偶然の出会い
反乱も片付いたある日、王宮の一室で会議が催されていた。
「今回の一件で王国軍の大半の部隊が壊滅しました。残りは新たに徴集をかけてもせいぜい1,000ほどです」
ある一人の報告に場が一斉に混乱に陥る。
ある者たちは「終わりだ」「終わりだ」と叫んでおり、またある者たちは黙って下を向いている。
フィーネの父、ナイトベル=ファラウスも同席しているが彼は何も言わない側の人間であった。
「静かに、今は嘆いていていても何も変わらない。この現状を変えるために意見のある者はいるか」
この場を取り仕切る宰相が場を一喝する。
ある者は言う
「他の国に攻め込んだらどうだ」と。
しかし今攻め込んで勝てるほどの軍が王国には無い。
あるものは言う
「もっと遠くの村からでも無理やり徴集すれば良い」と。
しかしそれでは国民の反感を買う。
恐らく国民は王国の窮地に気づいているだろう。
どうすれば王国が滅びないか、どうすれば国民は安心して暮らせるか。
問題は分かっても答えを出せないじょうたいであった。
一通り意見が出終わり場が静まろうとしたころに一人が唐突に口を開いた。
「そうだ、忌者狩りをしよう。不安の芽は生える前に摘んでしまえばいいんだ。少しでも怪しい者は捕まえておけば王国が危険にさらされることも無く、国民が安心できるのではないだろうか」
すると静まっていた場は一気に盛り上がりを返す。なんといい考えだ、今すぐにでも実行するべきだ、など賛成派はさらに声を荒らげ場を支配する。
「それこそ無実の人も捕まり国民の反感を買うのではないか」
ファラウスは場を鎮めるために力強く叫ぶが最早この流れを止めることはできなかった。
「No.13捕獲完了」
「ご苦労、引き続き1と2の捜索も行ってくれ」
「了解」
報告を受けた男は不気味に笑った。これからは俺の時代だと。
国立収容所
それは国に仇なす存在を拘束する場所。
そんな場所の地下牢に秀はいた。
どこからも届かぬ光は絶望を表し今が夜であることも忘れさせる。
秀の上が騒がしくなったのはその日の明け方であった。
「No.2が逃げたぞ」
「捕獲しろ、最悪殺しても構わん」
どうやら秀と同じような被害者は他にもいるようだ。
秀がNo.13ということは最低でも12人は他にいるはずだけれども。
その喧騒は太陽も完全に登り切り地下牢にも反射した細長い光が差し込む頃であった。
どうやらNo.2も捕まったらしく、監守に連れられて地下牢に下りてきた。秀の隣の牢が開き、そして閉められる。No.2は秀のように叫ぶことも無く終始静かであった。
地下牢は部屋同士が鉄格子で仕切られており隣の様子も見ることができる。
秀が隣を覗くとそこにはボロボロになった少女がいた。
「大丈夫ですか」
秀は咄嗟に声をかけてしまった。
それを聞いて少女は顔を上げる。
そして一瞬だけ目が合うと秀は記憶の中から少女を探し始めた。しかし先に見つけたのは少女のほうであった。
「シュウ…」
その声を聞いて秀も目の前の少女が誰であるかを理解する。
「指揮官…」
二人の間にしばらくの沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのはフィーネであった。
「リカバリング」
そう唱えると二人の傷を少しずつ癒し床に倒れた。
「リピート」
秀も魔法を唱えフィーネを癒すと暫く記憶を手放した。
不意打ち投稿です。




