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Episode4 君影草を君に [事件編] 2

 



「あの人の娘でもないし、女子高生でもないよ。そもそも女でもないしね」


「んぐっ……。ゴホッ……はっ?」


 武瑠は再び食べ進めていたナポリタンを喉に詰まらせる。隣で次々と爆弾を落としていくマユに何言ってんだ、と目を向けた。


「だからー、俺は男なの。ただ、メイクとお洒落が好きなだけ。だからってこともないんだけどね、変装とかも得意だよ。女の子と間違えられてよくナンパとかされちゃうし、お兄さんが驚くのも無理ないと思う」


「そーですか……。それなら、マユって名前は……」


「あ、それはホント! 俺の名前マユっていうの。だから余計に間違えられやすいのかもね」


 マユはハデスの一員で本人曰く、諜報担当だという。


「俺は喧嘩とか苦手だからさ、調べるの担当なの。何かあればいつでもどーぞ。お兄さんなら喜んで協力するから。神田さんの推しってことは俺の推しでもあるってことだし」


(推しって何だよ……。あのオッサンの推しになる理由が分かりません)


「まぁまぁ、今からあの時のことちゃんと説明するからさ」


 武瑠の(コエ)を聞いても驚かないということは、マユも悟りか悟られのどちらかなのかもしれない。


 武瑠は「で?」とマユに次の言葉を促した。


「まず言っておくけど、俺は悟りとか悟られとかいう性質(のうりょく)は使えないから。何で性質(のうりょく)について知ってるのかって言うと、それは神田さんに教えてもらったから。メンバーの中にも使える奴は何人かいるしね。それでハデスの事だけど――」


 マユはハデスと神田の関係について説明を始めた。


「ハデスっていうのはね――。地下を根城にしてる血の気の多い若い不良集団って巷では言われてるけど、まぁ……強ち間違ってはいないかな。お兄さん……、武瑠さんと俺のことを追っかけて来てた連中がそのメンバーだよ。みんなエネルギー有り余っちゃってるから、定期的に暴れてるの。神田さんが毎週のようにみんなが喧嘩できる場を作ってくれてね。んー、お祭りみたいな感じ? エネルギーの発散場所は必要だからね」


「喧嘩祭り……」


「あっ、みんなが血気盛んなのは確かだけど、そうは言ってもそーんな誰彼構わず、喧嘩吹っ掛けるようなことはしないよ。他人に迷惑かけないとか、警察のお世話になるような事はしないとか、そういう常識は持ち合わせてる奴等だから。ただ、みんな定期的にあば……体を動かしたいんだよ。だから、神田さんがそういう公式の場? を作ってくれたんだ。みんな元気過ぎるくらい元気だけど、いい奴ばっかりなんだから」


 兎に角、血の気が多くて暴れたい願望が強い集団だという事だけは分かった。



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