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「寝坊した!!」
魔法の創造に思いのほか熱中してしまい寝たのは空が明るくなってきた頃だった。朝ごはんを食べる時間もなかったので、通り道にある屋台でレッドボアの串を買い、走りながら食べていく。
速度強化で速く走り、探索の魔法を使いながら人にぶつからないようにする。
そうしていつもの半分以下の時間でギルドまで行く。中に入ると既にライドがいてキースさんと話していた。
「ごめん遅くなった」
「いや。大丈夫だ。キースさんと話してたしな」
「そっか。よかった」
息を整えながら2人に近づく。ライドの手には2枚の依頼書があった。どちらかの依頼を受けるつもりなんだろうか。
「ソラが来るまでに依頼を見てて良さげなのを2枚取ってきたんだ。それについてキースさんにアドバイスを貰っててな」
やっぱりそのつもりだったんだな。なんの依頼なんだろうか。前回依頼を受ける時は薬草採取と害虫駆除ぐらいしかなかったはずだけど…
「そっか。なんの依頼なんだ?」
「ゴブリンの討伐と薬草採取」
「え…?」
「大丈夫だろ。俺とソラなら」
ライドは笑うと俺の方に依頼書を見せてきた。1枚はこの間と同じサンシの葉の採取。数も50枚と前回と同じだ。
問題はもう1枚。こちらはゴブリンの討伐で、場所はサンシの葉の採取場所に近い。数も10匹とまぁ倒せないことはないだろう。
問題は2人でということだ。村でオオカミを倒してる時は1人か父さんと2人きりだったから風魔法を自重せずに使用していた。なので普通の12歳がどのくらい風魔法を使えるのか知らないのだ。
一瞬断ろうとも考えたが楽しそうなライドを見て、ゴブリン退治は主にライドに任せたらいいかと思い依頼を受けることにした。
「よっしゃ!!なら必要な物を揃えて10の鐘がなる頃に門のところで待ち合わせな」
「わかった。じゃまた後でな」
ライドは嬉しそうにギルドから出ていった。俺は見送るとキースさんの方へと近づく。
「ソラ君は行かないのですか?」
「行くけど聞きたいことがあって。この街に図書館ってある?」
「あるよ。大図書館と言ってね。街の中心部にあるお城の近くにあるんだ。冒険者の会員証を見せると誰でも入れるよ」
良かった。やっぱりあるんだな。この依頼が終わったあとに1度よってみるか。グーフ神がいるからって自分で調べないなんてことは出来ないしな。
なるべく自分の知識も溜め込んでおきたいし。
「けれどクラスによって入れる区域が別れてるんだ。ソラくんのクラスだとあまりたくさんの本は読めないと思う」
「う…。ランク上げも頑張ります」
「それがいいよ。ほら、はやく準備しないとまた遅刻するよ」
「そうだった。ありがとうございますキースさん」
ギルド内にある時計は9を半分ほど過ぎたところだ。残り30分ほどしかないだろう。俺はキースさんに感謝を伝えると急いで依頼のための準備を行った。
「今度は間に合ったな」
門の前に着いたのは10の鐘がなる5分ほど前だ。まだライドは来ていない。
今回はゴブリン討伐もあるため、遅くなる可能性があることをマーサさん達に伝えて食べ物や飲み物を用意した。アイテムボックスに入れてもいいが、ライドにバレないよう少し大きめのカバンに仕舞ってある。
ちなみにカバンは創造で作ったものだ。そこそこ丈夫に作られてある。
そして10の鐘がなる頃ちょうどライドがやってきた。先程まで持っていなかった剣とカバンを持っている。
「少し遅れちまったか。お待たせソラ」
「俺もさっき来たところだよ。それよりその剣は?」
「あぁ。家に隠してた俺の最後の剣だよ。これを売ったら本当に鍛治職人として終わりのような気がして売れなかったんだ」
「そんな大事なものを使うの?」
「武器は使われてなんぼだからな。自分で耐久力も鋭さも調べられるしちょうどいんだよ」
「そんなものか?」
「そんなものだ」
冒険者側の門から出ると森を目指す。この間行った森はアカギの森というらしく、今回の目的地もそこだ。
ライド曰くアカギの森にはいつの間にかゴブリンが出現するらしい。全て倒したと思ってもいつの間にか森に巣を作っていて、どこから来てるのかさえ分からないようだ。
「まるで瞬間移動だね」
「ほんとだよ。まぁそのおかげでゴブリンの依頼はなくならないし、低ランク冒険者のランク上げに貢献してるらしいけどな」
「よく知ってるね」
「ソラが来る前にキースさんに聞いたからな」
「なるほど。キースさんってギルド職員なだけあって物知りなんだな」
「物知りってレベルじゃねぇよ。色々と聞いてたんだけど全部答えれるし、説明もわかりやすい。なんであの人のところに誰も行かないのか不思議なくらいだ」
それはあの髪とメガネのせいだよ。それさえどうにかすればあの人も人気者のひとりになると思う。
「お、ついたな」
目の前にはアカギの森の入口。ゴブリン討伐や薬草採取で頻繁に人の出入りがあるせいか通り道が出来ている。
「奥に進みながら薬草採取していくか」
前回と同じよう魔法を使いながらサンシの葉を摘んでいく。鑑定魔法が使えることはライドにも伝えてあるけど、距離までは伝えてないので半径5メートル程のサンシの葉の場所を伝える。
「鑑定魔法ってほんとに便利だよな」
「まぁね。これのおかげでライドのことも見つけられたし」
「鑑定様々ってわけだな。っと、これでぐらいで大丈夫か」
渡されたサンシの葉を、10枚ずつまとめていく。集めたのは全部で62枚だった。
「変わったことしてんな。62枚か。まぁゴブリン探しながらまたあったら摘んでおこうか」
そう言いながらライドは周囲を警戒していく。俺もライドにバレないよう探索魔法を使用する。
探索魔法では北に1キロ歩いたところにゴブリンが数体いるのがわかった。
(1キロ離れているのに教えたらなんでわかったのかって聞かれるだろうし。少しずつゴブリンの方に誘導して…)
そんな事を考えているとふと見たライドの頭に耳が生えている。普段の耳と合わせて耳が4つだ。なんか面白い。その頭の耳と鼻をピクピクさせながら目をつぶっている。
「ライド何してるんだ?」
「ゴブリンの臭いや歩く音がしないか探してるんだよ。白狼族だから嗅覚や聴覚は人より優れてるからな」
これで大まかな方向がわかれば俺がわざわざ伝えることもないな。ライドにゴブリンの位置を探すのを任せることにした。
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