うちのメイドは契約精霊(チート)
影はまだまだうすいです。
「みなさま食らいついてましたね。」
「そうね、わたしも初めて貴女の創ったものをみたときは、ああだったなぁと思い出したわ。」
一仕事(お披露目会という名の押し掛け会)を終えて、お客様をひとまずお見送りしたミリアムは、今は自室でくだんのメイドと二人でお茶をしていた。ちなみにお客様は転移魔法でお帰りいただいている。
偉い人達を泊まらせたりなどは恐れ多くて(笑)しないし、場所もないし、何より嫌なのである。
「お嬢様は、よわい10歳で可愛く驚いてくれましたがね。今日の皆様はハイエナのごときでー…げふん。…まぁ、電化製品や生活必需品のファンタジー版なんて、ほんとなら創造魔法があっても創れないはずですからねー。異世界の記憶とチート魔力がなかったら、私にもつくれませんし。」
お茶をすすりながら(紅茶だけど)黒髪黒目・くろぶち眼鏡の、背中に小さな羽根のあるメイドさんはメイドらしからぬ態度で語る。
そう、このメイドさん、チートなんである。
「よわい、って…あのときは、まだお互いに10歳だったでしょうに。私は普通にすごいって思っただけよ?うちに来たばかりの貴女が、素晴らしいものを造って教えてくれたから、ただの商家だったうちが子爵にまでなったんだもの、それには本当に感謝しているわ。」
こちらは普通にお茶をのみつつ、栗色のふわりとした髪に空色の瞳の令嬢ミリアムことミリィは首をかしげほほえむ。
ハーネスト家が商人として成功を納めてから5年、メイドいわく『剣と魔法の中世ファンタジー』なこの世界で、あまりにも便利で奇抜な商品を世の中に広めたとして、子爵になったのはつい先月のこと。
その発明といえる数々の品を創り生み出したのが、一人娘の契約している精霊で、ひとがたの、そしてなぜか契約してすぐメイドをしているメイドさん『黒子ークロコー』なのが国に知られたのも先月のことなのである。(ちなみに本名はお嬢様にだけよ、秘密☆らしい)
この世界では多少の魔力と資質があれば、10歳になると契約精霊と呼ばれる生き物と神殿で契約ができる。ちなみに再チャレンジは二十歳くらいまででこれは魔力の質が安定するまでだからといわれている
精霊は創造神の子供ともいわれる存在で、生き物の魔力からうまれるそんざいであり、生まれるだけで自我の薄いものが大半。能力の高いものは大精霊や、いずれ神様になる、などともいわれている。
能力や種族は生まれる元の魔力質で異なるため、同じ精霊は存在しないし契約をして人と繋がりをもつ精霊はめずらしく、気に入られなければ生み出しても契約や再契約もできない。
とはいっても、普通の契約精霊は人とおなじく物を作ったり補助してくれたり、生活魔法を使う・相棒として過ごす等のものが大半で、能力や魔力の高い勇者級のいわゆる大精霊は滅多にいないといっていい。
過去にいた大精霊でも、間違っても異世界のものを自らの魔力で1から造り上げるなどできない。
メイド・クロコが異質なんである。
ちなみに、ミリィは炎・風・水・土・光・闇の魔法六属性全ては扱えるが、その威力は中のくらいの、やや見た目の可愛い普通域の15歳の少女だ。
クロコは、10歳のときミリィが神殿にいき、建物に足を踏み入れたとたんに爆誕し、「会いたかった!ヒロイン!」と訳のわからないことをいい自主的になかば無理やり契約してきた精霊だ。
その日家についてからも「うわあリアルファンタジーだ!」「不便だありえないこんなんじゃ本編にいくまでに倒れるし!」「わたしが立派なヒロインにしますからねっ?!」と、なぜかその日からメイドを始め、そのかたわら『便利グッズ』や『現代必須アイテム』などの品々を魔法で創りあげ、それがしだいに小国ながら国全体に広まりいまに至るわけで。
「そもそも私が見たこともない変なものを創っても、ハーネスト邸の皆様は忌避しないで喜んでくれだだけだからよかったんですよ。特にミリィお嬢様が褒めてくれて、家族に広めて受け入れてくれて、姉妹みたいに接してくれましたからね。創りがいがあります。」
えっへん、と胸をはる。
そんなクロコをみると、ほんとになんでこんな(かわってはいるが)優秀な精霊が自分と契約したのかしらとミリィはいつも思う。
なので今日も聞いてみた。
「貴女が私のためと言って色々つくりだしてくれて、とてもありがたいし、嬉しいわ。
けど貴女なら、契約しなくても精霊として活躍できると思うし、私以外にも魔力の質が会って、受け入れてくれる子は沢山いると思うのだけど、いまだに契約相手が私でよかったのかしらとは、おもったりするわ。」
ビックリがおをされた。
「そんな!わたしがミリィお嬢様のために動くのはあたりまえですよー?!たとえ今日いらしたお姫様が相手でもですよ?
そりゃかの方は魔力も高いし、姫だし、王宮生活もみてみたいですが、わたしが望んでるのはお嬢様のそばでお嬢様のサポートをさせていただくことですからね?
それにたしかに精霊として無双生活できるでしょうけど、わたし自身は活躍しても意味ないですからー。」
いやですねーとパタパタてをふるクロコ。
フフンっと、きめぽーすとやらでいう。
「だって!」
びしっ!
「私の望むのは主役でなくサポーター!
来るべき日のために、ヒロインを輝かせ!導く!正義の魔法使い的なサブですからねっ!!」
びしぃ!
と、ぽーずをきめる。わたしのメイド(精霊)は…
ミリィ「…いみがわからないわ?」
クロコは転生者で、乙女ゲームのような世界、に、なるよてい。
素人に文句はもったいないのでいわないでください。