20
次の日の朝、俺はすっきりと目覚めることが出来た。思ってはいなかったが、ライドに黙っていることに少し罪悪感があったのかもしれない。
起きるのは俺が最後だったみたいで、最後の見張り番だったライドはもちろんネルも起きて朝ご飯の準備をしてくれている。
ネルのアイテムボックスは白銀の獅子の荷物を入れていたようでそこから食料も分けてもらった。
武器なども渡すと言われたが換金すればそこそこの金になるだろうし、俺には専用の鍛治職人がいるからと断った。
それでも引き下がらないネルに食料を貰うことで落ち着いたのだ。
「それにしてもやっぱり高い食料ばっかり買ってんだな」
ライドがそういうのも納得出来る。目の前にあるのは市場でもなかなかお目にかかれない食材ばかりだ。
このブラックボアの肉は普段食べているレッドボアの肉の5倍ぐらいする。ほかにも俺たちが普段買っている食料より数倍値段のするものばかりだ。
「ご主人様達はBランクの冒険者だからと、その…見栄を張っていました。安物を買っていると舐められると」
「だから金がなくなるんだよ」
「私もそう思います」
「取り敢えず食べようよ。今日は鉱石と宝箱とるんだろ」
「そうだな」
料理は主に俺が担当しているが、昨晩と今朝はネルが作ってくれた。白銀の獅子で色々とやっていたようだ。俺は作っていたものを出すぐらいで何もしていない。
「「ご馳走でした」」
もっと食べたい思いがあるが、少しお腹に余裕を持たせて食事を終える。満腹になると動きが鈍るからだ。
「さて、まずは鉱石を取りに行くか。ライド先導お願いな」
「まかせとけ」
野営したものを全てアイテムボックスに仕舞う。俺は鉱石について何が良いのか分からないのでそこはライド任せだ。
ライドを先頭に鉱石群に向かう。その間に通った宝箱も回収していく。
「それにしても不思議だよな。なんで洞窟には宝箱があって中に宝が入ってんだ?誰かが入れてるのかな?」
「なんでって言われても洞窟ってそんなもんだろ?」
「はい。全ての洞窟には宝箱があるのは普通ですし、いつの間にか補充されてるのも普通です」
補充されるの!?初耳なんだけど。それにしてもこの世界で洞窟に宝箱あるのは常識なんだ。前世の記憶を持っている俺からしたら違和感あるんだけどな。
今度神様にどんなカラクリがあるのか聞いてみよう。
「おっしゃ、ついたぞ」
着いたのは洞窟内で1番大きな鉱石群だ。やはりライドの目が輝いている。
「どうやって取るんだ?」
「地道に道具を使ってかな。土魔法が使えたら便利なんだが」
「あ、私土魔法使えますよ」
そういえばネルは土と風の二属性使いだったよな。地道に採掘するより、魔力をたくさん持っているネルに任せた方がはやそうだ。その後はネルとライドが話し合いながら鉱石を採掘していった。
こうなると俺はやることがないため、採掘は2人に任せて洞窟内にある宝箱を回収しに行くことにした。
「ネルもいたら魔法の練習できないもんなぁ」
俺は向かってくるブラバッドに風以外の属性魔法で攻撃をし倒していく。
これまで主に風魔法ばかりを使ってきたため魔法に偏りがある。魔法にもレベルがあるとすれば風魔法は7ぐらいだとして他の属性はせいぜい2~3程しかない。
「もっと頑張らないと」
魔法属性は俺よりも少ないとはいえ、俺の何倍もの魔力を持っているネルは間違いなく強いだろう。魔力=強さではないが、魔力量が多いと複雑な大魔法を連発することもできるから強いと思う。
俺はグーフ神の加護を使いハイエルフについて調べてみる。
ハイエルフ……エルフの中でも上位種。魔力量が多く、魔法に関して秀でている一族。長い耳が特徴的。身体の成長は人間の10分の1。20代になると身体の成長は止まってしまう。寿命は1000年程。魔力量が多いため奴隷にされ、戦争等で使われることがある。そのためハイエルフ達は普段は森の奥で暮らしている。
長い耳?ネルに長い耳なんてあったっけ?髪の毛で見えなかっただけなのかな。それよりもエルフの上位種か。上位種ってなったらそりゃ強いよな。
「ハイエルフは森の奥に住んでるんだ。じゃあなんでネルは奴隷になったんだ」
この世の全てを知っているグーフ神の加護なら調べると理由がわかるだろうけど、それをするのはフェアじゃない。
ネルが俺たちに話すと決めたら聞こう。どうせこの任務が終わってギルドにネルを連れていったら終わるんだろうから。
その後も色んな属性の魔法を使いながら魔物を倒していく。洞窟内にある全ての宝を回収するとライド達のいる場所まで戻ってきた。
2人とも採掘し終えたのか座って話している。
「お疲れ様。終わったのか?」
「目ぼしいものは幾つかな。全部とると他のやつが鍛治出来なくなるから残してある。それでもしばらく材料には困らないぐらいは取れたぞ」
「そうなんだ。じゃあ今回はもう帰る?」
宝物鉱石も取ったのならこの洞窟には用がない。あとはまた鉱石が欲しい時に来るぐらいだろう。
「うーん。あと2箇所だけいいか?希少な鉱石を見かけてたんで、それだけ採掘したい」
「俺はいいよ。ネルは?」
「私もお2人について行きます」
「よっしゃ。ありがとな2人とも。ネルの土魔法も期待してるぜ」
軽食を取ったあと次の採掘場所へと向かう。次の採掘場所では予想以上に希少な鉱石だったらしくライドのテンションが物凄いことになっていた。
ライドが落ち着くのをまって採掘をしていた俺たちがギルドに帰れたのは次の日になってからだった。
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