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実家





朝日が差し込み、少し暖かく心地がいい。


窓からそよ風が入り、俺の前髪を揺らす。



コンコン、コンコン。



扉をノックする音が響く。


リンデかな?


ついに、ノックを覚えたのかな。


とりあえず、開けるか。


そう思い窓際から離れ、扉へ向かう。


しかし、俺は扉を開けることはできなかった。


俺がドアノブに手をかける前に、勢いよく扉が開いたからだ。


そして予想通りリンデが現れる。


「ノックしたなら、返事を待つか中から開けるのを待てよ!」


「この前は、ノックすればいいって言ってたじゃない! なんで怒るのよ!」


いや、ノックすればいいってもんじゃないだろ……。


「あのなぁ、例えば俺が着替えてたりしてたらどうすんだよ。」


リンデは少し顔を赤らめる。


「き、着替えぐらい別にいいじゃない。」


いいのか。


「じゃあ、リンデは見られてもいいのか?」


「それは、ダメよ! コウイチは私の……見たいの……?」


そりゃあ、まぁ、うん。


でも正直に言うわけにもいかないので。


「それはまぁ、おいといて。なんか用事があったんじゃないのか?」


なので、話を逸らしておく。


一瞬、リンデの着替えてるところが頭に浮かんだが、全力で頭のすみに追いやる。


「ちょっと、実家に帰ることになったのよ。」


「なんかあったのか?」


「少し、ね。用事を済ませるってのと、久しぶりに顔見せに行くって感じね。」


ふーん。


まぁ、それならしょうがないか。


「で、その実家ってのはどこなんだ?」


遠くじゃないといいな。


リンデのいない期間は、俺はソロになるんだから。


もしくは、新メンバーとかもいいかもしれない。


「結構、近くよ。コウイチも知ってる場所よ! 外に出ればここからでも見えるはずだわ!」


部屋からでて階段を降り、外に出る。


俺達の泊まっているこの宿があるのは、王都の端っこ。


こんな場所から見える物なんて……。


まさかな。


ないない。


さすがにアレはない。


「ほら、あそこよ!」


リンデがとある建物に向かって指を指す。


大きな大きな、恐らく王都で一番大きな建物を。


「ん? ちょっと俺、目が悪くなったかもしれない。リンデもう一回指を指してくれるか。」


多分、さっきのは見間違いだな。


「仕方ないわね。あそこよ!」


再び、リンデが指を指す。


しかし、その指が示した先にある建物は先程と変わらない。


「マジで、言ってる……?」


「嘘なんてつくわけないじゃない! あそこが私の実家よ!」


俺は思わず聞き返した。


だって、リンデが指を指していたのは、王城(・・)だったのだから。


「てことは、リンデもしかして……。」


「そうよ! 私はこの国の王女(・・)よ! どう、驚いた?」


驚いた、なんてもんじゃない。


なんで。


なんで、こんなところに王女がいるんだよ!


そして。


「なんで王女が冒険者なんてしてるんだよ!!」


訳がわからない。


王女が冒険者なんて絶対しないだろ。


「別にいいじゃない! 王女が冒険者になったって!」


それに、私は王位継承権十二位だからいいのよ、と少し表情を暗くして言う。


リンデは王位継承権が最下位なのだそうだ。


本人いわく、そんなものあって無いようなものだと。


それなら、王位を継げもしないのに王城に籠るより、外で一般人として生きた方が楽しそうだと思ったらしい。


そして、王国側もリンデが王城を出るのを了承。


王位継承権最下位だし、好きにしていいよって感じだったのだそうだ。


権力なんて皆無に等しいとリンデは言っている。


「じゃあなんで、せっかく王城から出てきたのに帰るんだよ?」


「誰にも言わないってなら教えてあげてもいいわよ。」


もしかして、結構ヤバイことだったりするんだろうか。


「わかった。約束する。」


「約束よ。最近、勇者が召喚されたのよ。」


あぁ、それ俺の妹じゃん。


てか、世間にはまだ秘密にされてたのか。


「へー。」


すでに知ってたことなので特に何も思わない。


「へーって。もっと驚きなさいよ! 勇者よ、勇者!!」


「そんなに驚くものなの?」


「そりゃそうよ! 勇者なんだから!!」


「そう、なのか。」


リンデのなかでは、勇者は凄いらしい。


「でも、勇者っていってもまだそんなに強くないんだろ?」


どうなんだろう。


俺と妹が召喚されてからもう、一ヶ月がたつ。


美玲はどれくらい強くなってるんだろう?


「騎士達では、もう相手にならないらしいわ。まともに今の勇者と戦えるのは騎士長だけらしいわよ! やっぱり勇者は凄いわね!!」


騎士長ねぇ。


騎士長の強さがわからないので、なんとも言えない。


「その騎士長ってのはどれくらい強いんだ?」


なので聞いてみる。


「騎士長が十人いれば、竜もなんとか倒せる言われているわ!」


「その騎士長さんは何人いるんだよ?」


「一人よ!」


じゃあ騎士長、竜倒せないじゃん。


騎士長は竜に勝てないくらいくらいの強さってことか。


ということは、その騎士長と互角らしい俺の妹の強さもそれくらいってことになる。


つまり、まだまだ俺より弱いってことだな。


しかし、さすがは勇者。


もう、そんなに強くなってたとは。


だらだらしてるとすぐに追い抜かれそうだ。


「リンデはどれくらいで王城から帰ってくるんだ?」


「だいたい一週間ぐらいね。今日の昼頃に出発するわ!」


「そうか。ま、ゆっくりしてこい。俺のことは気にしなくていいから。」


昼になると、王城の使いがきてリンデを馬車に乗せて連れていった。


一週間か、短いようで長いな。


せっかくソロで動けるようになったんだし、少し荒い方法で強くなるとしようか。


リンデの安全を配慮しなくていいからな。


次はどの方法を使おうかな。


楽しみだ。


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