Episode7 地味男の勇姿を見守り隊![社会見学編]2
「お恥ずかしながら……、私は今まで女性とその……、お付き合いと言いますか、デートらしいデートというものもあまりしたことが無くてですね……」
「僕達にそれを手伝ってほしいってことだねー! ねぇねぇ、相手は何処の誰? 名前は? どこで知り合ったの?」
シロは田中のペースを無視して弾丸ペースで質問攻めを仕掛ける。田中はえっと、えっとと言いながら目を白黒とさせ、勿論シロのペースには着いていけていない。
「っていうか、田中ちゃんはその人とどこまで進展してるの?」
シロがその言葉を発したと同時に田中の頭はパンクした。
「シロ、ハウス!」
武瑠が直ちにシロにステイを命じるも、
「にゃん?」
(そこは、ワンじゃないんだ)
なんて言って、姉弟でふざけ合っている。
この姉弟が一度遊びモードに入ってしまうと、他人の話なんてまるで聞きやしない。
可愛らしく首を傾げてふざけている。舞花のツッコミに「えー、だってそこは看板四にゃん衆がいる訳だからー」と訳の分からない理由を述べたりしているし。
「シロ、話進まないから。田中さんのペースに合わせろよ」
「ごめん、ごめん。だって、田中ちゃん面白いんだもーん」
面白いおもちゃを見つけた子どもみたいにキラキラした目を向けてくるシロに武瑠は呆れた目を向ける。確かに田中は揶揄いたくなるような要素をふんだんに詰め込んだような人間なんだろう。それは、武瑠にも何となく分かる。いや、分かりたくはないけれど。それにたぶん、相手によっては可愛がってもらえる要素でもある。マイナス要素じゃない。何故か放っとけない人というのは、田中のことを言うのだろう。シロにロックオンされてしまった田中を不憫に思いながら武瑠は田中にシロの代わりに謝る。
「ごめんな、田中さん」
「あ、いえ大丈夫です」
田中はポリポリと頭を掻いた。
「あー、それで何だっけ?」
シロのせいで中断していた話の続きをと武瑠は先を促す。
「素敵だなと思う女性に会ったんですが、そ、その……どうやって接点を持つと言いますか、仲良くなればいいのかなぁと思いまして……」
田中は暑くもない店内でハンドタオルを取り出し、額を拭う。よっぽど緊張しているらしい。
「そんなの普通に声かければいーじゃん」
「普通に、とは……?」
さも当たり前かのように答えたシロの言葉の詳しいところが本当に分からないようで、田中は申し訳なさげに視線で武瑠に助けを求める。もっと具体的に知りたいのだろう。
「えーっと、共通の話題とかねぇの?」
「共通の…………」
田中は武瑠に言われて暫く考えると、「いやこれは無理だ」と頭を振り、またうーんと唸って難しい顔になる。
「えー、なになにー?」
それを聞き逃す筈もないシロが楽しそうに食い付くと、田中の眉は今までよりも更にへにゃんとハの字に垂れ下がってしまった。
(それより、その女の子のことが知りたい。じゃないとアドバイスも出来ないし)
そんな田中を流石に可哀想に思ったのか、舞花が会話に入ってきた。いつもは一緒になって武瑠をイジってくる舞花だが、流石に田中にはしないらしい。
まぁ、舞花はお姉ちゃんわなけだし、シロと一緒になってとかはないか。
そう思って見ていた武瑠だったのだが――、
(それで、どんな子なのその子……ナカタさん?)
「た、田中です……」




