お手伝い
今日は仕事休みだからたくさん投稿するぞ!
江頭先輩の連れてきた少女。
その顔に、少しばかり見覚えがあるのは気のせいだろうか。
……はて?
「皆、遅くなってごめん」
「いいえ、大丈夫です」
江頭先輩と優子さんが仲睦まじく話していた。そんな様子を見ながら、相変わらず僕は江頭先輩の隣にいる少女を観察していた。
ドンッ。
「いて」
藍に肘鉄された。面白くなさそうな顔を、彼女はしていた。
「何?」
「何見つめてんのよ」
「……ん?」
誰が、誰を?
僕は首を傾げた。藍は再び、僕に肘鉄を食らわした。
本当に、一体どうしたと言うのだろう。
「えぇと、皆、紹介するよ」
一通り仲睦まじい会話を終えた江頭先輩が言った。その言動から、恐らく隣の少女の名前を教えてくれるのだろう。
「こちら、あたしと同じクラスの森下若菜さん」
森下さん、か。
うぅむ。聞き覚えがあるような、無いような。まあ、同じ学校の生徒だったのだから、多少交流があっても不思議ではない、か。
「彼女は生徒会の会計をされている。もしかしたら、それで見覚えのある人はいるかも。たまに全校集会で前に出ているし」
ああ、と納得げなのは優子さんと宮本君。
なるほど。恐らく僕も、そこで見たのだろう。
「よろしく」
畏まって頭を下げる森下先輩に、僕達は頭を下げた。なんだか凛とした人である。
「それで、今日はどうして来てもらったんですか?」
言葉少なく、藍は尋ねた。
「ああ、うん。ちょっとね」
江頭先輩は言い辛そうに頭を掻いた。
……待てよ?
江頭先輩の遅刻理由であるクラスの文化祭準備と、先日語っていたやる気を出している生徒の話。確か、文化祭の事前準備をしようと企てたのは、江頭先輩曰く、生徒会会計もこなしている人。
それって、つまり……。
「皆に、折り入って相談があるの」
さっきまで静かだった森下先輩が、綺麗な顔立ちで凛としてそう言った。
「相談って?」
先輩に臆さず言ったのは、藍だった。
「あたし達の文化祭のクラスの出し物、その件でお話させて欲しいの」
やはり。
思った通りの展開に、僕は江頭先輩を見た。責めようと思ったわけではない。ただ、良いのか? と言いたかった。
江頭先輩は、困ったように苦笑していた。
それから僕達は、森下先輩に話をしてもらおうと、江頭先輩含めて二人に椅子に腰かけるように促した。
恐らく、長い話になると思っていた。
だから、立ち話も何だと思ったのだ。
「早速、話してもらえます?」
藍が言った。
「えぇ、そうね」
森下先輩は、一つ咳ばらいをして話を始めた。
「実は、色々江頭さんから話は聞いていてね。皆さんが面白そうなことを企んでいるのは知っているの」
森下先輩は、まずはそう前置きをした。
……面白そうなこと、か。
恐らく江頭先輩からしたら、とてもそう思えないことだろうが……まあ、当人が口を挟まないなら突っ込む方が迷惑だろう。
「それに感化されて、あたし達も今回、クラスで文化祭に出し物をしましょう、と話し合ってね。江頭さんの時間を奪ってしまって、それは本当にごめんなさい」
「別に。本人がそっちにも協力したいと思ったのなら、あたし達が口出しすることじゃない」
相変わらず刺々しい藍である。
ただ、言っていることは正しい。
「アハハ。そう……なのかな?」
森下先輩は少し困ったように江頭先輩に目配せした。江頭先輩も、困ったように苦笑していた。
「森下先輩」
なんだか気まずい空気が流れる部室。
藍がこんなに自発的に発言するのは珍しいからなのだろうか。だとしたら彼女は、天文部の一員としてもっと日頃から積極的に会話に交じって欲しいものである。別に、いざと言う時、気まずい空気になるからと言うわけではない。
色んな人と話すこと。
それはきっと、ふとした時に藍が楽しく、喜び、微笑む機会を生めると思うのだ。
出来れば仏頂面ではなく、そんな姿も見てみたいと思うものじゃないか。何せ、僕は藍のこと、大好きなのだから。
勿論こんなこと、恥ずかしくて滅多に人前では言えないが。
……と、惚気が過ぎた。
まあそんなことはともかく、話が中々進まない状況に僕は口出しした。
「それで、相談って? さっき言っていた通り、内容は先輩達のクラスの文化祭の出し物のことなんでしょうが……先輩達は、何をするつもりなんですか?」
「映画よ」
それはまた、中々奇を衒ったことを考えていることで。
……なんとなく、相談事がわかった気がする。
「それじゃあ、費用面の相談?」
「いいえ、違う」
「ありゃ」
違う、のか。
映画の公開をクラスでするだなんて、結構お金、かかりそうだが。
「まあ、それも一つの憂い事ではあるんだけどね。ただ、帳尻は付いている」
「プロジェクター、パソコン、撮影時のカメラ、小道具。……その他色々必要そうですけど、本当に?」
「えぇ、聞き回ってみたら、親が機械に詳しい人が数人いてね。機材は折り合いがついている。あとは小道具とかだけなら、節約すれば申請額だけで賄える」
「それは良かった」
……で、あればだ。
「じゃあ、何の相談?」
「ロケ地よ」
「ロケ地?」
森下先輩は、こくりと頷いた。
「映画を撮影するのに、ロケ地を選定したんだけど……そこの管理主から許可を取れなくてね。あなた達に相談したいのは、どうすれば許可を取れるのか、の相談」
要領を得ない、と言う顔の天文部員。多分、僕もその一人だ。
「相談、聞いてくれないかな?」
森下先輩は、僕達の反応にはさほど興味はないようで、そう言って微笑んだ。
順調にポイント、ランキング下落してて危機感を覚えてますまる!
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