おどろきの、吸引力。
「ぷっはー。たーすかったー♪」
なんとか『掃除機』達に吸い込まれなかったクロコ。
…すいこまれていたら、どうなってたのかしらね?
「…なんか不穏なこと考えていませんか?お嬢様?」
いえいえ、別に。
それよりも、この『掃除機』。うちで使っていたものよりも、力が強すぎやしないかしらクロコ?
「えへへ♪そうでしょうそうでしょう~♪
なにしろこの『掃除機』!最新式にバージョンアップしていますからねっ!
なんと独自のサイクロン方式を再現・強化した、いわば…『暴風ハリケーン掃除機』ですかねっ!!」じゃじゃーんっ♪♪
かかげもって…得意気ですね、クロコ?
「バカか、暴風にしてどうするんだ。暴れさせるな。そんなもの普通のやつらには使いこなせないだろうが
……………ちなみに、この『掃除機』はどう使うものだ?『掃除』といっても、まさか人を『掃除』するわけじゃあるまいな?」
…ああ、クロコがさっき吸い込まれかけてましたからね?
「んなわけねーでしょーが!
これは普段は、比喩でなく『ごみ』を『掃除』する魔道具です!
あらかじめホコリや汚れを認識登録して吸い込み処理し、くず魔石や使用者の魔力で使えるようになっている、キュアやクリーンの魔法よりも少ない魔力で動かせるお手軽でエコ!な魔道具なんですよ!!」
ぎゃんすか!と騒ぎながらもアクロスくんに掃除機の説明をしています。
「………普段、『は』?」
「ええ!いざというときには、『招かれざるお客様』を『お掃除』、というか封印したこともありましたが。なにか?!」
腰に手をあてて、威張って言うことじゃないわよ?クロコ?
確かにあのときは、たすかったけど。
ちなみにクロコの魔道具は殺傷能力はないのが基本にありますから、ご家庭で大変な(血を見るような)事はおこりませんよ?
『お子様やご婦人のココロにも安心設計』なのだそうです。
「……いや、それならばいい。なんでもない。」
疲れた声でアクロスくんはうなだれてますね…。大丈夫ですか?
心の疲労はキュアではとれないんですよね?クロコとのやりとりには馴れてください…。
「なんですかー悪人?ワタシの発明に感激しとるのですか?
なんか疲れてるんなら『疲労』を、この掃除機で吸いとってやりましょーかーぁ?……『疲労』の指定が曖昧なんで、できるか…わかりませんがねぇ?」
掃除機の設定をいじりながらアクロスくんに、ニヤリ、とにじりよるクロコ。……おふざけスイッチが入ってしまったようです。
「やめろチビ眼鏡!なにする気だ!
おい!ミリアムも見てないで止めろ!何かろくでもないことがおきる予感しかしないぞ?!!」
身構えてらっしゃいますが、遊びだしたクロコは止まらないのですよ…?
それでも一応、声はかけますが。
「クロコ?止めなさい?アクロスくんが嫌がっているでしょう…」
「大丈夫ですよーお嬢様?失敗してもせいぜいビン詰めよろしく封印されるだけですー♪
さぁ悪人♪いたくなーい、いたくなーい♪…観念しようか?」
すちゃっ!と、クロコが掃除機をかまえたので、アクロスくんは脱兎で逃げ始めました。当然のように追うクロコですが。
…アクロスくん、体力は少ないようで、すでに息切れして追い付かれそうですね…
そのとき
「おやぁ~?どうしました?みなさん?」
ホウエイ先生が、休憩しますよーと、秘密基地から戻ってこられました。
あ、気がつけば、そろそろお昼ですね?
先生はアクロスくんとクロコの追いかけっこの様子をみると、ニコニコして私のほうに来られながらいいました。
「おやおや、クロコさんの魔道具で遊んでいたんですか?お二人とも、楽しそうですね~?今は何をしているんですか?」
「実験です!」とクロコがいい笑顔でお返事しました。
実はいきなり魔道具増産をいわれて、うっぷんが溜まっていたでしょクロコ?アクロスくんは「暴走してるだけです!」と必死に叫びますが…
「ケガをしないように、もうすぐお昼ですから早めに切り上げてくださいね~?
クロコさん?暴発しかけたら止めて差し上げますからね~?」
と、気にしないでおっしゃいます。
…やはり止めませんか。
先生はクロコに言っても無駄であると、もう理解しているようですね?
「すぐ済みます!…これで悪人の『疲労』という名の何かを吸いとってやるのですよ!
いざ、じんじょうに勝負~~~~~♪♪」
「ふざけるなっ!何かって何だ?!」
カチッ
キュイイイイーーーンッと起動した掃除機ですが……
キュイ……ガガッ………ガッ。
すぐに変な音がします?
「……おろっ?」
「やめろ馬鹿!それだと『疲労』でなく僕の『魔力』を吸ってるぞ?!
とめろ!くっ……暴発するっ!」
カカカカッ………ボフンッ!!
※※※※※※※※※※※※※※※※※
……………。
………………………………。
「あ~、ススだらけですね~?」
結局、ギリギリで掃除機のスイッチを切ったので、
暴発こそしませんでしたが、アクロスくんとクロコの二人は、暴発しかけた掃除機の排気でからだが真っ黒です。
「…けほ。これがホントの『まっ黒子「くろこ」』か…。」
「…だからやめろといったろうが、チビ眼鏡。」
「いやそもそも悪人が人?使い荒いせいだし…ワタシは遊んだだけだ、悪くはない(キリッ。)」
「どの口がそれを言うかっ?!」
まだじゃれている二人と周りに、
とりあえずホウエイ先生と一緒にキュアとクリーンをかけていきます。
…掃除機は今はつかえるのがないですからね?クロコが、改造したものばかりですから。
…きれいにできたら、お昼の準備にいかないとですね?
「まぁまぁアクロスくん。あまりクロコさんを責めないでください?
彼女のイタズラのおかげで、もしかしたら『要石』の実用化、進むかもしれませんよ~?」
「え?」
「『要石』の、ですか?」
(イタズラってわかっとるし……ボソッ)
クロコはともかく、私達はホウエイ先生の発言がきになります。
『掃除機』が『要石』の役に立つのですか?
「『掃除機』の説明には『ゴミ』をすいとるとありましたが、先程、偶然にも『魔力』が吸い込めましたよね?指定調整すれば、希望の『魔力』だけを吸い込めるかもしれませんよ~?」
「ほうほう?もしかして『掃除機』の吸引力で『要石』の魔力吸収速度をおぎなっちゃいます?」
クロコも興味をもったようです。
「たしかに、吸いこむ前に目的の魔力だけ集めてしまえば、吸収しやすくなりますね…」
『指定の魔力吸引』ができれば、たしかに生き物の身体に溢れた魔力だけをとればいいので、『要石』はひたすら集めたものを溜め込むだけで、負荷が少なくなりますね?アクロスくんの『魔力病の治療魔道具』にも使えそうです。
……でもさっきのように暴発しませんか?
「いえ、掃除機の中に『ミニ要石』をつかって、さらに親元の『要石』に集めた魔力を転送させるか、はたまた役割をわけた『要石』を連動させる感じでやれば、いけるかもですよ?」
あーでもない、こーではどうか?と話が膨らみだしました…が……。
「でも、とりあえず~。」
お昼ご飯にしましょう?とホウエイ先生がおっしゃいました。
おなががすくと、アイディアも魔力も、湧いてでませんよー?他の皆さんもそろそろ戻ると思いますし、お二人も遊んでお腹がすいたんじゃないですか~?
それを聞いて
…キュウ♪
クロコとアクロスくんのお腹がお返事します。
なるほど。ごもっともです。
つづきはお昼のあとですね?




