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イライザ  作者: 瑠璃華
幼少期編
4/7

────一人で歩いたり走ったりできるようにもなり、母乳から離乳食になった、一週間と二日目。


ただ今わたし、イライザことイリーは、あぐあぐと色々なものをかじっています。


「あー、そんな時期かぁ……ヴァンパイアは、体と知能の発達は早いけど、これだけ何故か遅いからね」


呟いているのは、指をかじられている、一番上のお兄様であるニコラスお兄様です。

銀色のさらさらの長い髪に、真紅の瞳の、絵にかいたようなヴァンパイア!的な美男子ですよ。シルクハットにマントが似合いそうです…………。


「にぃひはま、むずむずふぅの。くちのなか」


白いソファーに座って、優雅に読書していらしたのですが、邪魔してしまいました。

最近、肉体に精神が引きずられている気がします。

というか、駄目だとわかってはいるんですが、手頃に噛むものがないのも原因かもしれません。


本は分厚い上に、ふにゃふにゃになりますし、お人形はまさかの陶器です。タオルは糸がほつれて、危うく喉につまらせかけました。

しかも、身長があまり高くない幼児の手が届く場所に置いてあるものは、少ないのです。


と こ ろ が !


口のなかのむずむずのせいで、イライラしていたところ、いい感じにニコラスお兄様の手が!指がっ!!

ということで、よく爪や肌の手入れされた指にガッツリかぶりついたのです。


「ぅーん、ちょっぴり我慢してお口開けて?」

「ふぁい」

「はい、あーん」


───あーん。


歯医者さんみたいです、ニコラスお兄様。お兄様なら、白衣も似合いますよきっと!!

そう思いながら、口を大きく開けます。

成長、早いですから。

成体になる前に存分に、甘えさせてもらいます。


「やっぱり。イリー、歯が生えてきてるよ。牙も。成長が歯と牙だけ遅いぶん、一気に生えてきてるから、むずむずするんだよ。まぁ、一晩もすればなおるよ。一度成長しだしたら早いからね」


わぉ、歯ですか。

では、固形物食べられますかね?

離乳食はさすがに…………ねぇ。わたし、これでも精神は大人ですから。


「食事も、明日からは僕らと同じものが食べれ

るよ、僕の可愛いイリー」


やっぱり!

ヴァンパイアと言えば、血ですか!?血なのですか!?

物凄く気になります…………。

再度、あぐあぐとニコラスお兄様の指にかぶりつきながら、キラキラとした視線を送ります。


「食事が気になるの、イリー?」

「ふぁい!!」


それに気付いたニコラスお兄様は、蕩けるようなお顔でにっこり笑って、教えてくれました。

むむ、破壊力満点ですよ………お兄様。


「主食は基本的に血だよ。僕らは普通の食事も毎日とるけどね。でも、血は家族のしか飲んではいけないよ?牙には催淫効果があるからね。特に若くて………それも未婚の、男のは絶対ダメ。イリーは、可愛いからね。たべられてしまうよ」


予想外です………。

わぉ。ヴァンパイアって、誰彼構わず噛んじゃいけないんですね。はじめて知りました……。

家族のだけですか、はい。覚えておきます!


「わかったかい?」

「ふぁい!!」


あぐあぐとしながら、お返事!

食べるだの、さいいんだのはよくわかりませんが、他はわかりました!

というか、魔族って共喰いありなんですか?ありなんですね、魔族ですから………。

え、偏見ですかね?


「いい子だね、僕のイリー」


疑問などはなきにもあらずだったのですが、お兄様の笑顔の前にすべてが吹っ飛びました。

罪なニコラスお兄様…………。


まぁ、それよりも─────

──────早く明日にならないかなー?

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