魔法使いゴブリン
( ゜д゜)交わした約束、忘れないよ
ゴブリンの朝は早い、森に太陽の光が入ると同時に目覚めて朝食を食べる。
今日のモーニングは野生の味をそのままに味わえる乾燥肉、そしてドリンクは川を流れる天然の湧き水。
「…うん、誤魔化しても不味い物は不味いな」
乾燥が進んだからか獣臭さがワンランク上がってる気がする、干し肉って不味いんだな…初めて知ったよ。
湧き水っていっても流れてる川の水に直接口を付けて飲んでるだけだし…まぁ水は冷たくて美味しいんだけどね。
そろそろ生活も安定してきたし少し遠出をしようと思う。
やっぱりもっと美味しい物が食べたいじゃん?川魚も美味しいけどやっぱり塩気が恋しくなるわけよ。
川を下っていけば海に行き着くし海水を蒸発させれば塩になるじゃん?
刺身に塩とかもはや理想のタッグじゃん?最高じゃん?
「…あれ?」
川下りを始めて約30分、少し離れた場所に町っぽいものが見える。
川下りから離れる事になるけど干し肉にはまだストックがあるし少し様子を見に行こう。
森の中に入って町の方に行く、田舎っぽい町の入り口みたいな場所に槍を持った男が2人立ってる。
「んー…どうするか…」
正直町に行きたいけど敵対したら嫌だしな…とりあえずステータスを確認しよう。
「まぁなんか見た感じRPGの最初の町みたいだしそんなに強い訳が…」
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名前***
種族、ヒューマン
レベル、35
HP、360
MP、180
ちから、420
ぼうぎょ、350
かしこさ、410
すばやさ、340
スキル
***
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…うん、最初の町みたいとか言ってごめんなさい。
いやいやまだ敵対的とは限らない、まずはイメージをするんだ…俺があの町に無事に入るイメージをするんだ…。
(注意、イメージです)
森から出て両手を上げて町に近寄る。
「プルプル、僕は悪いゴブリンじゃないよ」
「ゴブリン死すべし、慈悲は無い」
容赦なく槍が身体を貫いた。
(イメージ終了)
無理無理無理!見ろよあの男の目を!まるで解体場のゴブリンを見るような冷たい目だ。
残忍な目だ…「可哀想だけど明日の朝には武器防具の素材になる運命なのね」って感じの…
*全部妄想です
ふっ…今回は見逃してやろう、俺も暇じゃ無いからな。
別にあまりのレベルの違いにビビって失禁しそうだからとかそんなことはない。
ガサッ…
「ギギィィ!?(ひぃぃぃっ!?)」
近くで草が擦れる音が聞こえて思わず頭を抑えてうずくまる。
お願いします、許してください、何でもしますから…でも尻穴掘るのはどの層にも需要が無いから勘弁して下さい。
「…あれ?」
振り返ると町から少し離れた場所に様々な粗大ゴミが置かれてる場所がある、多分あそこから何かが落ちたのだろう。
び…ビビってねぇし?急にヒィーハァーって言いたくなっただけだし?
まぁでも捨てられてるんだからいらないんだよね?なら貰ってもいいよね?
何か使えるもの無いかなっとガサゴソと漁ると廃材の中に中古の本みたいな物を見つける。
「魔術入門?」
拾った本をパラパラと見る、どうやら簡単な魔法を使う方法を書いてある本みたいだ。
「魔法か…これはいい物を拾った」
拾った本を片手に粗大ゴミ置き場から離れる、予定を変更して魔法の習得をしよう。
「なになに…?」
先ずは周りにあるマナを体内に取り込むイメージ…。
口から入ったマナが右手から右足、左足から左手…そして頭のてっぺんに到達して身体中に巡るイメージをするっと…。
まぁ血液が身体を流れるイメージでいいかな?
『魔力を取り込む事に成功しました。』
おぉ、なかなかいい感じなんじゃないか?次はこの火の魔法を使ってみるか。
魔法を使うには体内に取り込んだマナを管から放出するイメージっと…。
「そりゃ!」
手の平から小指くらいの火の弾丸が出て木に当たる、焦げ跡一つ付かないが無事魔法が使えた。
『魔術の使用に成功しました、初級魔術のスキルを獲得しました』
よし、ステータスに変化があったようだから確認しよう
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名前、無し
種族、ゴブリン
HP、13
MP、10
ちから、6
ぼうぎょ、4
かしこさ、5
すばやさ、7
スキル
「森の賢者」レベル1
「愚者」レベル2
「初級魔術」レベル1
「毒性食物耐性」
「寄生生物耐性」
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寄生生物耐性…寄生生物に対する絶対耐性。
初級魔術…火、水、土、風の四大属性の初級魔法を扱える。
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おぉ、MPの数値が増えてるしちゃんと自然回復もしてる。
それにスキルを見るに簡単な魔法も使えるようになったみたいだ。
こんな素晴らしい本を捨てるなんて勿体ない事を…俺が有効活用してやる。
魔術入門書を片手にまた川下りに戻る…またあとであのゴミ置き場を漁ってみよう。
( ゜д゜)魔法の杖を自作しなきゃ