Episode7 地味男の勇姿を見守り隊![デート編]4
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二時間後ーー。
映画が終わって、田中と歩莉が出てきた。二人はそのまま近くのカフェに行くらしい。石川が居ても立ってもいられなさそうな感じでソワソワしているのを横目に見ながら、武瑠達もこのまま二人の後についていく。
ゆっくりと歩いていると目的のカフェのテラス席が見えてきた。すると、そこで何やら進行方向からざわざわとしたざわめきがこちらに向かってやって来る。
「ひったくりだー!」と誰かが遠くで叫んだ。
その声に反応して田中と歩莉もぴたりと足を止める。
どうやら犯人はこちらに向かって全速力で走ってきているようだ。
「どけっ! お前らどけー!」
そう叫びながら走る犯人。ちょうどその先には田中と歩莉がいる。このまま行くと二人と思いっきり接触してしまうのではないだろうか。
武瑠がハラハラした気持ちで見ていると、犯人の姿が見えたところで隣にいる石川が大声で叫んだ。
「田中ー、確保ー!!!」
「っ、はいィィィー!」
田中は反射的にピンっと背筋を伸ばしてから犯人に備えて構える。そして、どけー! と言いながら走ってくる犯人に打つかっていき、抵抗するそいつをいとも簡単に投げ飛ばした。
おー! と周りからパチパチと拍手が送られる。
武瑠達の横では警察の顔をした石川がひったくり犯を捕まえたから、直ぐに来てくれと連絡をしていた。
「おい、田中! そいつ、これで縛っとけ!」
石川はどこから取り出したのか分からないロープを田中に向かって投げる。
「いっ、石川さん!? 何故、ここに?」
さっきは言われるがまま、反射的に命令に従っていた田中だったが、漸く石川がここにいる事に気が付いたらしい。
「……偶々だよ、偶々」
石川は尾行していたことを誤魔化すようにふんっ、と鼻を鳴らしながら答える。
「そ、そうでしたか……」
田中はこれ以上何も聞けまいと引くしかなかった。
数分後、サイレンを鳴らしながらやって来たパトカーに乗せられ、犯人は連行されていった。
パトカーを見送り一段落した頃を見計らっていたのか、歩莉が石川と田中に近付いていく。
「お父さん、こんなところで何してるの!?」
若干、口調が強く感じるのはきっと気のせいではない。
「あ、歩莉……っ、何って、それはだなぁ……」
「そんな格好で田中さんの後ろを付いて来たと思ったら、私達が映画観終わってもまだいるし。もしかして、この後もずっと付いて来るつもりで待ってたの?」
何も言い返せない石川と「え、石川さん私の後ろを付いて来てたんですか?」なんて言っている田中。
さっきはひったくり犯捕まえて刑事っぽかったのに、なんて思わず笑ってしまいそうになる武瑠。
石川は歩莉にどう言い訳したらいいのか分からないのだろう。
「俺の尾行に気付かんとはまだまだだな」
と言って矛先を田中に向ける。
「そもそもお父さんが田中さんのこと尾行してくるのが可笑しいんだからね」
そんな石川を歩莉がぴしゃりと注意した。
「すまん……」
流石の石川もやはり娘には弱いらしい。




