表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/91

Episode5 束の間の戦隊ヒーロー 4




 救急車を見送った後、一同ホッと息を吐く。


「武瑠、ベランダから飛び込む一瞬でよく、この家のAEDの場所まで把握できたね」


「あ? ああ、何か癖で」


「癖?」


 シロは一瞬の内に状況を把握した武瑠に感心していた。


「元々の性格っつーか、その場にいる人とか物とかを観察する癖があって。性質(のうりょく)が開花してからは一層高まっちゃったというか……。色んなモノを認識したり、判断したりするスピードが上がったというか……」


 上手く言えねーな、と武瑠は頬を掻く。


「あっ、それよりシロ。警察にも電話しといて」


「えっ? どーして?」


 警察という言葉を聞いて、シロは首を傾げた。


「計画的かそうじゃないかは分かんねーけど、“美代ちゃん”――多分トラブルに巻き込まれて、ああいう状況になったんじゃないかな?」


「トラブルって……」


 武瑠は高級老人施設のパンフレットを手に取り、シロ達に見せた。


「これだよ。玄関の鍵は閉まってたし、顔見知りだった? 何度も根気強く来てたのかもなぁ。美代ちゃんも始めこそ拒んではいたけど、何度も話をしている内に仲良くなった……」


 武瑠はテーブルに置かれた二つの湯飲みに視線を移す。


「老人の一人暮らし。話し相手はみどりちゃんだけ。寂しさを感じていたところに、何度も足を運んでくれるセールスマン。徐々に心を開き始めていた……とか」


「ってことは、そのパンフレットのセールスに来ていた人が、美代ちゃんを?」


「カケイサン、カケイサン」


 みどりちゃんの声に一斉にみんなでそちらを見る。“美代ちゃん、タスケテ”と先程あわあわとしていたみどりちゃんは、サトルに撫でられ今は大分落ち着いている。そのみどりちゃんが放った言葉――、“カケイサン”。


(カケイって人がそのセールスマン?)


 その場の全員の頭に浮かんだ考えだった。


「武瑠……、何とかなる?」


 サトルは武瑠を見上げて聞く。真一文字に結ばれた口を見て武瑠はふっと笑みを溢した。


「俺を誰だと思ってんだよ」


 ぽんっと、武瑠はサトルの頭に手を乗せる。


「……武瑠のくせに」


 ぷいっと顔は背けたものの、頭に乗せられた手をサトルが振り払うことはなかった。


「警察が来るまでにもう一回、状況を整理するぞ」


 武瑠の言葉にみんなは頷いた。


 武瑠達がここへ到着した時、玄関の扉はおろか、鍵も閉まっていた。呼び掛けながらノックをしたけれど、応答はなし。その時、中からは特に物音等はしなかった。舞花が庭へ回れることに気がつき、みんなでそちらに回る。ベランダの窓は開け放されており、中で“美代ちゃん”が胸を押さえながら倒れていた。武瑠達は救急車が到着するまで“美代ちゃん”の側にいた。その間、家の中にいたのは武瑠達と“美代ちゃん”だけ。特に怪しい人物も見てはいない。


(あ……、私、物音を聞いたかもしれない)


 舞花は思い出したように、ポツリと呟く。


「本当か、舞花」


 武瑠に詳しくと目で促され、舞花はゆっくりと思い出しながら説明をする。


(あの時は、みどりちゃんが立てた音なのかなと思ってたんだけど。この部屋とは別のところで物音がした気が……。カタンっていうかカツンっていうか……。本当に小さな音だったから私の気のせいかもしれないんだけど)


 舞花が聞いた音。


 自分は“美代ちゃん”に掛かりっきりで聞いてはいなかったが、舞花が言うならまず間違いないだろう。


「あの時舞花はここにいて、みどりちゃんがいる場所とは別のところで音がしたように感じた。ってことは――」


 武瑠は舞花が立っていた場所に行き、きょろきょろと部屋中を見回す。そして、部屋から出て廊下を進み、玄関まで来た。


 シロも舞花もサトルも、武瑠の後をそろそろと付いていく。


「……おかしいな」


 武瑠の呟きにシロがどーしたの? と問い掛ける。


「いや、鍵が開いてるんだ」


「えっ!? それはおかしいよ。僕も武瑠もここに来た時に確認したけど鍵閉まってたよね?」


 シロは驚きの声を上げた。舞花とサトルも目を見開き驚いている。


(私達がここに来た時には、まだ中にいた?)


「僕達が“美代ちゃん”のこと助けてる間に玄関から逃げたってこと?」


「そーいうことになるな……」


 武瑠は「ん?」 と、玄関の隅に落ちていたモノを拾い上げ、マジマジと見つめる。


「何ソレ?」


 シロは武瑠の持っているものを見つめて首を傾げた。


(ソレ……)


「舞花、コレが何か分かるの?」


(うん、――――)


 舞花が言った答えに武瑠とシロは成る程と頷いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ