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Episode7 地味男の勇姿を見守り隊![社会見学編]5




 とある公園にて――。


「次はどなたの所へ?」


 田中が戸惑ったように聞くと、しぃ~っ! と静かにするように三人から一斉に注意をされる。田中はすみません、と声を出さずにぺこりと頭を下げた。


(……来た!)


 舞花の合図で公園の入り口に目を向けると、少年と女性が籠に入ったインコを連れてやって来た。そのまま二人と一羽は公園のベンチに座る。


「サトル君、今日も遊びに来てくれてありがとね。おばあちゃんも、みどりちゃんもとっても喜んでるわ」


 サトルと呼ばれた少年はちらりと女性を見ると直ぐに視線を逸らし、大したことはしていないといった風にふるふると首を振った。


「み、みどり……お姉ちゃんは……」


「ん? 私? 私もサトル君が来てくれて、いつもとっても嬉しい」


「そ……」


 にっこりと笑うみどりに、サトルはまたちらりとだけ視線を向けて直ぐに別の場所へと視線を逸らした。


(サトル、可愛い)


「人間なんて嫌いだが口癖のあのサトルが人と喋ってるよ~(コソッ)」


「照れ隠しが照れ隠しになってねぇのが、また面白ぇな(クスッ)」


 サトルは先日の一件以来、度々美代ちゃんの家へ遊びに行き、インコのみどりちゃんを訪ねていた。美代ちゃんの孫である人間のみどりちゃんとも何度も顔を合わせ、それを繰り返す内に、時々こうやって公園に来るまでの仲になっていた。


 サトルはズボンのポケットに手を入れ、緊張した面持ちでみどりをちらりちらりと見ては目を逸らし、またちらりちらりと見ては目を逸らすことを繰り返している。


(なんか、サトルいつも以上に挙動不審ね……)


「サトル、どうしたんだろーねー?」


 そんなサトルの様子に三人が気付かないはずもない。


「まぁ、見てれば分かるんじゃね?」


 武瑠の言う通り、そのまま暫く様子を見ていると、サトルはよし、と気合いを入れみどりに話しかけていた。


「あ、あの……みどりお姉ちゃん」


「なぁに? サトル君」


 みどりはサトルに優しく笑いかける。


「コレ……」


 サトルはポケットから何かを取り出し、みどりに渡した。


「あ、これ押し花だね。この(しおり)、サトル君が作ったの?」


「ん、学校の授業で……。ソレ、あげる」


 みどりの方は一切見ないサトルだが彼女の反応を気にしているのは明らかだ。


「いいの? 私がもらっちゃって」


「ん。だって女の人はそーゆーの好きなんでしょ? 美代ちゃんが言ってたってみどりちゃん……、えっと、インコのみどりちゃんが言ってた」


「そっか~、ありがとう。サトル(ニコッ)


「べつに……(フイッ)」


 そんなサトルの様子を見ている武瑠と白崎姉弟(きょうだい)は、もうにやにやが止まらない、止まらない。


「ヤバいな、サトルのくせにいっちょ前に女性にプレゼントとかしてる」


(サトルのくせにって……)


「いつも言われてるからってここぞとばかりにその言い回し使わなくてもいいのにね~」


 サトルがいつも「武瑠のくせに!」を連呼するので、敢えて使ってみたのが失敗だった。待ってましたとばかりに白崎姉弟(きょうだい)はイジることを忘れない。


「うるせぇ。こんな時じゃねぇと使えないだろーが」


(武瑠、やっぱり大人げない……)


「だね~」


「勝手に言ってろ。でも、これじゃ今の田中さんよりもサトルの方が恋愛上級者だな」


 田中は今の今まで微笑ましくサトル達の様子をのほほんと見ていたのだが、武瑠の発言でハッとなり、ピクリと体を揺らす。


「え、私……小学生よりも下ですか?」


「んじゃあ、門吾の娘さんにあんな風にプレゼント渡せるの?」


「それは……」


 答えられない田中にほらねー、と言ってシロがぱたぱたと袖を振る。武瑠は慰めるように田中の肩に手を置いた。



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