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緑海嘯  作者: 大石次郎
36/48

36話 皆の未来を承認したい

魔力を乗せまくった槍の衝撃波を放ってくる自称最強野郎!


障壁で護られた薔薇園以外はブッ飛ばされ、オレ達は散開して囲みに掛かったっ。

食い過ぎて身体丸くなってるモパ公も仕上がってるぜ!


最強野郎は竜の尾みたいに変容した蔓を多数、オレ達に放ってきたが、魔力を高めたティアビルケン号の援護射撃に蔓の操作を攻撃からガードに切り替えた。


船の砲撃に巻き込まれるから一時距離を詰められなくなるが、すぐ再生しそうな竜化の蔓は一先ず焼き払われた! 速攻オレ達は詰めるっ。


(ヌヨが最初に狙われるはずじゃ、好機! その攻撃に合わせるのじゃっ)


(出た、サイコパス!)


実際、意味不明なくらいの猛攻でオレ達の一斉攻撃を捌きつつ、近接戦も高速戦闘も苦手で出遅れてるヌヨの位置を見定める気配があった。


「・・場違い」


見もせずに呟き、竜蔓が炎を上げて炸裂する攻撃で囲いを弾いてからの超高速の槍の突きで、ボンボシュの本能的なガードの鎖鎌の鎖に火花を散らす穂先に呆気に取られてるヌヨの胸部を狙う最強野郎!


オレも弾かれたがそのつもりでいた! それに気合いで無理くり合わせるっ。


「んぎっ!」


飛行術で速く飛び過ぎて鼻血出ちまったが、滅びの火のナガマキで野郎の燃える穂先の腹を打ち据えてやるっ。爆ぜる火花。軌道はズレ、穂先に傷を入れた!


(レッツウィン!)


「はいっ!」


追い打ちしたオレが即圧倒される中、ヌヨは長さを変化させた鎖で一瞬の内に、不完全だが最強野郎を拘束した!


「しゃっ」


オレ、追い付いてきた他の3人も一斉攻撃を再開する。相手は鎖が邪魔で鈍ってる。


(ココロよ、この段は長く持たんが船が控えておる。槍を狙うのじゃっ、どのコミュニティに属さぬはぐれ者に、ガツンとわからせてやるのじゃ!)


(卑怯くせぇ)


「でも乗ったぁっ!」


他の連中が注意を引いてくれてる内に穂先に傷の入ってる槍をオレは徹底的に狙った! どんどん損耗する穂先っっ。


「小賢しいヤツっ」


野郎は蔓じゃなく身体から火炎を炸裂させてボンボシュの鎖を引き千切ると、尻尾その物を生やしてオレを打ち払いながら振り返り様にジンフーの爪の風を槍で切断して迫ったっ。


ゴゴシュの爪ごと仰け反ったジンフーの間にデデヨジカが入ったが、メルメシュの斧を石突きで殴ってヒビを入れて魔力を減退させつつ押した勢いでジンフーの動きも一手押さえ、援護しようとしたモパ公を竜蔓数本でメッタ打ちにすると同時にデデヨジカの側頭部を蹴り付けて吹っ飛ばして昏倒させる!


「デデっ、う?!」


「にゃろうっっ」


「ぬぅっ」


(コイツぅ~)


気を取られたモパ公は即、尻尾で吹っ飛ばされたが、オレ、ジンフーで詰めるっ。

相手はノーダメじゃない。槍の穂先はボロボロになってる!


ヌヨは鎖を千切られたボンボシュが弱って魔力が低下して、どうしていいかわからなくなっていた。


(聴こえる? ヌヨにデデヨジカを回収させる! ヌヨわかった? 砲撃するからっ。タイミング合わせて)


ヴァルシップの思念だ。


(((了解!!)))


距離は取ってるが絶妙な角度にテレポートして位置修正したティアビルケン号の砲撃に合わせてオレとジンフーは引いた。


野郎が蔓の防御形態で受けてる内にヌヨは地上で伸びてるてデデヨジカを回収に向かった。


吹っ飛ばされて瓦礫にめり込んでたモパ公も戻ってくる。あんだけ丸くなってたのにダメージで元の体型に戻ってた。つーか、便利な体質だな!


「デデをやったなぁ?!」


ブチ切れてるモパ公。


(あれは攻撃が甘くなる。この流れでジンフーの性格からするとカバーに入るじゃろう、ヤツはその隙を見逃さない。そこを狙うのじゃ!)


(ラシュシュそればっかだなっ!)


(勝てばよいのじゃっっ!!!)


居直りやがった~、だがまた乗った!


ヌヨはデデヨジカを連れ完全撤退する中、攻防が続き、やっぱモパ公前出過ぎっ。狙われて、ジンフーが守りに入り、そこを最強野郎が狙い、さらにそれを狙ったが、


「?!」


ヤツは嗤って振り返り、モパ公とジンフーは竜蔓と尻尾でいなし、オレに襲い掛かってきた!


一対一になり地力の差で一気に詰められるっっ。が、


(むんっ、じゃ!!)


いきなりナガマキから霊体を出して身体を丸め、回転体当たりを面食らった野郎の顔面に食らわし吹っ飛ばすラシュシュ!

即、追い付いたジンフーとモパ公が連打を入れに入り、始めてヤツ本体にダメージが入る。ラシュシュはナガマキに戻り、オレも急いで参戦した。


「オイっ、何だいきなり? 聞いてないぞっ??」


(お主が調子に乗ってバレバレの攻撃をする間抜けさが良い餌になったのじゃ。それより槍槍! いい流れじゃっ、高度に操れる蔓の本数が減ったのじゃ!)


コイツぅ、アホの子扱いしやがって~っ。


「とにかく勝ぁつ!」


だが実際、守りは甘くなったっ。槍を狙う。まだウラドーラのオッサンは参戦してねぇ。イケる!! が、


「ごっふっ?!」


モパ公のフォローで負担が大きかったジンフーが消耗を疲れて石突きで腹を打たれて昏倒して砂漠の方まで吹っ飛ばされたっ。


「ジンフー!」


「仇を討つんだぞっ」


(指摘。生きてる)


オレと荒ぶるモパ公の2人になりまた不利になったところで、


(ラシュシュのやり方に乗ろう・・)


「せぇやっ!」


ゾンダルシュに間近にテレポートしてもらったウラドーラが蹴りを野郎の槍の穂先に打ち込み、さらに傷を拡大させる。


「モパ子! ココロと組めっ。ゴマメになってるぜ?!」


「うう、わかったぞっ」


モパ公もオレに合わせるようになった。よしっ、これで隙無し!


オレ達は時折船の援護射撃を受けながら押しに押しまくり、ヤツの槍を損耗させ続けた。


「・・ゼルシュ、狙われているな? 配慮してやろうか?」


(無用)


初めてこっちに聴こえる形で思念を出したゼルシュとかいう相手の虫は槍とすぐ真下の龍脈を呼応させ、その力を吸収しだした!


(なんと?!)


「オイオイ~」


「特殊個体だなっ」


槍の実体の損耗を龍脈の魔力で補いやがったっ。


(落ち着いて、本体が損耗している事実に変わりないから。場所は移せそうにないからウラドーラは槍、2人は尾と蔓の対処。弱らせてくれたら私で墜とせるよ!)


ヴァルシップの思念。いいぜ、役回りを果たしてやんぜっ!


「行くぞモパ公!」


「よしだぞっ」


龍脈の魔力はヤツ本体にもチャージされてるっ。さっきより断然重くなった蔓と尻尾に手こずりながらもウラドーラを支援する!


ギリギリだがっ、これまでのダメージの蓄積がやっぱ効いてる。着実に追い詰め、槍を損耗させ、尻尾の耐久性も落ちてきてる感じだ! つーか、普通に尻尾生やすなよなっ。


「うううううっっっっ、船が、邪魔だな」


(死に損ないに過ぎない)


ゼルシュの思念の後にいきなり野郎は竜の翼を生やして、軌道を変え、超高速でオレ達を抜け、船の射線からも外れ、大口を開けて魔力を高めた。


竜の息かっ?


(いかん!)


滅びの光を船に放つ野郎! ティアビルケン号、いやゾンダルシュは障壁を張ったが貫かれて大きく損傷させられたっ。高度が落ちる。


(・・まだ!)


ブリッジからっ、取り外せる構造だった魔力主砲と一緒に野郎の下方にテレポートしたヴァルシップは直接自分の魔力を込めて砲撃しっ、最強野郎を遥か上空にブッ飛ばした!!


「頭っ!」


「ヴァルシップ!」


「船も墜ちるぞっ?!」


ティアビルケン号は神殿跡への落下が止まらず、ヴァルシップも気を失って主砲と一緒に神殿跡に落ちだす。


(皆の未来を承認したい。ここまでだ、イ・レア殿)


ヴァルシップはウラドーラの目の前にテレポートされ、ティアビルケン号は砂漠の遥か向こうにテレポートして墜落し、大爆発した。

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