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Episode4 君影草を君に [解決編] 9




「ねぇーねぇー、ずっーと思ってたこと聞いてもいーい?」


 そこに、その場の空気をぶち壊すようにゆるーい声で割り込んだのは、シロ。


「おい、シロ! 状況考えろって」


 武瑠がおい、とツッコむもシロは気にせず続ける。


「えー、だって武瑠も舞花もみーんな気になってたでしょー?」


「そりゃ、そうだけど……今聞ける雰囲気じゃなかっただろーが」


「空気読むとか、僕無理だしー。空気は吸うためにあるんだから。っていうか、寧ろ聞くならもうこのタイミングしかないでしょ。後々聞くのも何かさぁー」


 武瑠とシロのやり取りをポカンとした表情で見つめるチャラとマユ。


(ねぇ、どうでもいいけど聞くなら早く聞けば?)


 舞花に言われて、武瑠とシロのやり取りは一旦止まる。


「そうだね、舞花。ほら、武瑠が余計な茶々入れるから舞花に怒られちゃったじゃんかー」


(別に怒ってない)


「シロが空気読まずにゆるーい感じで割り込んでいくからだろ。俺はフォローしてやろうとしただけだよ」


(ねぇ、だがら――)


「フォローって、ただの文句でしょー。自分が入っていけなかったからって僕に当たらないでよー」


(二人ともいい加減に――)


 舞花の言葉は二人に聞こえていない。


(…………)


 何を言っても聞いていない二人に眉間にシワを寄せ、くるりと背を向ける舞花。そして、二人を置いて歩き出す。


「あ、あのーお二人さん? いいのー? 舞花ちゃん、行っちゃったけど……」


 マユの声でやっと、舞花が行ってしまったことに気付く武瑠とシロ。


「ハっ?! マズい……」


「えっ……何が?」


 シロはあちゃーと頭を抱え、そんなシロの反応に頭の上にハテナを浮かべる武瑠。


「いや……、舞花のこと本当に怒らせちゃったかもー? 舞花、怒ると暫く喋ってくれないんだよね……」


「マジか……」


 二人は顔を合わせて急いで舞花の後を追って走っていった。


「待てよー、舞花ー!」


「舞花、ごめーん! 僕達が悪かったから怒んないでー!」


 舞花に追い付いた二人は何とか舞花に許してもらおうと顔を覗き込んで話しかけたり、機嫌を取ったりと、必死だった。舞花は反応せず、ただひたすらにスタスタと歩いていく。


 そんな三人の背中を見つめて、チャラとマユは吹き出した。


「あれは、暫く口聞いてもらえない奴だな」


「うん、何だかみゅーがいた頃の俺達みたいだね。俺と隼ちゃんもよくみゅーの機嫌を損ねちゃって、ああやって一生懸命話しかけたりしてたかも」


「ああ、そうだな」


 二人は笑いながら三人の背中が見えなくなるまでその光景を見つめていた。そこにはもう、しんみりとした空気は流れていない。


「――っていうか、みんなが気になってた事って何だったんだろーね?」


「結局、聞かずに行っちゃったよ。ま、また来るだろ」


「そだね」


 チャラとマユも帰るか、と顔を見合わせそれぞれに歩き出したのだった。


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