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エピローグ

「で、昨日、突然の合格の通知が来て、俺、なんか混乱しちゃって…。透也さんに連絡したんです。」

秋吉は、話と酒の酔いを覚ますように、冷たい水を一気に飲み干した。


「随分と不思議な話だね。で、結局、君の会った音無先生は本物だったのかい?」

私は、好奇心で身を乗り出して秋吉に聞いた。

「それが…良くわからないんです。実際にあんなことがあったのかも、自信が無いんです。なんか、目が覚めたら下着でベッドに寝ていて、屋敷は全てカバーがかかって掃除が終わっていたんですよ。何か、おかしな夢を見たような気持ちで…、若い女性の秘書さんの軽自動車で駅まで送ってもらったんです。」

秋吉は不安そうに記憶をたどる。

「でも、オーディションはあったわけだよね?だから、主役をとれたんだから。」

私は、冷静に秋吉に確認した。秋吉は眉を寄せながら不可思議そうに頷いた。

「そうだと、おもうけど…。ねえ、透也さん、肉食の、人間を糧に繁殖するような、そんな繭蛾は本当にいると思う?」

秋吉の不安そうな瞳を私は、優しく受け止めた。

「尺取り虫の一部に、肉食のものがいるとか、聞いたことがあるけれど、人間を補食する、肉食の繭蛾なんて、聞いたことは無いよ。きっと、秋吉は化かされたんだよ。」

私は、わざと明るく言った。それを聞いて秋吉は、安心したように微笑んだ。


「この前の出来事は少し怖かったですけど、なにか怪我とかした訳じゃないし、あれから本業の仕事が増えて…、俺、また別の主役をとれそうなんです。雑誌のモデルに、有料放送のナレーション。ファンも少しづつ増えてますから、もう、ラッキーだったかな?って、まあ、考えすぎても仕方ないし。」

秋吉は明るく微笑んだ。その笑顔に甥の昔の姿を思い出した。


「ああ、考えすぎても仕方ないよ。遺伝子の組み換えと言っても、法律で色々規制されているし、SF小説みたいに人間が好き勝手が出来るような物でもないんだから。きっと、秋吉はからかわれたのかも知れないね。それでも、人間性で合格したんじゃないかな?」

私は、精一杯明るい見解を伝えて、それを聞いて、秋吉は安心したように目を閉じた。


「ありがとうございます。なんか、安心しました。そうだ。来月、その握手会があるんですけど、来てくれませんか?俺、最高のサインをサービスしますよ。その時に、音無先生と会えると思います。俺、それ聞いて、なんか、ちょっと怖くなって、」

秋吉は、怖がっていた自分を恥ずかしそうに笑ってごまかした。

「そうだよ。怖がることなんて何もないさ。」

私は、笑って秋吉の不安を払拭した。


「そ、そうですよね。俺、怖がりじゃないんだけど、なんか、主役に決まってから、あの時の事をたまに思い出してしまって…。もし、会場にあの、スマホの女性が現れなかったらどうなるんだろう…って、そんな事ばかり気になって。でも、透也さんが来てくれるなら、安心だな。きっと来てくださいね。」

秋吉の明るい声に、私は、薄暗い不安を感じて、ただ微笑みかけるしか出来なかった。


応援ありがとうございました。

この作品、ブックマーク5。私の作品の中で今まで最高数のブックマーク数の作品でした。

アンコールを考えていて、少し考えすぎて遅くなってしまい、1人去って行かれました。

ごめんなさい、遅くなって(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

七転八倒の創作活動ですが、これを機会に即興で作っています、アンコール。

これは、本編用の習作なので、続編はないのですが、それっぽく書いて見ましたよ。

これから投稿する「パラサイト」は、皆さんへのアンコールです。

これを持って心おきなくブックマークを外してくださって結構ですよ。

ちなみに、私は2点評価、好物です( ˊ̱˂˃ˋ̱ )



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