わたしはゆっくりと恋を失う
あなたがほかのだれかを好きになって
わたしがほかのだれかを好きになって
ほかのだれかと
手をつないで
抱きあって
ふたりで同じ朝をみて
それでも
あなたへの恋はいちどにすべて消えたりはせず
ゆっくり
ゆっくりとこわれていく
巨大な岩が
雨に打たれて
丸いちいさな川辺の小石になるように
泣きそうな気持ちは
すこしずつ磨り減って
いつのまにか
笑い話みたいになって
それでもまだ
恋は恋のまま
わたしの
あなたの
心の隅にこびりついている
きっとすべて失うまえに
にんげんの短い一生なんて終わってしまうくらいに
恋はとてもゆっくりと
やさしく
恋によく似たうつくしいものへと
結晶していく