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優しい世界が見たいんだ  作者: 川崎殻覇
夏の日の思い出
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夏といえば

新章開幕です。


いつも読んでいただいてありがとうございます。今回は他にもちょっとした謝辞を少し書かせていただきます。著作だけを見たい方は読み飛ばしてもらっても構いません。全然オーケーです。




皆様のおかげで総合評価ポイントが2000を超えることが出来ました。真にありがとうございます。

本当は1000ポイントを超えた際にも感謝を伝えようと思ったのですが、気付いたらここまで多く評価していただいていました。後単純に書くタイミングが掴めなかったということもあります。


皆様のこういった応援…と言っていいかは分かりませんが、その評価はとても励みになりますし、作者自身も物凄く嬉しく思います。マジサンキューです。


他にも誤字脱字報告や感想なども嬉しく思います。その誤字脱字報告で少し謝りたいことがありまして…。

作者は文章を書く時、少しだけ捻った表現をすることがありまして…意図的に間違った、少し変わった言葉の使い方をする時があります。

そのことを報告してもらうのですが、作者の都合でその表現修正するのはちょっと出来なくて…そのままにさせていただく場合がございます。


しかしながら作者はへっぽこですので普通のミスも多くしてしまいます。ですので修正されなかった部分はそういう表現なんだなぁと軽く受け取ってもらえると嬉しく思います。もしそのことを気にしていましたら申し訳なく思います。

誤字脱字報告自体は本当にありがたいと思っていますので、これからもドシドシとお願いしたく思います。…自分でもなるべく修正はしますけど。


ここら辺で謝辞を締めさせていただきます。これからも著作を読んでいただければ嬉しく思います。

夏…と言えば何を真っ先に思い浮かべるだろうか…?


暑い砂浜、一面に輝く蒼い海、青い空…後は盆祭りとか花火大会とかそこら辺を思い浮かべる人が多いのではないかと思う。


夏とは多くの人にとって楽しい季節だ。開放感溢れる季節だ…けど、それは良いところだけを切り取ったに過ぎない。


俺にとっての夏とは…暑くて苦しく、湿気で気持ち悪い程咽せ返り…そして、嵐がやってくる季節だ。




「んじゃーお疲れさん、夏休みだからってハメを外すなよ? 絶対に補導されることはしないよーに」


「ははは! そんなことするわけないジャーン!!」


クラスの中は呆れ返る程に浮き足立っている。

それもその筈、今日は前期終業式…学生たちにとっては当分学校に来なくてよくなる日だからだ。


俺も昔はこんなふうに浮き足立っていたナーと思いつつ、取り敢えず帰りの支度をする。

当分学校には来ないので荷物やらなんやらを回収しなくてはならない…面倒だからずっと置き勉したいのだが、夏休み中は学校の備品を変えたりするかもしれないからな…さもありなんって感じだ。


「名取名取」


「クラスの集まりには参加せんぞ…」


「まだ何も言ってないじゃん…言おうとしたのはそれだけど」


今の顔はゴールデンウィーク前にも見たことがあるからな、簡単に先の言葉が想像出来るってもんだ。


「別に無理に誘いはしないけど、行ってみれば楽しいと思うよ?」


「その行くまでが怠いんだよ…」


性格が終わっているのか、それとも性根が終わっているのか…俺はこういう誘われ事が結構苦手な人間だ。

いざ誘われても当日の直前まで怠いという感情が自分の全てを支配し、これもう行かなくてよくね? ドタキャンしてもええかなぁ…という消極的かつカスみたいな思考に至る。


まぁ結局約束を反故にしてはいけないと行きはして、まぁ楽しみはするんだが…大人数で集まるとなると話は別だ。

団体行動ということなので周りの動きに合わせなければならない。自分の行きたいところ、寄りたいところがあっても周りがそれに賛成しなければ行けない。


とまぁ、最終的に周りに合わせに合わせ、帰る頃には楽しい感情などなく、ただただ疲れたという感情と時間を無駄にしたなという感想と次は一人で行こうという決意が生まれるのである。


なので、そういうマイナス思考になりたくないので誘われ事は自分から行きたいと思わない限り最初から断る様にしている。その方が双方にとってもいいことだろう。


「そっかー…じゃあしょうがないか」


「そそ、んじゃま、そういうことで楽しんで来いよな」


先から立ち上がる。…もうホームルームは終わったので帰っても構わないだろう。


「はーい。…名取も夏休み、楽しんでね」


「何目線だよ」



そんな雑談をして、俺達は別れる。

さて、このままの勢いで家に帰ろうと思ったが…またもやエンカウント。


「あ、名取さん」


「おー? 高嶺か、珍しいなこんな場所で」


最近何かと顔を合わせることが多い高嶺と廊下でばったり出会った。

場所としては俺の教室近くの廊下なのでこいつが通り掛かることはほぼ無いだろうという場所だ。


「はい、少し名取さんに用事がありまして…これを」


そう言って高嶺は紙袋を手渡してくる。

それを受け取りつつ、中身を確認してみると…。


「おぉ、俺のお気にのTシャツ…!」


「家に戻る際の荷物に紛れ込んでしまっていたみたいで…今日まで返すのが遅れしまって申し訳ありません…」


そういやその時期から見かけないなとは思っていたが…まさか高嶺の荷物に紛れ込んでいたとはな。


「探してたんだよ。ありがと…ん?」


Tシャツを手に取って確認してみたがどうにも違和感が…なんか嗅ぎ慣れない匂いをしている。まるで俺のTシャツじゃないみたいだ。


「えっと、…一度洗濯させてもらっています。…その、間違えて一回着てしまったので…すみません…」


あー…だからやけに甘い匂いがしているわけだ。…は?


(お前が一回着たんかい…)


目の前のお気に入りのTシャツが急に特級呪物へと変わり果てた…大丈夫? これ来て俺平気なの? 周りの聖女ちゃん親衛隊にボコされない?

まぁいいや、別に気にせず着るとしよう。俺は切り替えが早いタイプなんだ。


「名取さんは夏休みにご予定とかはあるんですか?」


「んー…」


そう言われて少し考え込んでみる。

………うん、特に何の予定はない…いや、まぁちょっとはあるか。


「特に無いが生じる可能性もある…と言ったところだな」


「あらそうですか…もし宜しければの話なのですが…」


「お前の家族がお礼を言いたいから家に招待したい…とかならノーサンキューだぞ」


なんとなくデジャブを感じたので先に制しておく、間違えたら自意識過剰と言われるかもしれないが別にそれでも構わん。


「……むぅ」


しかし反応から察して今のことを言おうとしていたみたいだな…危ない、先に制してよかった…。


「ちょっと前に似た様なことをしたからな、もう腹いっぱい…勘弁して欲しいっていうのが本音だ」


「…その人と私は別腹にして欲しいのですが…まぁ無理は言いません。感謝は既に伝えましたからね…まだ足りないですけど…」


えぇ…? あれでまだ足りないって…えぇ…??


あれで…というのは、こいつを家に帰した次の日、高嶺の親父さんがひょっこり俺の家に来て、今までの感謝の印とか言って高級焼肉セットを置いていったり、そのまた次の日に高嶺の母親がやってきて高級海鮮セットを置いていったり…と、その他多くの感謝の印(物理)を貰ったのだ。


おかげでそこら近辺の日は毎日が御馳走だった。…もうね、色んな意味でお腹いっぱいです。

美味いもんは一気に何個も食ってもありがたみが薄れるだけだからな…偶にでいいんだよ。


「…用件はそれだけか? なら俺はもう帰るぞ…」


まだ冷蔵庫の中にある高級肉の在庫をどうするべきか思い出してしまったのでそんなことを言ってみる。…愛菜でも家に呼ぶかな。


「あ、すみません…時間を奪ってしまって…」


高嶺は少しだけ勢いをつけて頭を下げる。…なんか俺が悪いことしてる気分だな。


「いいよ、…んじゃな、夏休み達者で過ごせよー」


「…はい、名取さんも」


最後の方に何か言いたそうに口を含んでいたが、ひとまずそれには気付かないふりをしてそのまま通り過ぎる。なんか言いたいことがあるんだったら電話とかメールするだろ、多分。



さて、本格的に帰宅しようと意識を改めようとしたが、最後に先輩に声を掛けてから帰ることにした。


保健室をノック、いつもの様に保健医の声が上がり俺を出迎える。


「名取くん…? わざわざ来てくれたの?」


「えぇまあ…友人として一応…ご迷惑でしたらすぐに帰りますが…」


「そんなことないよ! …夏休みに入る前に名取くんの顔が見れてうれしいな」


本当にこの人はいつもほわほわしているよなぁ…その場にいるだけで空気が清涼になる。

とまぁ、そんな半分冗談は置いておいて…何をしようか。


正直挨拶に来ただけなので先輩に用事はない、なのでこのままはいさよならと言ってもいいのだが…それはそこはかとなく憚られる。なんでだろ?


「あー…先輩は帰りはご家族が…?」


「うん…でもまだ平日の昼だから皆仕事で…帰るまでちょっと時間が掛かっちゃうかな…在宅ワークと言っても急に抜け出させちゃ悪いし…ね?」


あー…若干そうなのではないかと思っていた。

先輩のご両親ならそれでも仕事を抜け出して迎えに行く…と言いそうなものだが、きっと先輩の方がその提案を断ったのだろう。

人に迷惑を掛けることを嫌がる先輩らしい考え方だ。


「あ、でも待つのも嫌いじゃないんだよ? 先生がお話の相手をしてくれるし…」


…でも、不特定多数の人間が入ってくる保健室でいつまでも待機するのは心の負担になるだろう。それに保健医が出て行ったタイミングでバッタリ誰かが入室…という展開になるかもしれん。


「…先輩がよかったらなんですが…宜しければ俺が家まで送りましょうか?」


なのでそんなことを言ってみる。不思議だ。

先程まで家に帰りたい気持ちでいっぱいだったのに、先輩を前にするとこうも心変わりするものなのか…本当に不思議だ。

多分先輩が根源的なまでに庇護欲が駆り立てられる存在だからだろう…俺の自分では疎ましいと思っている世話焼きがついつい発動してしまうのもそのせいかもな。


「え、……いいの?」


「えぇ、じゃんじゃか頼って下さい」


前向きにそう言うと、先輩はぱぁーっと控えめに笑みを浮かべて…。


「そ、それじゃあ…家に送ってもらうついでに、一つお願い事をしてもいい…かな?」


あら珍しい。先輩が頼み事をするなんてな。

この人は中々人に頼らない。悪くもないのに自分が人に迷惑を掛けていると思っているのか、あまり自分の意思を表に出そうとしないのだ。


「勿論、なんでも言って下さい」


……あれ? 少し前に同じ様なことを言った覚えが…ん…?


「あと、その…それじゃあ…今から名取くんのお家にお邪魔してもいい…かな?」


「んー…?」

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― 新着の感想 ―
大丈夫かな。 彼の部屋で皆さん完落ちしてる事実がある。
まさかわざとTシャツを紛れ込ませて1回着てから返すことでマーキングを……?
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