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Skill Build Online ~変態スナイパーによるMMORPG挑戦記~  作者: 立華凪
Hello World!

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330/370

#302 戦利品

ありえない程期間が空いてごめんなさい。なんとか日々を生きてます。

ぼちぼち更新再開します。


 デスワさんとセバス氏とのPVPを終えると、部屋の真ん中に魔法陣が浮かび上がり、豪華な装飾が施されている宝箱が出現した。


「あ、一応これってボス戦判定なのか」


「本来ならばボス戦の所がPVPに置き換わっているだけだからねぇ、当然報酬は発生するとも」


「PVP分の報酬もあるから二重に美味いな、このシステム」


 とは言え、どちらか一方しか生き残れない仕様上、これぐらい美味しくて当然なのかもしれない。

 宝箱を開ける前に、先にデスワさんとセバス氏からドロップしたアイテム袋を漁る。

 漁りながら目の前に開かれるウインドウをぼんやりと眺めていると、とあるアイテムを見つけた。


「……ん?」


「どうしたんだい?」


「……厨二、これ……」


 アイテム袋の中から引き抜いた、一つの()()()

 今俺が首から下げている物と()()()()()()のアイテムを見て、厨二は目を見開いた。


「……おいおい、マジかい」


「マジらしいぞ、これ」


 引き抜いたアイテムの名は【腹減らずのお守り】。最高レアリティであるレジェンダリーアイテムと言う事もあり、排出率は相当低い筈なのだが、まさかこんな連続して入手するとは思いもしなかった。

 いや、実際はデスワさん達が入手していたからこそ本来は手に入る筈は無かったのだが……結果としてはPVPが発生した幸運に感謝するしかない。

 厨二は顎に手を添えて神妙な顔になりながら、ぽつりと呟く。


「……村人クン、今日って何時までログイン行ける?」


「こうなっちまった以上は朝まで行けるぞ」


 流石にこんな豪運に恵まれておいてリアル都合でログアウト、なんて以ての外だ。

 元々、厨二とライジンペアは40層まで踏破出来ているらしいが、撤退理由も空腹度減少による物。

 二人分の【腹減らずのお守り】が手に入った以上は、立ち回りにさえ気を付ければほぼ確実に50層まで到達出来るだろう。

 厨二は俺の返答を聞いた後、にやりとほくそ笑んだ。


「……じゃあ、今日で突破しちゃおっか。50層」


「そうこなくっちゃな!」


 さーて頑張ってくれよ明日の俺! エナドリでブーストするのは当然として、寝れそうな授業では遠慮なく爆睡する事で何とか睡眠時間を捻出するしかない。今週末は紺野さんとのWWO世界大会観戦のお泊り遠征もある以上、睡眠不足で体調を崩す訳にもいかんしな。


「さてさて、そうと決まれば早速お宝拝見と行きますか」


 10階層のボス部屋報酬として出現した宝箱を開けて、中を覗き込もうとする。

 すると、中から勢いよくウインドウが飛び出してきて、腰を抜かしそうになる。


「うわっ、びっくりした!?」


「報酬も選択式だからねぇ、5層毎の選択式バフと同じ要領で装備が貰えるよぉ」


 ふむふむなるほど? ちょっと選択に出てきた装備の詳細を調べてみるか……。


――――――――――


赤雀(せきじゃく)】耐久度800/800 レアリティ:(エピック) 分類:弓


かつて失われた技術によって製造された、魔法の弓。伝説の生物をモチーフとして製作されたこの弓は、矢を射るだけで炎を纏い、敵に襲い掛かる。鍛冶師が魂を込めて再現に挑んだが、伝説には一歩及ばず。それでも、狩猟用の武器として使う分には充分過ぎた。


【赤雀の恩寵】【通常攻撃に炎エネルギー付与】


STR+70 必要STR20 VIT20


――――――――――


――――――――――


【黒弓】耐久度500/500 レアリティ:(レア) 分類:弓


かつて失われた技術によって製造された、魔法の弓。とある狩猟民族が好んで使っていたと言われる狩猟道具であり、持ち手の技術に左右されず矢を射る事が出来る。


STR+40 必要STR10 VIT10


――――――――――


――――――――――


【5000メル】


かつて失われた文明で用いられていた通貨。今となっては余程の物好きでないとこの通貨で取引する事は無い。だが、とある場所ではこの通貨を積極的に取引しているという噂が、まことしやかに囁かれている。


――――――――――


「この二つの装備か、遺物取引所に行った時にシャドウから聞いてた3000年前の通貨か……。ん? もしかして、報酬って今の自分のジョブの適性装備が出たりする?」


「そうだねぇ。レアリティこそランダムだけど、必ず今のジョブの適性装備が出るようになってるよぉ」


 最低保証ってワケか。最高レアリティ(レジェンダリー)こそ出なかった物の、(エピック)の弓は結構強そうな性能をしている。この先の階層を進む上で、大いに役立ってくれそうな気がするな。

 という訳で、【赤雀(せきじゃく)】という名の弓をタップすると、手元に生成される。

 取り敢えず、こいつが当面の俺の相棒だな。


「厨二は何を選んだんだ?」


「ん? 僕はこれだねぇ」


 そう言って、厨二は手元に生成された袋を持ち上げる。

 袋の中からチャリン、という金属同士が接触する音的に、メルと呼ばれる通貨を選択したのだろう。


「……まともな報酬が他に無かったのか?」


「別に武器を取っても良かったんだけどねぇ、こっちの方が()()()()()()()()って」


「後々? 迷宮を出た後の事か?」


「んー……知らないならまあ、お楽しみって事で」


 お楽しみってなんだ? まあ、お楽しみって言うぐらいだ、何かしら役に立つんだろう。

 選択式のバフの方は無難に『AGI+30%』のバフを選択し、俺と厨二は10階を後にするのだった。





「……なあ、厨二」


「なんだい?」


「なんだこれは?」


「なんなんだろうねえ」


 11階層に降りた途端、フロアの様子が一変する。

 洞窟のような構造だったこれまでの階層とは違って、白一色で塗装された内装。

 フロアの所々に椅子とテーブルが何故か配置されてあり、仕切りの奥には調理道具らしきものが沢山配置されている。

 明らかに()()()すぎる内装を見て、思わず眉を寄せる。

 何かを知っている様子の厨二は、にやにやとした笑みを浮かべながら何かを指差した。


「早速()()()を引いたみたいだねぇ。ほらほら村人くぅん、そこの券売機見てみなよぉ」


「は? ()()()?」


 迷宮とは不釣り合い……いや、そもそもファンタジー世界とは不釣り合い過ぎる単語に耳を疑いながらも、厨二が指差した方を見る。

 すると、そこにあったのは紛れも無く食堂とかで見るような券売機だった。


「……なんでこんなとこに券売機があるんだ!?」


「推測だけど、旧時代の遺産がそのまま残っているのかもねぇ。まあ、あまりにも世界観とかけ離れ過ぎてて笑っちゃうよね」


 既に遭遇したことがあるらしい厨二は、俺の反応を見てくつくつと笑う。

 しかし見れば見るほどマジでただの券売機だ……。取引されてる通貨がメルってだけでそれ以外は現実にあってもおかしくないような見た目の……待てよ?


「……ん? もしかしてこれが噂の補給所だったりする……?」


「正解だよぉ」

 

 あー……。なんか前にシオンが言ってたような気がするな。迷宮内での空腹度管理の話題で、迷宮内に自生する果物を取るか、補給所で購入するかの二択だって。いやでもまさかその補給所がこんな食堂みたいなものだなんて想像付かないだろ普通。


「だからさっき厨二はメルを交換してたのか……でも、今回は【腹減らずのお守り】が二つあるから別に要らなくないか?」


「ふふん、ところがどっこい、この補給所で購入出来るのは食料だけじゃないんだよねぇ」


 そう言って、厨二が券売機から何かを購入し、こちらに見せつけてくる。

 その券は、どちらかと言うとこういったゲームでは無く、ソシャゲとかで見るような豪華な装飾が施された券だった。


「なんだこれ……ええと、遺物ガチャ券?」


「なんとこのガチャ券、3000年前の古代遺物がランダムで手に入るという代物なんだよねぇ」


「ふーん? それが何か?」


「気付かないのかい? 3000年前の古代遺物だよぉ?」


 別に3000年前の遺物って言っても迷宮内で手に入るような装備の事じゃ……いやまさか。


「もしかして……もしかするのか?」


「ふふん、何が当たるか分からないからこそ、人はガチャに夢を見るのサ。そこに可能性が1%でもあるのなら、人はその可能性を追い求める物サ」


 そう言って、不敵に笑う厨二の手元で光り出すガチャ券。その圧倒的な自信の程に、思わず俺の想像する物が出てくるんじゃないかと思わされ、生唾を呑み込む。

 そして、輝きが頂点に達すると、閃光が弾け──そこに、一つのアイテムが生成された。



――――――――――


【ブーブートイカー】


3000年前に玩具店で販売されていたおもちゃ。異邦の者によって引き起こされた技術革新によって古代の人類達はこの奇妙な箱を乗り物とし、街を往来していたらしい。

走らせるとやかましい音を立てるという事で、製造元に非難が殺到したとか。


――――――――――



「ハズレじゃねえか!」


「ハズレだねえ」


 厨二の手に生成された車のおもちゃを見て、思わず叫ぶ。いやまあ、3000年前に車があったみたいな話はかなり有益な情報ではあるものの、【双壁】戦で3000年前には銃器が存在していた事実は知っているので、車があっても不思議じゃない。


「びっくりした、マジで銃が出るもんかと思ったぞ」


「僕も出るんじゃないかと思ってちょこちょこ回してるんだけどねぇ、まだ一回もその類の物は出てないんだよねぇ」


 ハズレが多いとは言え、確かにそれを聞くと引く価値はあるのかもしれない。

 階層報酬で他の報酬がハズレだった時は、メルを交換して補給所でガチャ券を購入するのもアリなのかもな。ワンチャン銃器が出る可能性もあるし。

 厨二が当てた車のおもちゃをまじまじと見ていると、厨二は何かを思い出したかのように「あ」と声を漏らす。


「この階層なら他プレイヤーとの戦闘は禁止になってるからリアルで何かしたいなら今の内だよぉ」


「あ、それならエナドリ補給してこようかな」


 突発とはいえ、これから50階層までノンストップ攻略するつもりなのだ。今のうちにブーストしておくべきだろう。


「じゃ、僕もちょっと休憩するから、五分後に再集合って事で」


「ああ、また五分後に」


 こうして、一度休憩を取った後、厨二と共に【アガレスの大穴】攻略を再開するのだった。

 

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― 新着の感想 ―
更新きたぁぁぁ!!健康に気をつけてこれからも頑張ってください!
更新おありがとうございます。もっと更新しろください? なにはともあれ、これからも更新お待ちしてます!
・・・まさかガチャもアバターのパーソナルに合わせて排出が変わる・・・とか?
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