぐに隣に燃え移るだろう。
「“凍えろ”」
ネルの声が聞こえた瞬間、リックの右手からは炎が消え部屋全体の温度が下がった。先程までは汗をかくほど暑かったのだが、今は凍えそうだ。
「俺の魔法が!?お前は何者だ!!」
「私はライドさんとチームを組んでいるネルと申します。仲間が攻撃されそうだったので、手を出させていただきました」
リックの言葉に淡々とネルが答える。元々礼儀正しい奴だけど、抑揚のない喋り方をすると恐く感じる。
「じゃ、邪魔をする気か!!それなら容赦はしないぞ!!」
「えぇどうぞ。そちらがそのつもりなら、こちらも容赦しなくてよろしいですね?」
ネルは右手に氷の塊を作っている。それをみたリックは敵わないと思ったのか「覚えてろよー!!」と捨て台詞を吐いて走って逃げていった。
「何しに来たんだ。アイツは」
「差し出がましいことをしました」
「いや、ネルのおかげで助かったよ。ありがとな」
頭を下げて謝るネルに笑顔で答える。ネルのおかげで被害が出なかったんだ。ネルの氷魔法で炉の火が消えたけど、家が燃えなかっただけマシだ。うん、そう思おう。
「ネルは凄いな。自分の属性と違う魔法を使えるなんて」
「魔法に秀でてるハイエルフですから。適性はないですが、使えるにはつかえるんです」
「何か違うのか?」
「先程の氷魔法ですが、適性のある人が使うと魔力は10程しか使いません。しかし適性のない私が使うと魔力を10000程使用することになります。
魔法の種類にもよりますが、自分の系統と違う魔法が使えないのは魔力が足りないからなんです。ハイエルフは魔力量が多いので無理やり使っている感じですね。
だから全属性使うことは出来ますが、ソラさんとはまったく違うんです」
「ソラは特別ってことなんだな」
「はい。ソラさんは神様に愛されてるんだと思います」
愛されているか…あの人懐っこい感じは人に好かれそうだ。宿屋の娘もソラの事を気にしてるみたいだしな。本人は気づいてないけど。
「ただいまーってなんでこんなに寒いの」
外から入ってきたソラは外との寒暖差に身震いをしながら部屋の中に入ってくる。急いできたのだろうか、額にはうっすらと汗をかいている。
「なんでもねぇよ。それよりどこに行ってたんだ?」
「へへーん。驚かないでよ。じゃじゃーん!!」
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