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俺、異世界で旅スロします  作者: PP
第一章
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28:魔メダルを貸して下さい

 新たなスロット仲間が増えたまでは良いが、ハイパービンゴオロで爆死してゆく友たち。そしてついに、ドラゴンライダーさんが悲鳴を上げたのが始まりだった。


「すまないメーダ、ちょっと私の国まで来てくれないか」


 見ると、下皿も会員カードの貯メダルも全て空っぽになっていた。鱗もそう何度も剥がせる物では無く、魔メダルの買い足しが出来なくなったとの事だった。そこで、自分の国に招待して何か魔メダルになるものを見繕いたいとの申し出だった。


「ふふ、勿論私もついていってよいだろう?」


 珍しく酒好きさんが積極的に絡んでくる。目的は明白、酒の材料として貴重なドラゴン素材を探しに行きたいのだろう。別に断る理由も無く、俺は同行を認めた。


「わかりました、それじゃ俺と……えっと、うん、酒好きさんとでドラゴンライダーさんの国へ行かせてもらおうと思います」

「……なぁメーダ? 私の事をなんだと思っているのかな?」

「酒好きさんです!」


 キッパリと言い切る俺。だって名前知らないし。


「はぁ、相変わらずスロット以外には無頓着な奴だねぇアンタは。私には……まぁ呼びやすい方法でどうぞ」


 手であしらわれたが、名前知らないし教えてくれてないよね? あれ、聞いたことあったけか……まっ、いっか!


「それで、何処にあるんですかドラゴンライダーさんの国って」

「ん? 北の山々を越えた更にその奥にある沼地地帯を越えマグマの……」

「あー、取り敢えず北っすね! 北、OK、わかった!」

「今晩迎えに来る私のドラゴンに騎乗して向かう事になるが、それでいいか?」


 俺は悩む。出来れば日中に事を済ませて明日も朝一からホールに居たいのである、しょうがいないよね? 朝一大好きだし。


「それならこのボードに乗っていきましょう。そこそこ速度出ますし」


 そういうと、三枚のボードを用意してみせる俺。酒好きさんはボードに腰掛けると、フワリとその場で浮かんで見せた。


「ほら、何ぼさっとしてるんだい? 早く行こうじゃないか桃源郷!」

「わっ、なんだその板は……」

「えいっ!」


 説明を省略するため、エウレカヘブンの解析転写を行う。途端、これまで興味を持っていなかった他の台、エウレカヘブンへと熱い眼差しを向けるドラゴンライダーさん。


「な、なぁ、あの台だが少しだけ味見を……」

「魔メダルないんですよね?」

「あぅ、その、ちょっとだけ」

「ないんですよね?」

「うぅ……魔メダルを貸してください!」

「ダメだって! スロットは適度に遊ぶものなんだよ!」


 と、テンプレ説明文を口にする俺だが、勿論適度に遊ぶなんて無理な世界なのになんだろう、このその場凌ぎのテンプレ力は。ドラゴンライダーさんも、解析を知った今打ちたい気持ちを胸にしまい、しぶしぶボードに乗り移動を開始した。





「うわぁ、女性ばかりですね……」


 俺の感想はコレだった。鱗で体を覆ったドラゴンライダーの群れが鳥の巣のような藁や草で大地を覆った土地の上で自由気ままにゴロゴロしていたのだった。


「当たり前でしょう? ここは女性しか居ないから、男性はもっと北に巣を作ってるの。それよりも、私の巣へ早く来て」


 連れられるがままに歩くと、土と若草で編まれた巨大な鳥の巣がそこにはあった。


「ここが私の巣よ。私のドラゴンは今散歩中だから、自分の家だと思って好きな場所に座ってて」


 そう言われても、天井が無い草の上ってのも変な気持ちだが酒好きさんは中央まで向かうと胡坐をかいてくつろぎ始める。


「ところで、ドラゴンとドラゴンライダーって何?」


 ふと、そんな疑問を持つ俺。すると、ぶははっと汚い笑い方をする酒好きさん。いつのまにか酒を呑み始めていた。


「本当、お前さんの頭にはスロットしか知識がないんだね? いいかい? ドラゴンは数が非常に多くて、個々が準魔王級の魔力を持っている存在なんだよ。更に、一つの方向性に尖った魔力を保持していてね? 火に特化している物はレッドドラゴン、針状の岩を吐き出すタイプはグレートドラゴンといったようにだね? おい、聞いているか?」

「えっ? う、うん」


 あれだろ? ドラゴンの種類によって特化ゾーンの種類が違うんだろ!


「そういう存在がドラゴンだね? そしてドラゴンと人のハーフがドラゴンライダーって訳だね。ドラゴンよりも魔力の保持量が多いけど、尖った力が無い分強さは魔王級に匹敵するのよ。それも数が多いときたから、おいそれとドラゴンの巣には近づけないのよねー。ふふ、この若草いいわー」


 勝手に巣をむしりとると、口に含みながら酒を呑む酒好きさん。何か男前っす。


「お待たせ、私のとっておきよ!」


 持ってきた石ころを見ると、どうやら全て宝石の類の様だった。


「んー、宝石を魔メダルに変換は勿体ない気がするなぁ」


 どうしても元居た世界での価値観が優ってしまい、宝石を魔メダルにするのに躊躇してしまう俺である。


「だ、ダメなのか……ならばコレならどうだ!」


 今度は価値の無さそうな石ころを提示してくるが、そこで酒好きさんがピクリと反応する。


「ちょっと貴女、私に提案があるの」


 酒好きさんは酒を呑むのを中断して、石ころをマジマジと見詰める。


「これはアレだよね? 永久氷アイスロックよね?」

「そうよ。溶けない氷、でもこの三粒しかないけどね。それで提案って何かしら」

「私がスポンサーをするから、その永久氷を貰えないかしら?」

「スポンサー?」

「そう、私が魔メダルを買い足せるように軍資金を貸してあげるわ。これでも金と酒は腐る程保有してるからね。どう? 悪い話じゃないでしょう」

「……良いわ、私は貴女と契約を結ぶわ」


 俺、ここに来る必要無かったんじゃない? と思いながらも酒好きさんとドラゴンライダーが何やら熱い握手を交わしているので、そっと若草を千切って口に含んでみせるのだった。


 ちなみに、めっちゃ草の味しかしませんでした。




「魔メダルを貸してください!」

「もう、今日こそは勝ちなさいよ? ハイパービンゴオロの勝率低いでしょう?」

「ま、まだ10戦0勝なだけよ! それにエウレカヘブンでは勝率8割をですね!」

「そうね、まだオロで勝ったことなかったのよね……で、その台にまだ突っ込むの?」

「ええ、もうすぐ私にもファファが訪れる、そう台が囁いているの」


 魔メダルを借りながら、今日もドラゴンライダーさんは酒好きさんの財力に養われてスロットを打ち続けており、それを取材するネクロマンサーさんも面白おかし気に記事に書き下ろしていくのだった。


 そう、これがスロカスの誕生秘話であった。

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