地獄への突入
反乱軍の猛攻は実に凄まじいものであった。
最前線は既に大量の負傷者で溢れていた。しかしここで引き下がっては王都は火の海と化してしまう。兵士らにとって下がることは許されない。まさに背水の陣であった。
「フィーネ殿。」
秀たちが西門へと向かう途中、フィーネが一人の男に話しかけられた。フィーネはそれだけでおおよその用件を察したらしく秀たちに指示を出す。
「先に西門に行って軍の手伝いを。」
それだけ残してフィーネは男と共に去っていった。
西門へと向かう3つの影。
そして目の前にはこの戦いで命を落とした数多の影。
秀の胸中に渦巻く感情。悲哀、興奮、恐怖そして絶望。雑多な感情が混在していた。
絶望。それはまさにこの光景でもあった。
背水の陣の思いで死闘を繰り広げている仲間も、己のために突き進もうとしている反乱軍も、それを合わせた壮観も絶望の2文字が似合っていた。
王国軍は言わずもがな、反乱軍も3000いた軍が今では500ほどである。どちらの陣営も被害は甚大である。
「矢が足りないぞ」
「援軍は来ないのか」
「物資が不足してるぞ」
王国軍の陣営で数多の声が混在している。
秀たちも着くや否やすぐに手伝いに向かう。
秀は間近でその地獄を味わった。周囲からは声にならない呻き声が聞こえる。動かなければならないと分かってはいてもからだが動かない。
「おい、そこ。何突っ立ってるんだ」
その声で自分が突っ立っていることに気づく。
「すみません」
そう言って秀も地獄へと走った。
後拝読有り難うございました。
私用により来週は更新を見送らせて頂きます。
その代わりに次回は2話更新でいきたいと思います。
というわけで次回の更新は3月4日22時です。




