0:【対話記録1】終わりの夜に
前に作った自作曲を小説にしてみました。
主人公が男装少女で、メインヒロインも女の子。
気持ち的にちょっと友情越えた愛情になりそうなのでGLにチェック入れておきました。こちらは直接会えないので、精神的な愛になります。直接描写ないならタグつけんな!と言う方はこちらでお帰り下さい。ここに貴方の望む物はありません。
でも付けないとそちらに耐性読者さんに嫌がらせになりそうなので警告付けました。
でも描写の方は史実の鬱エピソード拾うと……(以下察して下さい)
その点ご注意です。
薄暗い塔の中。今が昼か夜かも解らない。輝かしいばかりの光を纏っていたその娘も、今は幽閉の身の上。次にここから出る時が……本当の終わりの時になる。その前に、私は彼女に会いたかった。最後に祈りの時を、懺悔の時をと監視を説き伏せ、私はここに赴いた。賄賂も渡してある。今夜一晩話をするくらいの時間はあるだろう。
(これは、賭けなんだ……)
長い螺旋階段を上り、僕は上へ上へと歩みを進める。最上階の独房の中には、男の格好をした娘が一人佇んでいた。
「……誰? 私の監視が女性に変わったの? 」
「いいえ、残念ながら。私は……教会の者です。貴女と話がしたくてここに来ました」
「そう……」
彼女の答えは素っ気ない。何も話す気が無いようだ。
(心を閉ざしてしまっているのか……)
それもそうだろう。本来は女修道女による監視のはずが、彼女の監視役は男ばかり。この境遇でどんな辛い目に遭ってきたのだろうか。これがかつての英雄の末路かと思うと、僕の胸も悲しみからか軋んで呻く。
「スール、貴女の名前は? 」
「わ、私は………ま、マリアと」
「マリア……? 」
僕の名乗りに彼女が初めて、此方をまともに見たようだ。じっと僕の姿を見つめ、彼女は苦笑の息を漏らした。
「ふふっ……マリアね。いいよ、気が変わった。貴女になら話しても良い」
「は、話してくれるんですか? 」
「貴女の顔を見たらさ、信じて貰えそうな気がしたんだ」
僕を誰かと重ねるように、彼女は初めて笑顔を見せた。この笑顔がこれから失われるのだと思うと、今すぐこの牢をぶち破りたい。それでもそれは出来ない。出来ないのだ。
「散々馬鹿にされてね。私の話は全部でたらめだとか、妄想だとかさ。私が本当におかしい奴なら、きっと貴女も幻覚だ」
「仮に私が幻覚だとしても、それで貴女が楽になれるのでしたら何なりと」
「ありがとう。そうだな……それは私も心残りだったんです」
これが最期になるかも知れない。私の言葉を、人は幻想だとか妄想だと口にして嗤うかも知れない。それでも誰かに聞いて欲しかった。話しておきたかったのだと少女は語る。
「本当は、何が見えたんですか? 」
「窓が、見えたんです」
僕の言葉に、短い髪の少女が小さく言葉を返す。それは僕の想像とは全く別のもの。
「窓……? 」
裁判とは違う彼女の言葉に、僕は驚いた。彼女は天の声を聞いたと言い、天使を見たと言ったのに。これは一体どういうことだ。
「窓とは、どういう意味ですか? 」
「そのままの意味です。そこには塔があって、塔の上にひとつだけ……小さな窓があったんです」
話し始めた彼女は、先程までとは口調が変わる。誰かに敬意を示すよう、親しみよりも凛とした空気を感じさせる声で話した。まるで彼女の言葉自体が、何かのお告げのようだ。そんな風に僕が感じてしまうくらいに。
「その窓の中には、一人の女の子がいました。とても美しい人でした……あんまりにも綺麗なので、天の御使いかと思ったくらい」
「……続けて下さい」
私は彼女の言葉を記録する。震える手を必死に動かし、記録する。俯いて、それでも涙を零さないよう必死に耐えながら。
「僕は終ぞ、彼女と話をしたことがない。それでも彼女の名前は分かるんだ」
大切な人を思い浮かべるよう、優しい声で彼女が話す。その言葉遣いが男性的な物になっているのは、どういう理由からなのだろう?
「あの子の名前はマリアンヌ。窓枠十字の……マリアンヌ。僕がこうして故郷を離れる切っ掛けとなった女の子」
「マリ、アンヌ……」
「僕はあの子を、塔に囚われたあの子を助けたくて……ここまで来たんだ」
けれど今は自分が囚われの身。助けたかった人の安否も知れない。もう救えないのかも知れない。後悔と懺悔を吐き出すために、戦場のマリアンヌと呼ばれた少女は自らを物語る。
働く女の子×異世界で女の子が主人公の小説……の募集があったので悪女以外が主人公の小説書けないかなと思ってこの作品を書きました。
うん、でもこれ……女性読者向け、じゃねぇよwwww
書きながらアリアンローズに投稿するかどうか、悩みながらすすめます。