扉をひらくと……そこはパラダイスですか?
そこには意外な風景がひろがっていました。
「えー、……さて問題ですぅ。
本来なら入学してすぐに来たであろう教室に、お嬢様と、われわれ愉快な仲間達はそろって着いたわけですけどもーーう?」
コホン、とせきをして
ホウエイ先生に開けてもらった教室に「いっちばーん!」と我先に飛び込んだクロコは、私たちに人差し指をふりふり向け尋ねます。
「この沢山の可愛らしいモノ達は、みなさんの趣味ですか?
ワタクシ偏見はつねづねダメ絶対!とおもっていましたがー…ですが言わせていただくと
じつは乙女男子て生き物でいらっしゃいましたー?みなさま?」
それとも女子を迎えるための歓迎の品ですか?ならナイスですが!
とクロコは『それ』のひとつを手に取り私に向けてきます。
「……………………かわいい、です。ね。」
『それ』は、教室の一部を埋め尽くす、大小さまざまな、ふわふわだったり、もふもふだったり、ツルツルだったりガッシリしてたりする縫いぐるみや人形たちでした。
みんな窓からさしこむ光にあたり、ぽかぽかとあたたかそうな
触ったらぜったいに魅惑のとりこになりそうな品々ばかりです。
つい見とれてしまっていると、クロコにおかしな認定されかかっているみなさんが
はんぶん呆れ顔で反論しました。
「私たちの用意したモノではないのですよー。散らかっていてすみませんねぇ?」
おやおや、と、ホウエイ先生がつぶやき。
「だれが乙女だ!いちいち失礼なメイドだな貴様は。……やはりきにくわない。」
とクロコをにらみながら話すアクロスさん。
あ、ションボリから復活されましたか?よかったです。
「おとめん、てのは何だ?
それよりこいつら片付けないとミリィ達が座れないな?」
避けとくか、とエンカさんが縫いぐるみ達を片付けはじめます。
……あぁ、目の前のもふもふ溜まりが、ちょっぴりもったいないですね。
私も片付けながら、さわらせてもらいます。
「お、いけるクチだねぇミリアムちゃん?
僕が造ったのが混じってるよ、これとか。
どう?どう?可愛らしいでしょう~♪この子は手触りが最高の作だよー?」
ルイゼさんが一等ふわふわそうな縫いぐるみを手渡してくれました。
……うわぁ、たしかに素晴らしい手触りです。ピンクのネコさんですか?
などと、ふわふわの魔力にやられながら
教室で挨拶より先に片付けをすることになりました。
「しかし何故に縫いぐるみの山ですか…?
ハッ?!まさかどこぞの誰かが、ワタシですら今まで気づかなかったお嬢様のフワもこ好き属性を見抜いていたというのですかー?!
なんたるナイス暴露!!」
クロコは何やらまた騒いでいますが、
解らないのはいつものことなので、先にお片付けをしていきましょう。
翼のはえたピンクのネコさん。
ふわふわですねー。
リボンとチョッキを身に付けた、ふわふわ真っ白おおかみさん。
これも素敵です。
ツルツルスベスベの、鎧を着たわかば色のドラゴンさん。
優しいお顔ですねー。
すこし気難しいおかおの、青いストンゴーレムさん。
宝石でできていますか?
人の子供くらいのおおきさの、ふわふわ金髪のリアルな天使さん…。
ふに。
ん?
おもいです?
ふにふに。
それにホントにほんもののような人肌とてざわりで…………?
ん?
んん??
「…おや。」
「…あれ?」
「…あ。」
「…うわっ。」
「ん?どうしました?お嬢様。」
お片付けをしていた皆さんの視線があつまります。
私の手もとの、幼い金髪の天使さんに。
ふわふわもこもこ。
私も縫いぐるみや人形。だいすきです。




