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「間違って生まれた?」
『そうなんだ。君の魂は地球とは違う場所で生まれるはずだったんだ。何故君の魂が地球で生まれたのかは僕達にも分からない。
違う世界の魂だからあの世界は君にとって生きにくい世界だったはずだ』
生きにくい…生きにくいとは思ったことはないけど、なんで俺は誰からも愛されないんだろう。なんで必要とされないんだろうと思ったことは何回もある。いつも思ってた。
母さんたちは俺が兄貴よりも出来が悪いから見てくれないんだって。俺がもっと頑張れば俺の方も見てくれるって。
会社だって俺がもっとちゃんとしていれば周りも評価してくれるんだって。頑張りが足りてないんだって思っていた。
『そんなことない。君はずっと努力をしてきた。たくさん頑張ってきた。頑張りが足りてないことなんてないんだ。むしろ頑張りすぎたんだ』
神様の言葉にまた目頭が熱くなる。1度泣いてしまったことによって涙腺が緩んでしまっているようだ。
けれど大の大人が何度も泣くのはやっぱり恥ずかしい。なんとか泣くのを我慢して神様の方を見る。
『今回は泣かないんだね』
「そんなに何度も泣きませんよ。それより俺の魂が地球のものじゃないのは分かったけど、それとこの空間との関係は?」
『君は死んだと言ったよね?あとここがあの世みたいなものだと。正確にはたくさんある世界の中心点なんだ』
たくさんある世界?
『なにも世界は地球だけじゃない。他にもたくさんの世界が存在していて地球はそのうちのひとつでしかない。
普通は1つの世界で何度も生まれ変わっていくはずなんだけど稀に君みたいに別世界の魂が入り込んでしまう。そんな魂をすくい上げるのが僕の仕事なんだ』
どうにも信じ難い話だけど真実なんだろう。俺に嘘をついても意味ないし。俺には知らない世界が沢山あるってことなんだろう。
「稀にってことは俺みたいに別の世界で生まれた魂が他にもあるってことですか?」
『数百年に1度の頻度でね。原因が分からないから僕達も対策ができないんだ。
君には本当にすまないと思ってる。別の世界に生まれたがためにあんな思いを…』
神様はどこかしゅんとしている。表情がわからないのでしているように見えるだけだけど。
でも原因が分からないのであれば目の前にいる神様のせいではないだろう。むしろ自分のせいじゃないのに謝ってくれるなんてなんていい神様なんだ。
「いえ、気にしないでください。神様のせいじゃないんですから」
『君は本当に優しいね。その性格が故に余計に大変だったと思うんだけど…。まぁいいか。
お詫びといってはなんだけど、君の本当の世界で生きてみないか?』
「本当の世界?」