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「……えっと、はるちゃん?」


リビングに戻った悠を唯が不思議そうな顔で見る。悠は我に返った。


「やだ、私ったら」


慌てて誤魔化そうとし昼食を再開する。皐月がクスクス笑った。


「だから、そっちの方が好きだって言っただろ」

「一体、どう言うことなんだよ」


唯は素の悠を知らないのだ。否、涼も知らなかったのできっと相当驚いているだろう。


「那須は日頃は猫被り、って、痛いな、おい」


悠は皐月の言葉を遮るように、思い切り皐月の肩を叩いたのだった。バシンと大きな音が響く。


「なんでも、ありません。ちょっと腹が立ったので、つい。忘れてください」


悠は綺麗に笑ってみせる。忘れろと言われても、忘れられるはずがなかった。




 葉那を探し、俺は走る。そして、幼い頃、よく遊んだ公園に差し掛かった。


「……いた……」


葉那はブランコに腰掛けて一点を見つめている。


「葉那‼︎」


俺は思わず、大きな声を出していた。葉那はビクッと肩を震わせ、そして、俺を見た。


「……涼君……」


葉那は立ち上がり、俺に近づく。


「ごめん、俺……」


思わず、葉那を抱きしめた。俺の腕にすっぽり収まってしまう身体。愛おしくて仕方なかった。


「どうしたの、涼君。苦しいよ」


葉那の声は震えている。


「あんなこと、言わせたかったわけじゃないんだ。ただ、俺、自分が情け無くて、八つ当たりしただけなんだ」


俺は葉那の顔を見る勇気がなかった。許してもらえるなんて思っていない。だからと言って、嫌われた顔を見る勇気もなかった。


「……涼君……私の顔を見て」


葉那は腕の中で身動ぐ。そして、無理やり俺の顔を見た。


「それ、どうしたの?」


俺の赤い右の頬が目に入ったのだろう。冷たい手で触れてくる。熱を持った頬に、それは気持ちよかった。


「はるに喝を入れられたんだ」

「まあ、はるちゃんが?」


苦笑する俺に葉那は目を丸くする。そりゃあ、そうだろう。はるのそんな姿なんて、簡単に想像できるわけがない。俺だってそうだ。


「ああ、かなり効いた」


俺は苦笑するしかなかった。


「ふふ。家、帰ろっか。それ、冷やさないと大変なことになるよ」


葉那は笑う。そして、俺の手を引いて歩き出した。


「私も、ごめんね」


ポツリと呟いた葉那の謝罪。俺は聞き逃さなかった。繋いだ手に力を込める。それで、十分だった。




 ずっと守りたかった自分だけのお姫様。


 でも、そのお姫様を傷つけてしまった。


 悪い継母でもない、悪い魔法使いでもない、傷つけたのはありのままの俺自身。


 彼女は許してくれたけど、俺自身は簡単に許してはいけない気がする。


 俺は贖罪をしよう。


 そして、今度こそ誓うんだ。


 俺は彼女を守れる騎士になることを。

 





         END


古いプロットを文章に起こすものは難しいですね。


当時、自分がどういう思うで書こうとしたのか……。


本当はシンデレラだけで完結する恋愛小説の予定でした。


しかし、蓋を開けれ見ると、恋愛のれの字もない状態で……。


そこで、生まれたのがこの作品以下に続く物語です。


シンデレラから読まれた方はわかられると思いますが、フラグの回収が全くできていません。


その挙句、新たなフラグが立ち上がっています。


このフラグの回収は次話以降に徐々に回収していく予定です。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。


楽しんでいただけたら幸いです。

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