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俺、異世界で旅スロします  作者: PP
第一章
1/34

1:俺、行ってくるよ!

 異世界転生してやっと、俺は独立を果たす。貴族の家に生まれ落ちた俺は何不自由なく生きていたが、同時に自由の無い時間を永遠と過ごしていたのだ。


 しかし、そんな時間も今日で終わりなのだ。


「行ってらっしゃいメーダ」

「はい。父様、母様、行って参ります」


 俺は長年住み慣れた家を出て、馬車に乗る。向かう先は王都にある魔法ギルドである。


 よし、これで俺は自由だ。この能力があればスロットを打ち放題なのだ!


 馬車の乗継で降りた町で、俺は早速力を使う対象を探す。お、あれは良いなと目星をつけ、異世界転生した俺はこっそりと練習を続けてきた大魔法を使用する。


「ホール!」


 俺の短い詠唱と共に、周囲は俺の魔力で覆われる。そして、俺は弱そうなゼリー状の魔物に魔法を詠唱する。


「ビタ押ッ! 続いてサンド!」


 ついつい詠唱に気合いが入ってしまう。詠唱と共に、俺の親指が何もない空間へと押し込まれる。途端、魔物は絶命し動きを止める。続けて唱えたサンドの魔法がゼリー状の魔物を対象とし発動する。シュッと音を立てたかと思うと、その魔物はメダルに変化しカラカラカラッとメダル同士が擦れる音を立て地面へと落下していく。


 成功だ、俺はついに魔物相手にサンドを詠唱できたのである。


 説明しよう、ビタ押ッとは俺の目押し力により魔力を停止させる魔法なのである。今回は、魔物の魔力の流れをしっかり見切り、ビタ押しに成功したのである。結果、魔力の巡回が出来なくなった魔物は絶命したのだ。補足だが、魔力は生命力に直結しているのである。


 続いてサンドの魔法である。これは無機物を魔メダルに変換する魔法なのだ。この世界では、倒した魔物相手にドロップ変換・マネー変換の二種類の魔法をかけれるのだが、加えて魔メダル変換ができる俺はオリジナル魔法、サンドを創り上げたのだ。通常、ドロップ変換をすると、その魔物の素材が。マネー変換をするとこの異世界で流通している紙幣等のお金にその魔物は変換される。


 そしてこのサンドというオリジナル魔法、この魔法は無機質相手にしか使えない上に欠点が一つだけあった。それは魔物以外の無機質物へと使用すると変換率がさがるのである。しかし、今みたいに魔物相手に使用すると複数枚の魔メダルが変換されるのである。非常にありがたい。


 これだけ魔メダルがあれば百ゲームは回せるな……今夜は久々に楽しめそうだ。


 メーダスロッテンというふざけた名前がつけられた俺は元スロット愛好家である。異世界転生した今、この異世界で新たなスロット愛好家を増やすべく、王都の魔法ギルドへ入学するという噓をつき、旅に出たところである。


「今夜泊まるメーダです、あっはい、そうですか。ありがとうございます」


 俺は王都に行くために乗継が必要だった町で宿を取り、ベッドへダイブする。


「おおし、今夜は無礼講だ……」


 一人しかいないのにハイテンションになってしまう。俺はホールの魔法を詠唱し、目の前に三台程スロット台を作りだす。


 左から、ユーアージャグラー。通称ユアジャグ。真ん中には魚伝説、通称糞台。そして右側にはエウレカヘブンの三台である。今は魔力の関係上この三機種しか作りだせないのである。


「さって、魔メダルは百枚しかないし今日はユアジャグ二本勝負やな」


 俺は鉄で構成されたようなカチカチの椅子に座ると、魔メダルを投入する。このスロット台の電源は全て打ち手の魔力で賄われ、リールの回転速度も魔力量に比例してしまうのである。更に使用制限として、魔メダルしかメダル認識してくれない厄介な制限があったりするのだ。


「うへ、相変わらず速いな……」


 異常に速い速度で回転を始めるスロット台、これは打ち手である自分の魔力量が膨大な為にどうしても高速回転をしてしまうのである。しかし、この世界の人は基本スペックが高いおかげか、高速回転するリールを何とか目で追う事が出来るのである。嬉々として七十ゲーム程ユアジャグを回すも、この日は一度もCOCOランプが光る事は無かった。


 こうして俺は旅スロデビューを果たすのだった。

3/29:サンド魔法の効果を魔物以外は1枚→変換率低下に変更しました

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