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俺たちがに降りると、葉那ははるに言われたように、ホットタオルで目を温めていた。音で気付いたのだろう。葉那はタオルを外す。
「はるちゃんは?」
「もう少し休むって」
「……そう」
葉那はまた、ホットタオルを目に当てる。
「皐月も寝たし葉那も少し寝たら?」
唯が声をかける。
「……ん。そうする」
葉那は自室に引き揚げて行った。
机の上にある小さな袋。昨日の放課後、悠と一緒に行った雑貨屋で買ったものだ。ネットで見た可愛い雑貨屋
は裏路地にあった。そこへ行きたいと言い出さなければ、行かなければあんなことにならなかったのかもしれない。悠と二人楽しく選んだ物なのに、今はその記憶も後悔ばかりで、葉那は袋を開けることができなかった。
「……はるちゃん……」
いつも自分はみなに守られてばかりだと思う。まるで自分はガラスケースの中の宝石のようだ。今までも。そして、きっと、これからも。大切に慈しまれてばかりの存在。守られてばかりの存在でいたくなにのに。
「……そうだ……」
葉那は思いついた。そして、以前もらった新入生歓迎のパンフレットを開く。
ひと眠りしてすっきりした顔で皐月はリビングに現れた。はるの抱き枕は相当寝心地が良かったようだ。葉那というの存在がいながらと、少々腹立たしい。
「はるは?」
「よく寝ていたけど?あ、でも、結構汗をかいていたから、熱は下がったんじゃない?」
皐月は何でもないように言う。
「じゃあ、俺、バイトだから。あと、よろしく」
そう言い残し、家を出ていった。




