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俺たちがバイトから帰ってきたとき、まだ、葉那とはるは帰っていなかった。どうせ、葉那のわがままに付き合わされているのだろう。時には夕食を作るかと台所に立つ。
し か し 、 夕 食 が で き て も 二 人 は 帰 っ て こ な か っ た 。
そして、誰のスマホにも連絡が入らない。
「……だめだ。電話にも出ない」
電話かけても無機質な機械音がなるだけで、肝心の二人に繋がらない。
「俺、探しに行ってくるわ」
何かトラブルに巻き込まれたのかもしれないと皐月が立ち上がる。
「俺も、行こう。涼は二人が帰ってきたときのために家にいてくれ」
唯も続く。俺はその場で二人が、葉那が早く帰ってくることを祈るしかなかった。
「葉那さん、私のことはいいですから、早く逃げてください」
狭い路地で悠は叫ぶ。
「でも……」
「いいから、早く!!」
目の前には、数人の大柄な男たち。狙いは葉那だろう。悠は葉那をかばうように前に立つ。喧嘩の腕にはしょうしょうじしんがあるが、この相手に葉那をかばいながら喧嘩するには荷が勝ちすぎていた。自分一人でも、どうなるかわからない。でも、とにかく葉那に怪我をさせたくなかった。
「葉那さん、早く」
悠に急かされ、葉那は走り出す。涙で、前が良く見えなかった。
大通りに出たところで、葉那は皐月を見つけた。
「……皐月君、はるちゃんが……」
皐月もすぐに葉那を見つけ、駆け寄ってきた。
「那須はどこだ」
「……あの道の奥……」
葉那は細い路地を指さす。
「わかった。お前はここにいて、唯に連絡しろ」
そう言い残し、皐月は路地に身をひるがえた。
『二人が見つかった。今から帰るから』
どれくらい時間がたったのだろうか。唯から電話が入る。
「葉那は大丈夫なのか?」
『ああ、葉那は無事だ』
「どういうことだ?」
なんか唯の言い方がおかしい。
『はるちゃんがね、ちょっと。救急箱を出して待ってもらえないかな』
唯は言葉を濁す。あまり、言いたくないような状況なのだろう。
「……わかった」
本当はもっと詳しく聞きたかった。でも、その言葉を飲み込む。そして、電話が切れた。




