終わりの予感
目の前には真っ更な大地が広がっている。
どこからともなく終わったんだという雰囲気が漂っている。それもあながち間違ってはいなかった。これは後から判明することであるが、実際この砲撃で反乱軍は壊滅しており後ろで指揮を執っていたガバドールも砲撃に巻き込まれていた。中枢を失った反乱軍らは散り散りとなって逃げていく。一方王国軍もそれを追いかけるだけの余裕は無く、結果辺りからは戦闘の音は消えた。その攻撃の通った跡には敵か味方か、人か獣かも分からない骨が幾つか落ちているだけだった。
落ち着きを取り戻した本陣では報告が行われていた。立場的には上位にあたるフィーネはそれを受ける側にあった。内容は概ね見て推し量れるものであった。しかしフィーネはその被害の甚大さを改めて感じることとなった。しかし考えるべきことは過去ではなく未来である。今回の襲撃で王都にいた軍隊はほとんど壊滅した。王都の外にも多少はいるが、もしこの規模の襲撃が再び来たら防衛は困難であろう。
フィーネはその災難がやって来た西の方角を見つめる。辺りはすっかり夕暮れ色に染まり今にも日は沈もうとしている。
報告を受けた後、フィーネは秀のもとに向かった。その間にも何人かの人に回復魔法を掛け、患者の生きる道を繋げていた。秀は怪我人の運搬を行っていた。二人はお互いを見つけるも目だけで会話しお互いの成すべき仕事へと戻った。
フィーネが怪我人を回復させ症状を抑えてから秀が病院へと運ぶ。もう既に病院もいっぱいらしく別の施設へとも運んでいく。
彼と彼女に命を救われた者は数多い。そのひたむきな姿に元気をもらった者も少なくない。
実際二人を命の恩人だととらえる人も数あまたである。
ちなみにフィーネに至っては走馬灯の中に輝く天使を見たという人も何人かいた。
時を告げる定刻の鐘、王都は少しずつ平穏に戻ろうとしていた。
丁度日本の時刻では六時ごろであろう。一通り作業を終えた二人はどちらともなく近づいていく。
会ったはいいものの話すこともなくフィーネは半ばは分かりきった質問をした。
「シュウ、残りの二人は」
「どうやら怪我人を運ぶときに流れ矢に当たったらしくて……」
秀はどこか申し訳なさそうに、残念そうに、そして何よりも悲しそうに話す。
それを見て察し、フィーネは秀の濁した言葉を聞き返しはしなかった。
「これから……どうなるんでしょうか」
国民たれば必ず気になることを秀は唐突に尋ねる。実際フィーネは今、重役の代理であり、そんなことを訪ねても良い人では無いのに、この距離の近さが故、つい尋ねてしまったのだ。
「すみません、こんなこと国を守る立場にある人が言ってはいけませんよね」
それに気づき秀は前言を撤回しようと試みる。
「いえ、国民たれば自分の国の将来が気になるのも当たり前ですよね」
フィーネは秀の気持ちを汲み取り寛大に返す。そしてさらに言葉を続ける。
「今、王国は非常に危険な状態にあります。恐らくこれはだれが見ても分かる状態でしょう。具体的に言うならば……もう一度でも今回の規模の襲撃があれば王国は…………滅びます」
最後は苦虫を100匹以上潰したように未来を述べた。
二人の間に沈黙が過ぎた。それを打ち切るに妥当な言葉も無く、ただただ別れの挨拶だけして帰路に着いた。
本日はもう一話分更新します。




