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テストが終わった。相変わらず、葉那はやつれている。テストの度にこうなんだから、もっと日ごろから頑張ればいいのにと思う。
「那須、さすがだな。赤ラインで覚えたところ、全部出てたぞ」
皐月は笑顔だ。本気で参考書の赤ラインを全部覚えたのだろう。
「まあ、今回は簡単でしたからね」
「確かに、昨日あんなに時間を割いてやることはなかったかな」
だからと言って、満点の自信はないけれども。簡単と言ったはるに賛同できる程度にはできた。
「よし、今日はこれで終わりだから、パーと遊びに行こう」
葉那が息を吹き返す。はるは大きくため息をついてみせた。
「葉那さん、テストの復習やりましょうよ。そうすれば、自分ができなかったところがわかるじゃないですか」
「今日はもうやらないの。明日から、頑張る。明日は休みだし」
「葉那さん……」
はるは呆れていた。もちらん、俺も。
「あすなろだと、結局何もできないぞ」
しかし、葉那には俺の声が届いていなかったようだ。
「みんなも一緒に行くでしょ?」
「俺、パス。バイト」
「俺も」
「同じく」
俺たち男組はみんなバイトだった。
「ええー」
つまらなそうに葉那は声を上げる。そんな声を上げたって仕方ないじゃないか。テスト前はバイトができないんだから。
「いいもん。はるちゃんとデートするもん」
「私に拒否権はないんですね」
はるは仕方ないと苦笑した。
俺たちは校門で別れる。それを後悔することになるなんて、この時は思いもしなかった。




