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ファイナル リベルズ  作者: KD
未来へと続く道
16/19

厄災

本日2話目です。

前話を読んでない方はそちらからどうぞ。


人々はある少年のことをこう話す。ありふれた高校生であると。


人々はある少年のことをこう話す。それは変人であると。


人々はある少年のことをこう話す。命の恩人であると。


そして人々はある少年のことをこう話す。悪魔であると。






夜。辺りはすっかり闇で隠れ、細く頼りない月だけが、光をもたらす。今まで使っていた寮舎は全壊し、残った寮舎の空いている一室を使っている。今までは全室他の人が使っていたがあの反乱で辺りはすっかりと閑散とするようになった。話によれば50いた訓練生も今では10人を下回り逃げ出す輩も出ているほどだ。そのおかげで秀は今、この寮舎に一人である。

秀は布団に入るとすぐに睡魔に飲み込まれた。あの一件から5日、毎日王都の復旧に協力している。あの何も無くなった場所には新しく建物が建てられ、王都の守りをより強固な物にしようとしている。


細い月に照らされた人影が一つ、また一つと近づいて来る。


文明は中世、鍵なんて立派なものは一般にはあまり普及していない。


その人影は何の躊躇いもなく寮舎の中に入っていった。

一部屋一部屋入り、そして出ていく。

秀の部屋は一番奥である。

そして隣の扉が開かれる。生活感はないものの念のため入って確認をする。ちなみに生活感が無いのは、亡くなった後に家族に渡されるか、売られて軍のお財布に入るかしたため今この部屋の生活感はゼロである。


その扉も閉められ、残す部屋は後一室となった。

最後の扉がゆっくりと開けられる。辺りは真っ暗でほとんど見えないが多少は暗さに慣れて布団の位置程度は見えるようになっていた。その布団から頭が出ていることが確認できる。やっと正解の扉にたどり着いた。人はゴールが近くにある時ほど、足元には気づかない。足元の段差につまずく、そして手を伸ばした先で花瓶に触ってしまった。花瓶はバランスを崩しそれは支えられることも無く、自由落下を終えた。鈍くバリンと音がして花瓶が割れた。その音で布団の中の人影が動き出す。何とかごまかせるのではとも思ったが意を決して叫んだ。


「行け、捕まえろ」




秀はその声で完全に目を覚ました。事態は全く理解できないがそれが悪いことであることは簡単に察することができた。秀は飛び起き近くにあった訓練道具の中から剣を抜き出し防戦に応じた。この部屋は窓はあるが小さいため容易に逃げ出すことが出来ない。一切下がることの叶わないまさに背水の陣であった。

秀がいくら決死の覚悟で頑張ろうとも非才な訓練生の寝起きのパフォーマンスなどたかが知れている。秀は2,3度剣を振るい何とか一人の腕に傷を負わせることができた。まあそれ以上傷つけられなかったのは技術面だけでなく、人殺しへの禁忌感も相まってであろうが。

結局秀は利き腕の腱を切られ、そのまま捕らえられてしまった。



その後秀は危険な空の旅をすることとなった。

捕まえられた後大きな箱に入れられ、捕縛魔法を掛けられ郊外にある牢獄まで飛ばされた。


「報告します。リスト13番捕獲、転送完了」


「ご苦労」


通信魔法による会話が終わり、秀を収めた箱が開かれる。

歩くことだけが可能になるように魔法を一部解き秀を牢獄へと送る。


「何で……何で俺が捕まるんですか」


「俺が何をしたと言うんですか」


ただ監守は秀を連れて奥へ進むだけで秀の質問に答えようとはしない。


「何で…何で……何で……何で…………」


そう言っているうちに秀に与えられた一室に着き、秀を押し込むと、その鉄の格子は閉められた。

完全に鍵がかかったのを確認すると秀に掛けていた捕縛魔法解く。


「何で…何で……何で………何で…………」


監守は元来た道を戻っていく。


「何がいけなかったんだよ、教えろよ」


心の底から声を出し監守へと届けようとする。すると監守は振り返ると小さくもはっきりとした声で言った。


「黙れ、厄災め」


次話の更新は3月25日22時を予定しております。

もしかしたら不意打ち投稿になるかも。

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