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葉那と上手く話せない日が続く。今までだって、喧嘩したことは何度もなった。その時、どうやって仲直りしたのか、どうしても思い出せない。葉那も俺を避けている様で、俺たちの間にはなんとも言えないギクシャクした空気が漂っていた。俺は葉那を意識しすぎていた。葉那にできるだけ顔を合わせないように早く学校へ行き、休憩時間は教室から出て過ごす。放課後は毎日遅くまでバイトを入れた。


 できるだけ葉那を避け続けたが、それがどうしてもできないときもあった。




 そ ん な 、 あ る 日 の こ と だ っ た 。




「涼君、言いたいことあるなら逃げないではっきり言ってよ」


 昼食の席で葉那は言った。


「話すことなんて、別にない」

「嘘よ。じゃあ、なんで顔を合わしてくれないの」


葉那の声は震えている。でも、俺は何も言えなかった。


「……どうして……。どうして何も言わないの。私のこと、嫌いになったのなら、そう言えばいいじゃない」


それでも、やっぱり俺は何も言えず、リビングには重たい空気が流れる。


「涼君の馬鹿」


そう吐き捨てると、葉那はリビングから、そして、家からも飛び出していった。


「涼!!」


皐月が声を荒げる。


「心配なら、皐月が追いかけたらいいだろ。葉那だって、そっちの方がいいんじゃないか」


いつかの光景が脳裏をよぎる。ふとした瞬間に脳裏をよぎり、俺を苦しめる光景。忘れたくても楔のようで忘れられない光景。


「それは違うだろ」

「どう違うんだ。どうせ、俺なんかどうせいてもいなくても一緒だろ」


もうヤケクソだった。どうせ、頭でははるに敵わないし、喧嘩だって皐月に敵わない。運動だって俺よりできるやつは沢山いる。そう吐き捨てた時だった。右の頬に灼熱が疾る。


「不貞腐れるのもいい加減にしろ」


それははるだった。はるが俺を殴ったのだ。握りしめた拳が震えている。はるは悔しそうな、だけど、日頃は絶対に見ることのできないか顔で俺を睨みつけた。


「この世にいてもいなくてもいい人なんて一人もいないんだよ」


日頃のはるからは想像もできないような口調だった。そこで俺はようやく、はるを怒らせてしまったことに気がつく。


「……ごめっ……」

「謝るのは後、さっさと葉那さんを追いかける。この前の奴らがどこにいるかわかんねぇだろ」


はるは家から俺を蹴り出したのだった。



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