6:新台入れ替え初日
俺は開店準備を終える。本日は自分で設定を入れたので見る専なのだ。
「いらっしゃいませ!」
見事初日に1番で入場したのは何と酒好きさん。しかし新台のエウレカヘブンには目向きもせずに一番奥にあるユアジャグへと着席。入口から順にエウレカヘブンが2台続き、その奥側にユアジャグが3台と全5台でホール内は構成している。
「メーダ、早速打たせてもらいたいのだが魔メダルは……」
忘れていた、メダルの入手方法を俺は説明し、初回ということで500枚を酒好きさんにプレゼントする。
「ありがとう! これでやっと打てるひゃっほう」
意気揚々とスロット台に受け取った魔メダルを投入開始する。と、そのタイミングで2番の入場者が現れる。
「おっし、空いてたー!」
2番手は青年である。相変わらずオカルトにはまっているようで入口側の新台を選ぶ。そして三番手に魔王様。
「くぅ、空いてた。よかった、でメーダよこのピカピカ光りを放つ台は何だ!」
うん、俺も教えてほしいと青年が伝えてきたので、俺は解析転写を二人に与える。
「えいえいっ」
途端、二人にはエウレカヘブンの解析情報、楽しみ方やオカルトを理解する。そして叫ぶ。
「何と、液晶にプッシュボタン……波に乗レ!」
「このエウレカヘブンって良い話だなぁ、この液晶という画面でストーリー全部みえないかなぁ」
そんな二人が解析転写の余韻に浸っていた時に、奥からカコンッと大きな音が響く。
「キマシタワー!」
ガッツポーズをとる酒好きさん、相当嬉しかったのかCOCOランプを見てニヤニヤしている。その様子をみた二人は、それぞれうんうん、と共感したのか頷いて見せる。
「さて、俺はカスタムをしてと……パスワード? うむ、俺の魔力パターンで良いのか、初期に選べるのはこれだけか……」
「俺もカスタムしようっと。早く姉モネさん使いたいなぁ。姉モネ可愛い、くそう、早く俺の魔力パターンの認証終わるんだ!」
魔王と青年はエウレカヘブンのカスタム機能、マリョスロに登録して二人レバオンを開始する。
「おや、あんなスロット台もあるんだね」
「ええ、今日が新台入れ替え日初日でして。よければ解析転写しましょうか?」
「いやまて、まずはユアジャグを極めてからでよい」
「そうですか、では手始めにPVだけモニターで流しときますね」
そう伝えると、俺はホールの休憩所にある大型モニターにエウレカヘブンのPVを流し始める。これで大分現実のホールっぽくなってきたと思う俺であった。
「速攻ARTキター!」
青年が喜び、魔王様はというと。
「ぐぬぬ、潜伏しているに違いない」
レア役を高確状態で引いたがスグにARTが発動せず、潜伏していると信じてレバオンを続けるのであった。