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『こちら側』と『向こう側』

気を失ってどれくらいの時間が経ったんだろう。

もうすぐ目が覚めるような予感がする。


しかしこの空間で永遠に眠りたい。そして何もせずに漂い続けたい。


目が覚めたらきっとめんどくさい事が始まる。


自分の弱さに甘え、自主性もなく、ダメな自分を変えようともせず、人任せで何となく生きてきた人生感が全く通用しない、そんな世界に行ってしまいそうな……。


寝ている感覚から呼び起こされる。


何かが始まる。


これまで通りなんとかなると思っている。


正直怖い。


でも仕方ない。


起きるとしよう。


そして俺なりの、冒険を始めよう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


聞いたことのない鳥の鳴き声によって俺は重い瞼をそっと開けた。


瞼を開けた先には、『向こう側』では見たことのない生物がいた。


空には翼が四枚の鳥が綺麗な弧を描きながら飛び、

海には何万匹という小魚の群れが太陽の光に照らされ、鮮やかな緑色を放ちながら泳ぎ、

地面には四原色と言うにふさわしい美しい虫が、紫色の木の蜜を吸っている。


この光景を見た時、最初に頭をよぎったのは白亜紀前期の地球の様子と似ていた。

しかし違う。

俺のいる場所は山頂で、山の麓を見れば多種多様な家々が並ぶ小さな村がある。


何より『向こう側』とは違い太陽が二つある。


見たこともない奇妙な世界、そしてその奇妙さも不思議とどこかで見たことのある懐かしい気持ちにさせた。


今俺のいる世界が『こちら側』で、

元いた世界が『向こう側』なのか、

それとも元いた世界が夢なのか。

はたまた全て夢なのか。


それはまだわからない。


しかし今わかることは、

超絶美人のラノベヒロインが俺を起こして始まるラブコメでもなく、

近代都市にきたわけでもない。


ラノベのような世界に転移できると少しでも期待した数分前の俺に教えてやりたい。


絶対来るなと……。

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