表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

11


「葉那さん、悠です。入ってもいいですか?」


 小さなノックが聞こる。続いた悠の声に、葉那はそっと扉を開いた。


「涼君は?」

「向こうで片づけをしていますよ」


顔を扉から出した状態で聞く葉那に、悠は苦笑する。


「入って」


そして、悠のためだけに扉を開いたのだった。


「はるちゃん、なんでみんなに言ったの?ああなるのわかってたんじゃないの?」


ベッドに並んで座ると、葉那は恨めしそうに口を開いた。


「隠し通せるわけないですよね。始めてしまえばいいってわけでもないの、葉那さんもわかっていますよね」


悠は諭すように言った。悠の言い分がわからない訳ではない。だからと言って素直に頷ける訳でもなかった。


「葉那さん、どうして空手部に入りたいんです?」


悠は聞く。


「……私ね、強くなりたいの。この前みたいなことがあった時、私だけが逃げるなんて、そんなのもう嫌」


葉那の気持ちがわからないでもない。しかしだ。お姫様になるんだと言い出す前は、色々やって来た悠とは違う。


「葉那さん、葉那さんはそのままでいいんですよ。戦えることだけが強さじゃありません。守ることも、癒すことも、時には逃げることだって立派な強さです。そうですね。ゲームで例えるなら、葉那さんはヒーラーです。一歩後ろに下がっていて、仲間がピンチの時に回復してあげる存在です。確かに一番弱くて、みんなに守ってもらわないといけない存在かもしれません。でも、ヒーラーがいなければ、パーティーは全滅いてしまいます。とても大切な存在です。それが、葉那さんなんです。だから、葉那さんは私たちが傷ついた時に、癒してください。それが、葉那さんの強さです」


それにと、悠は続ける。

「葉那さんを守りたいって気持ちが私に力をくれるんですよ」

「……はるちゃんはそれでいいの?」

「ええ。もちろん」


悠は綺麗に笑った。


「じゃあ、空手は止める。変わりに看護の勉強をするね」

「はい。そうしてください」




しばらくして、はるはやっとリビングに戻って来た。


「葉那はなんて?」


皐月がソファーに腰をかけるはるにピーチティーを淹れる。そして、その隣に座った。


「強くなりたいからと言っていました」

「はぁ?」


意味がわからなかった。俺はなんとも間抜けな声をあげる。


「この前のことが堪えた様です」

「ああ、それでか」

「人には適材適所ってものがあるだろ」


皐月も唯もそれで納得できた様だ。俺が吐き捨てる様に言った言葉にはるは頷く。


「ええ。葉那さんは戦士にはなれません。でも、戦士にはない強さを持っています。今持っている強さの話をしたところ、空手部に入ることは止めることにされましたよ」


はるはずっと冷静だったのかもしれない。この冷静さは間違いなくはるの武器だ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ