ゴブリン、塩作り3分クッキング
チャラチャラチャチャチャ♪
チャラチャラチャチャチャ♪
チャラチャラチャラチャラチャチャチャ♪
(*´∀`)♪
*キューピー3分クッキングのテーマ曲
それから俺はおっさんに連れられて石造りの小さな目の小屋みたいなところで塩の作り方を教わった。
今まではただ塩を煮詰めれば塩なんて作れると思っていた俺だがそれが間違いだと分かった。
先ずは布で濾してゴミを取る所から始まりそれを大釜で煮込む。
10分の1ほどまで煮込んだらまた布で濾してから新しい鍋に入れて火を弱めてまた煮込む、濾した時に出た白い物が塩だと勘違いしておっさんに笑われた。
煮詰めていくと鍋の底に白い結晶が出来てきたら更に火を弱めてかき混ぜながら煮詰めていく。
はねた水が足に当たってあまりの熱さに地面を転げ回ったりもした。
ある程度まで結晶が出来たら火から離して布で余分な水分をきって乾燥すれば出来上がりらしい。
これはおっさんの先先代辺りが見つけた方法で気まぐれに作っては町で売っているようだ。
ちなみにおっさんに頼んで普段なら捨てる水分を貰った所、俺の元いた世界で言うところのにがりだとわかった。
俺はというと火の魔法が使えるのがおっさんに気に入られて火の番をさせられたりした、まぁゴブリンファイヤーしてればいいだけだからそんな大変じゃなかったけどな。
「いや〜…塩作るって意外に面倒くさいんだな…」
今まで特に何にも考えなく使っていた食塩を作ってる人に感謝しなきゃだな。
「感謝!圧倒的感謝!」
「また訳わかんねぇこと言ってんな、ゴブリンってのはそんな変な言葉を使うのか?」
おっさんが俺の塩作りの経過を観察しにきた、おっさんは漁師で魚を獲って街に売りに行っているらしく塩作りは気紛れにやっているだけらしい。
都会っ子の俺と子どもの頃から海が遊び場のおっさんではサバイバル能力面でも知能面でも違うというのがありありと見せつけられた…俺って異世界転生系のキャラだよね?なんか俺スゲェー的な何かとかないの?
「…ふむ、中々良いじゃねぇか、一年も掛かったが塩の作り方はわかったようだな」
「はは…まぁね」
「それはそうと…モリ、結構前から変な棒を使うようになったな」
モリというのは俺の名前で名付け親はおっさん、ここに連れてかれてから名前が無いのに気付いた俺におっさんがゴブリンは森に住んでるからって理由で付けられた。
前の名前に近いというかそのまんまだからわかりやすくていい…ゴブえもんとかじゃなくて良かった…。
そう言っておっさんは俺が塩を作る部屋の隅にある二種類の板の棒を見てる。
2つともおっさんが寝てる間に例のゴミ捨て場まで行って適当な棒状の板を持ってきただけだが2つとも二箇所にV字に切れ込みを入れてある。
「おっさんいつもある程度海水を煮詰めたりしてたろ?んで入れた量と煮詰めた量を棒で測って目標を付けたんだよ…おっさん全部感覚で出来るけど俺はわかんねぇから道具を使ってするしかねぇんだよ」
しかもこういう道具を使って作った俺の塩よりおっさんの塩の方が美味いんだから悔しいを通り越しておっさんスゲェみたいな気分になる。
「はっはっはっ、まぁ俺ぐらいになるなら10年修行しろよ」
バンバンと俺の背中をおっさんが叩く、多分10年とかは冗談で言ってるんだろうけど本当にそれぐらいおっさんは凄い。
「ところでモリ、いつも魔術の本を読んでるようだが魔法に興味があるのか?」
「ん?まぁ便利だからな」
まぁもう四大属性の火、水、風、土の簡単な魔法は使えるようになったけどそれ以上はあの本には書かれてない…別に魔法を極めたいとか思ってないけど便利な物は覚えたい。
「そうだな…モリ、お前明日少し遠出して塩を売ってこい」
「えっ?塩を売ってこいって…もしかして街とかで?」
「そうだ、安心しろ地図の写しをやるしついでにそこでギルド登録してどこでも商売出来るようになっとけ」
「ギルド?」
「あぁ、ギルドに登録しとけばギルド経由で商売が出来るし変な因縁つけられる心配のなくなるぜ」
確かにおっさんと一緒に暮らすにしろ森で暮らすにしろ街とかで色々買いたい物とかしたいしあって困る物でもないだろう。
「決まりだな、じゃあ明日は頑張れよ」
俺はバンバンとおっさんに背中を叩かれながらも初めて行く街が楽しみで少し心が高鳴るのを感じる。
このゴブリン、近くの町の人間にビビってたの忘れてないか?
(°▽°)