過去の罪と新たな出会い
そんな訓練が毎日のように続いた。最初は秀を心配して声をかけてくれた数人のクラスメートも秀に話しかけることはほとんどなくなった。時々秀から話しかけることもあるが殆どが相手にされない。
「はぁ……何でこうなっちゃったんだろう。」
今日何度目かの重すぎる溜め息がこぼれる。ことの原因と解決策は秀の脳内に浮かぶ素振りすら見せない。その思考は遂には日本で育ったことを憎むという意味のわからないところにまで進んでいた。
何故……。どうして俺がこんな扱いを受けなければならないんだ。異世界、日本から来たことがそんなにダメなことなのか。文化の違いだけでここまでの謗りを受けるのだろうか。
秀は今、声を大にして言える
「異文化どおし協和しあわなければならない。」
さて秀は日本でどうだったであろうか。
秀の学力は超平凡で海外に住んでいたこともない。
根っからの日本人だ。そんな秀が正しく英語を話せるはずがなく、他の言語など論外だ。
秀は思い出した。ある光景を。
駅構内で迷っている外国人に話しかけられたのにその横を足早に通りすぎたことを。
クラスにきた留学生の文化に価値観を否定するような眼差しを向けたことを。
これらは今までに秀がしてきたことであり今の秀の現状である。
秀は悔やむ。過去の自分を。
秀は嘆く。この現状を。
過去と今は別物かもしれない。しかし秀の罪は残存する。
秀は償いを望む。しかしそれも叶わぬこと。
秀は罰を受ける。過去の代償として。
「あぁ……何で俺だけ。」
そこに答えは得られない。秀の脳には周りも同じだったあの情景が浮かぶ。結局に秀の思考は理不尽という言葉で片付けたがる。しかしそれはただの逃避に過ぎない。
秀は一筋の光を求める。
しかし秀の周りに光源など無かった。
「今日から実際に指揮官の下で訓練してもらう。」
始まりから一月ほどたったある日、教官から指示があった。一応講義は全て終わっており、今日から一日中訓練である。依然、秀の苦痛は続くのである。
班に別れてそれぞれの指揮官とミーティングを行うように指示があった。秀は足早に指定された場所へと向かう。到着した秀は周りの仲間を確認する。
アルフィウス、ヴィーダ、コンセル、ディルター
彼らが共に訓練をする仲間である。
彼らの視線が冷たく突き刺さる。誰も秀を勧誘するものはいない。誰もが秀が疎ましい存在であると思っている。もはや秀の居場所はない。
「今からミーティング始めるよ!」
辺りに少女の声が広がる。秀の前に指揮官が立つ。秀の目の前に立つのは軍服の間から美しさが湧き出る秀と同じ歳くらいの少女だった。
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次話の更新は1月6日22時を予定しております。
冬休みが開けたら週に1回のペースで更新していく予定です。




